おはようございます。中浦和(さいたま市南区鹿手袋)の歯医者、いちかわ歯科の市川です。大分春めいた陽気になってきましたが、朝晩は寒くなりますね。このところ風が強いので、特に感じます。お陰様で、咳の調子が大分よくなってきました。本当に診療中大変ご迷惑をおかけしました。
さて、先日、前歯をぶつけて折ってしまったお子さんが来院されました。実は以前も転んで折れてしまって、そのときは破片を接着しましたが、同じ場所を再度ボールがぶつかって取れてしまって、もう一度接着して、更に、もう一度転んでしまって、そのときには、もう破片よりも周りが一緒に折れてしまったので、破片が使えずにプラスチック(レジン)を詰めて歯の形を回復することを行いました。
本当に2度あることは3度あるということなのですが、どうしても、一度割れてしまったところは構造的に弱くなってしまいます。
以前私が作りました、歯やお口の中のの外傷(けが)についての対応の文章を掲載しますので、ご参考にしてください。
ワンポイント救急処置(歯科)
・ 小児の歯および口腔におこる外傷の原因としては、他者(頭、手など)や物との接触や、転倒、転落などがあります。
・ 主に起こるトラブルとしては、①歯が欠ける、割れる(破折)、②歯がぐらつく(打撲、亜脱臼)、位置がずれる(転位、埋没、陥入)、③歯が抜けてしまう(脱臼)、④くちびる、頬などを切るなどが挙げられます。
・ いずれの場合も、まず共通して言えることは、受傷してからなるべくすみやかに専門医(歯科医師)の診断および処置を受けることです。 また、受傷直後には影響がほとんど無い、あるいは軽度であるように見える場合でも、長期的には影響がある場合がありますので、(例えば、乳歯の外傷の場合は、生え替わりの永久歯への着色や形成以上などの悪影響がでることもあります。)できるだけチェックを受けた方が良いでしょう。
では、項目別に、受傷後の対応についてご説明致します。
①破折 もし、割れたかけらが見つかれば、できればそれも持ってきてください。(歯科用接着剤で着けられることもありますが、そうでないことも多いので、無理に探す必要はありません。)割れた大きさの度合いによって症状や処置が変わります。
一部が欠けただけであれば、欠けたところをセメントで塞いで様子を見たり、白いプラスチックで詰めたりします。
歯の神経まで達する割れ方ですと、痛みを生じることがあります。割れてから時間が経っていたり、割れた面が強く汚れていたりすると、神経を取り除く治療が必要になります。
さらに、歯の根っこの方まで割れていた場合には、抜歯となる場合があります。
②打撲、亜脱臼 痛みを伴うことが多く、特に食事を摂る時などは強くいたむので、やはり早めに確認した方が良いでしょう。処置としては、歯の位置のズレがあれば局所麻酔を使い正常な位置に戻し、歯科用接着剤を使って隣の歯と固定し約1~2週間経過を観察します。場合によっては痛み止めや化膿止め(抗生剤)を処方する場合があります。
また、受傷後数か月経過すると、受傷した歯が黒くもしくは赤く変色してくる場合があります。その場合は歯の神経が壊死してしまっているので、歯の神経を取り除く必要があります。
③脱臼 抜け落ちた歯を保存し、できれば、口(患部周辺)を水道水もしくはイソジンなどのうがい薬で軽くゆすいでください。刺激性のあるうがい薬や、強いうがいは控えるようにしてください。
抜けてしまった歯の保存法としては以下のうちいずれか可能な方法で行ってください。(乾燥したり、汚染したりすると歯の根っこ表面の細胞が死んでしまうため。)
1.受傷者の口の中(下の奥歯の外側と頬の間)に入れる。*注意:舌の側(内側)に入れると、特に小さいお子さんの場合には飲み込んでしまう危険性があります。また、大きなお子様でも受傷したことにより、気持ちが動揺している場合もありますので。
2.牛乳か、コンタクトレンズの保存液、生理食塩水の中に入れる。
(3.保護者の口の中に入れる。)
処置としては、抜けた歯を抜けた穴に植え直す(再植)ことを試みます。患部の汚染が少なく、受傷後処置までの時間が短ければ短いほど(30分以内)成功率が高くなります。
④唇、頬などの傷 先にうがい薬(刺激性のない物)か水道水で軽いうがいをして患部を洗浄してください。出血を伴うことが多いため、血が出ている部分をよく確認して、清潔なガーゼを当て、その上から指で圧迫してください。もしガーゼがない場合はハンカチ、ティッシュペーパー、軽く湿らせた(お茶や紅茶の)ティーバックなどでも構いません。通常5分程度で血は止まります。
処置としては、傷口の洗浄、消毒、場合により、塗り薬の処方や傷が大きければ傷口を縫います。
文責 いちかわ歯科