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ヒミズ(映画)

2012-08-20 01:45:00 | 映画
今回の記事は『ヒミズ』(2011年、監督:園子温)です。
東日本大震災後を舞台背景に、愛のない両親によってどん底に突き落とされ少年の心の彷徨を描いた感動の青春ドラマにして、今年一番の衝撃作品。
主演の染谷将太と二階堂ふみがヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)をW受賞したことでも話題となった。
誰の心にもガラスの衝撃を突きつけ、世界でも絶賛された本作、本当に傑作だと思う。

■内容紹介 ※goo映画より
15歳の少年・住田祐一は、実家の貸しボート屋に集まる、震災で家を失くした夜野さん、田村さんたちと平凡な日常を送っていた。
住田のクラスメイトの茶沢景子は、大人びた雰囲気の住田が好きで猛アタックをかける。疎まれながらも彼との距離を縮めていく茶沢。
ある日、借金を作り蒸発していた住田の父が帰って来た。金をせびりながら殴りつける父親の暴力に耐える住田。
ほどなく母親も中年男と駆け落ちしてしまい、住田は天涯孤独となってしまう。

「生きろ」と、君が言った。

ヒミズ

ヒミズ

ヒミズ


■感想
この映画は今年2012年のはじめに観た映画なのですが、この作品を超える衝撃作品はまだ出ていない。今年の映画は昨年よりも良作が多いと思っているのですが、それにも関わらず洋・邦あわせてもまだこの作品以上の衝撃を感じた映画はないのだ。
世界で絶賛された理由もよく分かる。

『ヒミズ』はジャンルとしては青春映画に分類される。青春ものはむず痒くて苦手という人もいるかもしれないけれど、『ヒミズ』はぜひにも観てもらいたい。
この映画は青春映画=思春期特有のモラトリアムな自分探しなんていうような生易しさは軽く蹴り飛ばしている。
主人公の住田と茶沢の二人は大人に比べればはるかに弱い子供で、まだ自分の進むべき道を決めかねている途上にいる曖昧な年頃だ。しかしこの二人を見て甘えているなんて思う人はおそらくいないでしょう。それ程までにこの二人が置かれている状況は深刻で絶望の底なのだ。(特に住田が)
「感動的な話でしょう? さあ感動してください」なんてお涙頂戴の魂胆が見え透いた生ぬるい映画とはわけが違う映画だった。

「自分以外のことはすべてわかる」
自分のことは本当は自分が一番よく分かっているはずなのに、主人公・住田のように追い詰められた時には一番わからなくなるものなのかもしれない。実際、何で自分は頑張っているのか、諦めてしまったのか、後づけの理由は考えてみるものの、本当のところはよく分からないなんてことはよくあるので、この住田のセリフ(有名な詩の朗読)は心に響いた。

どんなに絶望的な状況にあっても強気な態度の住田は魅力的だった。
ヤクザが父親の借金の取り立てに来た時も「金なんかねぇよ。あるわけないだろ」「俺はクズじゃない」とどんなに殴られようとも決して態度を崩さない姿はかっこ良かった。

茶沢さんは可愛い。
かなり強烈で変な子に見えるのだけれど、住田に負けないぐらいの孤独を実は抱えている。
二階堂ふみはちょっと変わった女の子を嬉々として演じるのが上手いですね。ナチュラルにパンチラしてるし。

冒頭の拳銃の件《くだり》は、主人公の孤独な心境を表すための演出だと思っていたら、終盤に対する伏線として張られた演出でしっかり回収されていた。この演出は上手い。

誰かから「いらない」と言われてしまうことは本当に辛いこと。住田と茶沢はそれを親から言われている。それがどれだけ残酷なことかは計り知れない。
ここまで絶望的で孤独で悲しい内容なのに、鑑賞後は不思議とそこまで鬱にはならない映画だった。
衝撃的で後味の悪い映画はよくある。しかし『ヒミズ』はそうはせず、力強い若者の希望で映画を締めている。
心はガラスでズタズタにされたような傷を受けるのだけれど、それでも前へ走り続ける。生きているかぎり歩みを止めることはできない。そんなラストシーンは感動で胸が熱くなった。

間違いなく大傑作だと思います。機会があればぜひ観てもらいたいオススメ映画です。
なお『ヒミズ』はPG12指定映画で、暴力描写も多いため、人によっては苦手に感じる点もあるかもしれませんので悪しからず。

■登場人物ちょいメモ
・住田(染谷将太)
…15歳の中学生。愛の無い両親が招いた絶望的な状況の中でボート屋を営み生計を立てる孤独な少年。あまりに絶望的な状況に慣れすぎたためかどこか達観した雰囲気すらある。
どんなに理不尽な目に遭わされようとも決して強気な態度を崩さなかったが、“ある事件”をきっかけに心を壊してしまう。

・茶沢さん(二階堂ふみ)
…住田に想いを寄せるクラスメート。住田の名言を部屋の壁一面に貼って集めていたり、謎のゲームで住田の気を向かせようとしたり、強引に住田のボート屋を改修したり(住田には無許可)と、かなり変な子。どんなに住田にぞんざいに扱われようとも決してめげない姿はいじらしい。実は住田に負けないぐらい家庭に問題を抱えた孤独な少女だった。

・夜野(渡辺哲)
…住田を尊敬するホームレス。もちろん住田より二回り、三回りは年上のおじさん。気は弱いが心優しく、絶望のどん底へとつき落ちていく住田を何とか助けようと奮闘する。作中後半で意外な過去が明らかになる。原作では住田の同級生というのだから、びっくりするぐらいの設定変更キャラだ。

・住田の母(渡辺真起子)
…父親が出ていった後、母一人で住田を育てる。が、おそらく母親らしいことは何一つしていない。それ故に住田はたくましく(ふてぶてしく)育った。どうしようもない母親だが、住田は唯一自分のもとに残っている肉親として気を許している面があったのかもしれない。しかし新しい男をつくり、住田をひとり残して出ていってしまう。

・住田の父(光石研)
…借金を作り蒸発していたが、再び住田の前へ金をせびりに戻ってくる。住田に暴力を振るうことを厭わない最低の父親。

・金子(でんでん)
…住田の父親が残した借金を取り立てに来るヤクザのボス。かなりの悪党であるが、ヤクザのボスを張るだけの肝がすわった面と様々なしがらみを経験したような空気感を持つ。住田にかける言葉が時々冷たくも優しいので善人な面もあるのかと思ったりもするけど、…ま、やっぱり悪人。

・テル彦(窪塚洋介)
…スリの常習犯。スった相手に気付かれないほどスリの腕前は鮮やか。窪塚が演じているため、独特の雰囲気があり何かいい。

・ミキ(吉高由里子)
…テル彦と同棲していた女。今話題の吉高由里子が演じているが、ほんの1ショットしか出ないという驚くほどのチョイ役。

・YOU(西島隆弘)
…路上ミュージシャン。さわやか系イケメンだったために襲われるという悲運な男。でもチョイ役。

・ウエイトレス(鈴木杏)
…チョイ役です。『ステキな金縛り』の時も思ったけど、実はウエイトレス役って意外な人気女優がサラリと演じていることが案外あるのかも。

■予告編


映画データ 
題名 ヒミズ 
製作年/製作国 2011年/日本 
ジャンル ドラマ/青春 
監督 園子温 
出演者 染谷将太
二階堂ふみ
渡辺哲
諏訪太朗
川屋せっちん
吹越満
神楽坂恵
光石研
渡辺真起子
モト冬樹
黒沢あすか
堀部圭亮
でんでん
村上淳
窪塚洋介
吉高由里子
西島隆弘
鈴木杏、他 
メモ・特記 原作:古谷実
PG12指定

マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)(染谷将太、二階堂ふみ)受賞 
おすすめ度★★★★★
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒ヒミズ - goo 映画

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