日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

原田マハ著「キネマの神様」

2023-12-28 | 読書
先日読んだ一冊
原田マハ著「キネマの神様」 文春文庫刊

買ってきてからパラパラとめくると
アチコチに太字の羅列
なんかやだな、、と積んでおいたが
食卓から読みたい本がなくなってしまい
渋々読み始めた。

上り調子だったキャリアバリバリの女性
ひよっとした事から会社を辞める羽目になり
無職、少ない蓄えで両親の職のマンションの管理人代理をする。
(そう悲観したことでもないと思うが)
年老いた父はやめられないギャンブルと多額の借金
と映画が趣味。
一昔前の名画を詳細まで覚えて語る。

この本の人たちはみんな映画好き
映画館の館主、映画評論家、引きこもりなどなど
いったな語り出したら止まらない、、

パソコンを使えないはずの父が、映画の話を書き込むと
世界的な評論家とのやりとりが始まり
失業中の娘は職を獲て、父は一躍人気者になり
潰れそうな名画座は満席となる。

あり得ない話がどんどん続き
最後は涙が止まらなくなる。

近頃にない起承転結に読者は翻弄される、、


    挿絵です

しかし、映画ファンでない人は置いてけぼり??


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貫井徳郎著「さよならの代わりに」

2023-12-13 | 読書
先日読み終えた一冊
貫井徳郎著「さよならの代わりに」 幻冬舎文庫刊

小さな劇団員の和希
背が高くてハンサムにしてお人好し、
曲がったことが嫌いな好青年
劇団での立ち位置は今ひとつだが
ウエイターのバイトを真面目にこなし
恋人と思いたい人には
「お見合いをする」と告げられても諦めきれない。

そんな時、可愛くて世間擦れしてない風貌の
祐里に変な頼まれごとをする。
「女優さんの部屋に誰も入れないで」

劇団主催の新庄さんに殺人容疑がかかる
殺されたのは新庄さんの不倫相手にして
劇団二番目の女優さん
突き刺さったナイフにばっちりと指紋がついていた。

可愛いい女の子は未来から来たと言い
殺人容疑の直系家族!という。

過去に遡って未来を変えたい、、
ありそうでありえない物語
、、でも、和希と裕里のに入れ込んでしまった読者は
「どうか無事変わるように」読み進めるが、、、

末尾の解説は、読みきれない。
興奮しつつホッと読み終えたところで
「どうかな、、」疑問符だらけ
分析はいらない、余韻を楽しみたいのに、、

    

緑の葉がこんなに赤く変わるなんて
「どうして?」より素直に楽しみたいね。





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桐野夏生著「日没」

2023-11-10 | 読書
一昨日読み終えた桐野夏生著 
「日没」岩波書店刊

とても怖い内容で、一旦やめて
他の本を読んでから読み続けた。

近未来か裏社会か映倫ならぬ文倫のある時代の日本
海の向こうの大国でもまかり通っている世界なのかも、、

文倫から反社会的な本を書いていると著者に呼び出しがくる
行けば反論は通らない世界
自作の擁護をすればするほど窮地に陥り
否応なく粗末な独房に閉じ込められる。

食事は粗末な上、量が少なく
ついガツガツと食べてしまう。

時に呼び出され、反省したか確かめられるが
意志強固な作家は反論して余計なドツボに嵌る。

ほんの少しの希望を見つけて
所長や医師の意に染まるようにするが
作家たるもの反社会性な思考がないと(勝手な思い込み)
なれない職業にして、
つい、激論になり暴力も出てしまう(自己に忠実?)

ニッチもさっちも行かない状況になり助けの手が・・



どうにもこうにも、希望が湧いてこない物語ではある。

桐野夏生にしか描けない物語。

随分前に見た映画華氏451
まだ希望が持てる側面があったが
「日没」は希望のかけらなし

桐野夏生は自由なものがいくらでも書ける(?)日本で
追い詰められることがあったのだろうか?

そういえばまだ、末尾の解説は読んでいなかった。
気分を落ち着かせてから読みたい。
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東畑開人著「野の医者は笑う」

2023-10-02 | 読書
先週読んだ一冊
「野の医者は笑う」 文春文庫刊

東畑開人氏は朝日新聞の社会季評に記事が出て、その都度んでいた。
大学での教え子がいたので
「どんな先生」「面白い先生よ」とのこと。

 ー心の治療とは何か?ー

そういえば以前知人に臨床心理士もいた。
長年専門分野で働いていて、
退職後に東北の震災の支援に行くのが「とっても気が重い」と
精神が弱っている人を立ち直らせる(?)のは想像するだけで大変そう、、

東畑氏は沖縄県の医療機関で働き、次の就職先の大学へ赴任する前に
沖縄県に多くいる「野の医者」達の実態を調べるべく
野の医者達に会に行く。


    (野の花)

沖縄のおばあから、優雅なレディー、権威ある野の医者まで。
(野の医者とは東畑氏の造語、、みたい)

ず〜〜と昔、私も悩み多き頃
野の医者に会った事がある。
相対しているときは感心して聞いていたものの
冷静に考えると筋違いだったなあ〜〜と目が覚めた。

沖縄の野の医者は色んな小道具で相談に乗り、
解決したかに見えるけど
一人になると、問題なは残ったまま、、かも

とは言ってなく、東畑氏は真剣に面白がってのめり込むが
大学へ行くまでの期間限定

語り口(文章)が「面白い先生」そのまま

心理に詳しくなくとも、行き先に迷いはなくとも
楽しんで読み終える。

私はと言えば、目が覚めてから
心に引っ掛かり続けるものはなく
あっけらか〜〜と過ごしている。

悩みの沼から出られなくなったら「東畑先生」と考えるだけで
一層、悩みとは無縁の世界にいられそうだ。



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辻村深月著「琥珀の夏」

2023-09-20 | 読書
先週読んだ一冊
辻村深月著 「琥珀の夏」 文春文庫

単行本の広告を見て、文庫本になったらと待っていたけど、
意外に早く文庫本になった。

宗教施設の夏合宿に参加した少女ノリコ

小学校では親しい子ができなかったのに
施設では優しくしてくれるミカがいて親しくなった。
森の中の施設は決まり事が多くて大人たちの元
違和感を覚えながらも楽しい1週間を過ごす。


(単なる挿絵です)

そんな3年を過ごして弁護士なったノリコ
夏の施設で白骨死体が見つかり世間に知れることとなり
偶然ノリコに施設の調査の依頼が来る、、

一時期の記憶が修正されることなく固まって取り残された
「琥珀」状態。
誰にでも一つや二つある気がするが
さほど問題視せずにきてしまったことが
大人になって重大な出来事だと気づく。

私の琥珀は中学の修学旅行で感動した平等院の鳳凰堂
華やかで優美な姿を50数年ぶりに見て違和感を覚え
また12年後に訪れて、元に近く改装されたのにまた感動し
今年行った帝国ホテル、20代の頃通りすがりに見た記憶
琥珀を確かめられないのが未だの残念!

無駄なことを書いてしまったが
ノリコは小学生の記憶のミカを
オカルトから引き戻すことに成功した。

こんな簡単なことではないけれど
子供にとって親は生きる道標
親子を引き離すなんて宗教はもともと間違っている。

ハラハラドキドキ、是非ともおすすめの一冊です。



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夏川草介著「始まりの木」

2023-09-04 | 読書
先週読んだ一冊
夏川草介著「始まりの木」 小学館文庫刊

帯には作者の
「木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」
「旅の準備をしたまえ」の一言で始まる。
大学の民俗学者の指導教官と助手の学生の
フィールドワークの物語

    
    近くの公園

古屋神次郎は口の悪い、人に好かれない偏屈な教官だが
同行の藤崎千佳は教官の毒舌にも屈することなく言い返す
が、誰のでも好かれる修士学生。

一話は青森県弘前
  偏屈な教官の亡き妻のことを知り
二話では京都叡山で
  現実ではありえない体験をし
三話は長野県伊那谷
  威厳のある大柊、大学の学部消滅を防ぎ
四話は高知県の遍路道
  見知らぬ人を助けることになり
五話は東京本郷
  老い先短い和尚を手助けする

さまざまな自然の中で民俗学の何かを学ぶ

口の悪い教官が少しづついい人に見えてくる。

高知県以外は近くに行ったこともあり
風景や人々を頭に描きつつ読み進めた。
物語も実際の風景を知っているか否かで
見える景色が違ってくる。
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町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」

2023-08-22 | 読書
先週読んだ文庫本
町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」中公文庫 

書店で本屋大賞第1位の腰巻を見て読んでみた。

親の虐待、ネグレスト、義父の介護
子供にとって最悪の環境で生きて来た女性
それでも友達に救われ、優しい友達に巡り合い
最悪の環境から抜け出せた。

自立して過ごせた環境だったが
身勝手な会社の上司に見染められ
再度酷い目にあう。

全てを振り払って来た海辺の家
身体中虐待のアザの子(52〜仮の名前)を救い
友達と52の行先を探るべき旅に出る。



そんなこんなで52を救い、自分も救われる。
書いて仕舞えば??続きになるけど
悲惨さがじめじめしないし、
明るく読み終える。

↓映画にもなるそうです。
「52ヘルツのクジラたち」映画 
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植松三十里著「帝国ホテル建築物語」

2023-07-05 | 読書
先日日比谷の帝国ホテルへ行った。

 過去から現在そして未来へ
 〜ライト館開業100周年〜展

    

きっかけは先月読んだ本
「帝国ホテル物語」 植松三十里作
大正12年に完成した二代目の帝国ホテルの建築物語

帝国ホテルは経営難で汲汲としていたが、
日本の美術品を販売していた林愛作をスカウトしてから
経営は立ち直り
帝国ホテル渋沢館に次ぐ新館のホテル建設に着手


渋沢館の模型が展示されたました。

建築家をフランクロイドに決める経緯
予算を考慮しないライトとのゴタゴタ、、

当時の社会状況と建築職人達とのいざこざ
面白くて一気に読み終えた。

その最中の
〜ライト館開業100周年〜展
勇んで駆けつけた。
(続きは明日)
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角田光代著「森に眠る魚」

2023-06-30 | 読書
角田光代著「森に眠る魚」双葉文庫刊
「森に眠る魚」 

このところ、床に入るまでの1時間が読書タイムになっているが
ついつい引き込まれて、真昼間から手に取ってしまった一冊

子育て中の5人のママ達
互いの親子を参考にしつつ、子育てに励むが
一生懸命になってしまい、つい競争意欲が暴走する。
マンションの部屋を素敵に片付けて
シンプルに暮らしているマダム。
ようやく手に入れた部屋でカツカツ暮らすママ。
無駄は省きつつ、子供には良い教育環境を整えたい
5人とも目標を定めていたものの
互いに引き摺られて、出口が見えなくなってしまう。



仲良くランチをしていたママ友達
小学校のお受験で疑心暗鬼になり、

仲間解消となり、それぞれのみちを進むようになる。

小説の作り手たちは、働くのに時間を取られて
ママ友とゆっくりお茶はできないし
この世界を知らないのだろう。
ママ友達をかなり異質に捉えているかもしれない

小説家でなくとも働いているママたちは
自分の子供のことはよく見ていても
他の子たちのことは知らない。
それでも小学校受験はするだろうし
葛藤なく地域の公立学校に行かせるだろう。

それでも子供達は生まれた環境で育まれる。
どんな環境であれ子供は親が大好きだし
虐待されるなどはとんでもないこと、、

言いたいことが行方不明になってしまいました。

ご一読を、、








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千早茜著「透明な夜の香り」

2023-05-23 | 読書
先週読んだ一冊
「透明な夜の香り」千早茜著 集英社文庫刊
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-744509-1
千早茜は2023年「しろがねの葉」で直木賞を受賞した作家
だが、読むのは初めて。

ミステリー乱読の読書の私では
先の読めない物語だったし、何かミステリアス。

汗をかきかき坂道を上がって、勤めに行くにも関わらず
冷たい夜の雰囲気

     
     先日咲いていたサボテンの花、いい香り

心を病んでアパートに引きこもっていた一香/いちか
働き出した先は異常な嗅覚の持ち主/朔(さく)宅の家事全般の仕事
一緒に働いているのは幼馴染の探偵
朔の嗅覚で謎を解き、特別調合の香りを作り収入を得ている。
朔には嘘をついてもすぐわかるし
生活までもバレてしまう。

私も嗅覚は人よりも鋭い(つもり)
「いい香り、何の花かしら」と呟いても
「匂いなんかしない」友人は言う。
私にとっては嗅覚が鋭いのはいいことではない
いつも行っている美容室でシャンプーの香りがきつかった。
帰って直ぐにシャンプーをし直したものの
匂いは付き纏い、夜もシャンプーをする始末。
電車では、タバコの臭いを振り撒く人
香水がきつい人が近くにいると、直ぐ席を移る。

強い匂いに浸っていると目が充血してくるから

そんなこんなな私にいい事はないけど
朔は「いいお金になるんだよ」相棒は言う。

香りの調合、お料理全てが自然のもので作る。
作家の千早さんの知識の豊富なこと。。

先が見えなくても結末はくる

直木賞受賞第一作「赤い月の香り」は朔の続編のようだ。
早く読んでみたい!



一日花のサボテン
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原田マハ著「風神雷神」

2023-01-10 | 読書
今年初めに読んだ2冊
原田マハ著 「風神雷神」上 「風神雷神」下 PHP文庫刊

上下巻の表紙は以前読んだ柳広司の風神雷神と同じ
2021年4月blog「風神雷神」

しかし読み始めてびっくり仰天

まだ幼い俵屋宗達が織田信長の面前であの象の板絵を描き
(見たことがあった)
狩野永徳の洛中洛外図屏風(見たことある)の中の一部を描き
時の寵児の永徳を驚かせ、
伊藤マンショ達の
天正遣欧少年使節団の中に紛れ込んでいたとは、、
物語とはいえでども程が過ぎる。

一気に心拍数が上がり、
それでもズンズン先を読みたくなってくる。

これは紛れもない冒険小説なのだ。

さらに時のローマ法王と謁見し
あのカルバッチョと自作の絵画を交換したなんて!

どこまで想像の羽を広げちゃったのだろうか!

キューレーターとしても活躍した原田マハ
ひょっとしたら何処かに文献にあった?
なんて考えも首をもたげてしまう。


(クロガネモチ)

そこを現実に引き止めたのが
美術史家佐々木城氶平氏の解説
足を引っ張るでなく、現実を受け止めさせてくれる。

マハさんの人脈の厚さに感心させられる解説と
想像力の豊かさに敬服させられる一冊(上下)です。
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篠田節子著「冬の光」

2022-12-09 | 読書
先週読み終えた一冊

篠田節子著「冬の光」 文春文庫刊

篠田節子の本にはなぜか手が出なかった。
この前新宿の本屋さんで不意に読む気になった。

立派な大学を出て、誰でも知っている有名企業に勤め
みんなが目指す有力者の子女と結婚することなく
明るく下支えをする妻と生活をし、子供を育て上げた
なんの不足はないものの
学生時代からの付き合いの女性と別れられない。
家族に知られ、密会の場所に乗り込まれ
親共々のまえで始末書を書かされる。

会社では誰にも引けを取らない立場ながら
家庭では情けない立ち位置の男

くだんの女性と再会し、また沼にハマり
また家族の前で別れの電話をさせられる。

いい線を走っていた会社でも、気に染まない子会社の社長で働き
あっさりと退職をする。



東北の震災のボランティアに奔走し
それでも満足できず(多分)四国のお遍路に出る。
結願し帰りのフェリーで亡くなる。

一生懸命に生きた本人だけど、家族の理解は伴わない。

ーここからわ無責任な感想ですー
 社会の役に立ち、貢献はしたものの、
 家族には豊かな生活を提供したものの
 心から寄り添えなかった。
 妻は何度もサインの送って一体化したかったけれど
 空気以外の何者にもなり得なかった。

ー頑張ったけれども悲しい男の物語ー

作者はそんなつもりはなかったかも知れないが
読み進めている間は「そうか、そうか」だが
しばらくすると悲しくなってくる一冊です。

一読をお勧めします。


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川村元気著「百花」

2022-09-09 | 読書
先日読み終えた一冊
川村元気著「百花」文春文庫刊

川村元気は書評でしか見たことのなかった作家さん
綺麗な黄色いカバーと帯の
ーあなたはきっと忘れるわ。
  だけどそれでいいと私は思う。ー
文字で読む気になった。

母と二人きりで暮らす少年
大人になって結婚しても、母親の元に通う。
なんとなく遠慮し合う二人
徐々に日常を忘れ、ご飯を作ることができなくなる母。

近しい人を思いながら読み進めた。

昨日のテレビの映画広告で見つけた
映画「百花」川村元気監督


夕方ひらく白粉花

作者は映画監督だった!
何も知らずに読んでいてビックリ!

落ち着いた息子(勝手な想像)の泉は菅田 将暉
敏腕な仕事人の妻は長澤 まさみ
母は原田美枝子のキャスティング
私の想像とは違った人間模様が繰り広げられそう。

小説も書くし、映画監督もする
マルチな活躍の川村元気氏
これからも関心を持って行きたい。
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桐野夏生著「とめどなく囁く」

2022-08-04 | 読書
桐野夏生著
「とめどなく囁く」(上)(下) 幻冬舎文庫刊

(上)海釣りに出たまま二度と帰らなかった夫。
(下)元夫が生きているかもしれない。
帯に書かれている。

再婚した41歳の妻と73歳のお金持ちの夫
お互いを認め合いながら静かに暮らす。
相模湾を望む広い庭園
二人だけの穏やかな暮らし



釣り船で遭難し行方不明なままの元夫
死亡が認められ8年目にして、
ようやく落ち着いたと思った矢先
元夫の姿が現れだし、穏やかではいられなくなる。

思い返せば、元夫とは諍いが絶えず
不審な行動もあった過去

大騒ぎはしないものの、
静かにかっての夫を調べ出す。

おおよその予測がつき
覚悟は決まっているものの深く傷つき
それでも、歳の離れた夫との生活を見直す。

違うだろう、そうだったのか、、
疑問を呈し、納得しつつ読み終えた。

一つ納得できなかったのは
誰でも目を見張る素晴らしい庭園
なのに、家が小さすぎる。
前妻と末っ子の3人暮らしで造った新築住宅
リビングやキッチンが広い(多分)とは言え、
寝室が二つはないだろう、、
子供二人は独立していても、
泊まりがけで帰る部屋を作るはず

夫婦の寝室➕子供室でなければ、後半の物語は成立しないが
住まいの設計を生業として来た私としては実に違和感。

それにも増して、解説が素晴らしい。
小説家の綿矢りさ
ネタバレがないのは当たり前としても
作家のことを書かないにしても
物語の中の人の心象や周辺を感じたままに解説としている。

私と同じ視点(ごめんなさい)で読み進めて
解説としていることに感心する。
きっと熱心に心惹かれて読んだのに違いない。

読んだことのない綿矢りさの本を読みたくなってしまった。

過去ばかりに執着してきた41歳の妻
まだまだ安泰な道ではなくても
つきものの落ちたような妻
きっと思い通りに暮らせるようになるだろう、、
(結構入れ込んでしまいました)
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五十嵐貴久著「リセット」

2022-07-28 | 読書
昨日読み終えた文庫本
五十嵐貴久著「リセット」 幻冬舎文庫

禍々しい物語
善人(?)は主人公の男子高校生と継父だけ
(高校の先生たちも)

再婚同士の家庭の親子達
そこへ高校生の親戚筋から美少女が同居することになった。
同じクラスになり、初恋の相手となるが
美少女はクラスに打ち解けることなく
怪しい雰囲気を醸し出す。

先生が亡くなり、父親も亡くなり
物語は急転直下
真相が明らかになる、、



けど
とても後味が悪い結末。

読みながら「勧善懲悪」を望んでいたのか?
自問自答してしまった。

裏表紙に「恐怖シリーズ第7弾」
明記されてるのに、何を期待していたのだろうか??
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