一陽来福  ~齋藤一陽による截金の日々~

伝統工芸。截金職人齋藤一陽が、日々の物創りの様子を紹介します。

ルーシー・リー展とお守り刀展

2010-12-29 22:25:19 | 美術展感想
大阪中之島にある東洋陶磁美術館は、お気に入りの美術館の一つです。

今回のルーシー・リー展は、イブということもあってか空いていて、とてもゆっくりみることができました^^

彼女の作品は
あたたかく繊細で、それでいて凛としています。
その空間の中、言葉少なのキャプションに、樋口可南子さんの語りが深く届き、何か胸に膨らむものがありました。

彼女の釉薬はまるで魔法のよう。
あのあたたかみのある美しい色と、質感はどのように出されるのだろう。
暗号のように記された、釉薬ノートが印象的でした。

当時陶芸家は、バーナード・リーチに認められなければ、世で生きていけなかった(売れない)そうです。
バーナード・リーチといえば、言わずと知れた民芸運動に関わりの深い芸術家です。
彼女も彼から民芸を説かれ、作品作りに取り組むも、迷いや戸惑いに揺れ、私には自身を見失うような不安な作品にみえました。
ですがその後、昇華され彼女らしい美しい作品が生まれていくわけです。

彼女の作品はただその存在が佇んでいる。
暮らしの中にパートナーのように、そっととなりに寄り添ってくれている存在。
使う者によって完結される美。
美というものが、見る者によって初めて補完される。
そういう意味では民芸のこころにとても叶っているように感じました。





あなたはアーティストでしょ?私はただ焼き物をつくる人よ。

と語った彼女の言葉が深く響いています。


彼女が彼女らしく。その作品はやさしく美しくキュートで、まるで本人そのままでした。
自分らしさってどういうことだろう。
おれがおれがっていう表現でなく、自らが作為なく滲み出るようで、見る人にも使う人にも一体になる余韻のようなものを残す?
芯を他にはゆずらず、芯を自らで満たすこと?
すると何かがいっぱいになって、まるでほとばしるようにポタポタと指先からこぼれ落ち、ものが造作されてゆくのだろうか?

。。。ま、自然にできていくことなんでしょうね~


私の帯留めたちも、そのつどいろいろと工夫は凝らしてきてみたつもりではありますが、ここのところ代わり映えがしません。
少しでもいいので、違う形にステップアップしなくては。。
何とか質感をかえたいな~
もともと目標があって、まだ訓練や過程といった段階の帯留めたちです。ここで留まる訳にはいかないです。先は永いのです^^



そしてまた彼女はこうも言っていました。

これで良い。と思う日はないと。。。



ルーシー・リー
ウィーンに生まれ、ロンドンで活動した20世紀を代表する陶芸家(1902-1995)。

大阪市立東洋陶磁美術館http://www.moco.or.jp/
ホームページより割引券あります。

樋口可南子さん美しいナレーションの音声ガイドはA&Dオーディオガイドhttp://adaudioguide.com/


そしてひきつづき大阪歴史博物館『お守り刀展』にゆきます^^
もう、やっぱり閉館ギリギリまでみてしまいました。

歴史博物館からの大阪城

刃物自体とても好きです。
真っ赤な火の中よりその姿を現し、幾度も幾度も鍛えあげられる。。
その工程は何だかとても神秘的です。
そしてその刃を研ぐわけですが、そのピンっと研ぎ澄まされた空気がとりわけすきです。
その空気は截金にも、少し通じる気がします。

内容は、現代の刀匠たちの新作から鎌倉期の名刀まで。

他に現代の装剣金工師坂井俊政氏の作品群。主に鍔でした。
またこの『拵え』と、いうのは何て魅惑的なんだろう~と思います~
そしてこの鍔というものは、古くより人を魅了して止まないものと言われています。



私にも腕があったなら、拵えしてみたいな~
単に憧れですけどね。

いろんな意味で価値のある、とても充実したクリスマスイブだったのでした。
友人たちにも、ほんとうにありがとう~


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2 コメント

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おお~ (ふわり。)
2010-12-30 01:31:13
 なんだか芸術家らしいクリスマスの過ごし方でしたね。良かったね。
 大阪城なつかし~。

 私はマカオで博打でクリスマス過ごしました(笑)
返信する
ええ~ (一陽)
2010-12-30 01:54:16
博打ってなによぉ~?(笑)

うん^^いいクリスマスでした♪

大阪城はブレードランナーっぽく撮れました(なんかSF)。
返信する

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