一陽来福  ~齋藤一陽による截金の日々~

伝統工芸。截金職人齋藤一陽が、日々の物創りの様子を紹介します。

箔合紙

2009-03-07 00:27:17 | お道具考-截金工程を探る-
私の金箔へこだわりは、五毛箔、縁付きを使うことにあります。
五毛というのは、ほぼ99%の一番純度の高い金箔で、縁付きというのは金箔より間に挟まる紙が大きくて縁の出るものをいいます(ちなみに縁の無いものを断切といいます)。
これらは上等で、少し高くなるのですが、截金をする際これで無いと絶対出来ないというものではありません。
わざわざ無理をしてまで、使う必要あるの?と周囲からの意見もありました。
でもどうしても、やはり他に変える事が出来ませんでした。
だいたい挟まっている紙の感触からして、納得がいきません。
いつもこの挟まっているだけの紙も大切にボロボロになるまで使っていたので^^


その紙を箔合紙といい、岡山でそのほとんどを作られている和紙です。

そんな時、岡山の田中美術館さんで昨年春に実技講演をさせて頂いたのですが、終わりの質疑応答で出ました^^;
『何故こだわってその縁付きの箔を使うのですか?』
というご質問です。
正直なところ、厳密なことはわかりません。ただ一緒に過ごしていて何かが違う、気持ちのよい材なのです。と応えました。どうせ一緒に過ごすなら気持ちのよいものと過ごしたいともお伝えしたように思います。
実は後から、その箔合紙という貴重な和紙を作られている職人さんだと知らされました。ひえ~

ふつうあぶらとり紙などで知られている和紙は雁皮系の箔打紙といって、金箔を叩いてのばす際に使われているものです。その後職人さんの手作業で金箔を四角く切られ、この箔合紙という紙が挟まれてゆきます。この紙は金箔を傷つけることなくしなやかでやわらかく繊細であることと同時に、紙肌は程よく粗くコシのあることの求められる三椏系手漉き和紙なのです。
これが断切の箔になると、薬品の塗られた特殊な洋紙で挟んで機械で叩き、そのまま機械で裁断されてゆくので、紙はまるで違うものになります。箔の厚さも手作業より厚手のものとなるようです。

最近1000分の3ミリ程度の段階にまで延ばされた「澄(ズミ)」と呼ばれるまだ、厚い段階の金箔でも截金は可能であるというのは分かりました。ですがやはり、金は叩かれることによって強くなる。そして薄く延ばされたものをまた何枚も重ねて焼き合わせることによってまた強くしなやかになるのです。

私のささいなこだわりだったのですが、さらに沢山の職人さん達と今この時も手を繋いでいれたようで、ほんとうに幸せだな~と思うのでした。
ありがとうございます。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これ、なつかしいです~♪ (さとこ)
2009-03-09 23:05:34
こんばんわぁ~。
京都の親戚の家も金、銀、白と扱ってました。
子供の時、うっかりそばを走ったら、この竹のはさみでビシッ!でした。 大人達は会話どころか、息も殺してましたね~。  作品アップ楽しく見てますよ。
何か欲しくなって来てます~♪

毎日ポチッとしに来ます~♪
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さとこさま (一陽)
2009-03-10 19:28:26
え~^^
金箔でもツナガリが~?
うれしいなー♪
>作品アップ楽しく見てますよ。
何か欲しくなって来てます~♪
毎日ポチッとしに来ます~♪

ありがとうございます♪♪
また機会があったら本物みてやって下さいね~^^
返信する
はじめまして ()
2009-03-19 21:19:15
私の日記への足跡を見てこちらに伺いました。
一陽さんの作品、素敵ですね。
私は小さいとき絵付け師?みたいな職人になりたかったので一陽さんのような創作するお仕事してる方が羨ましいです。
たまにまた寄らせてください。
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藤さん^^ (一陽)
2009-03-20 01:11:23
はじめまして~♪
ありがとうございますー。
また是非遊びにいらしてくださいね。

絵付師さんの夢ですか?すてきです^^
機会がありましたら、ご一緒にものつくりしたいです♪ちょっと遠いですけどね。

伊勢の地で何かできたらよいのですが~
う~む。考え中~
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