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鉄道員(映画)

2010-06-05 23:57:00 | 映画
今回の記事は『鉄道員』(1956年、監督:ピエトロ・ジェルミ)です。
第2次世界大戦後のイタリアに生きる庶民の人生の歓びや哀しみを描いた映画史に残る感動作。
家族愛、親子愛、隣人愛の素晴らしさに改めて気づかされてしまう。
温かく穏やかで静かな感動に包まれる珠玉の名作です。
午前十時の映画祭上映作品。

■内容紹介 ※午前十時の映画祭ウェブサイトより
鉄道機関士のアンドレア(P.ジェルミ)は、厳格な父親であった。
長男マルチェロや長女ジュリアはそんな父を敬遠し、幼い末っ子サンドロだけがアンドレアを尊敬し、誇りに感じていた。
そんな家族を支えているのは、寛容で慈愛に満ちた母サラ(L.D.ノーチェ)の存在であった。
ある日、アンドレアの運転する列車に青年が飛び込み自殺をしてしまう。
そのショックで信号無視を犯し、アンドレアは降格。
組合も彼には厳しく、彼は酒におぼれ、周囲からも次第に孤立していく……。

パパ、ボクと一緒にお家へ帰ろう……

鉄道員

鉄道員


■感想
午前十時の映画祭に選ばれる映画は凄い。
この『鉄道員』を観て、改めて強くそう思わされた。

『鉄道員』には派手さはありません。
しかし、その物語の素晴らしさには特筆すべきものがあり、これぞまさに「人間ドラマだ」と言える珠玉の感動作でした。

『鉄道員』の物語をごく簡単に紹介すると、
真面目で厳格な性格だった鉄道機関士のアンドレアは不運な事故を起こしてしまい、そのことが原因で酒に溺れてしまう。
家族もバラバラとなり、アンドレアは孤立してしまうのだが、末の息子のサンドロは彼を尊敬し変わらず慕い続けた。
そんなサンドロのいたいけさに心打たれ、家族は再び再生していく。

物語はサンドロ少年の純真な目を通して描かれています。
内容的に暗くヘビーな所もあるのですが、サンドロ少年のいたいけさと無邪気さ、そして可愛さが手伝って、観ていて鬱な気分には陥りません。
すっかり孤立し荒んだアンドレアがひとり酒場で酒を飲む場面にサンドロ少年が現れ、アンドレアの表情がとても優しくなったシーンは忘れられない。
家族の誰もがサンドロを愛しているんだなぁとつくづく思った。

物語は次第にどん底へと進んでいってしまう。
けれど後半から少しずつまた良い方向へと戻っていきます。
そこからの物語が本当に心温まってたまらない。
とても優しくて温かい気持ちになっていきます。
それまで暗かった分、嬉しさもひとしおだった。
そして忘れられないラストシーン。
少し悲しくて、だけどとても静かで穏やかな気持ちで満たされました。

どんなにどん底にあろうとも、人を想う気持ちの素晴らしさと、家族の絆の温かさを強く実感させられました。
たとえバラバラになろうとも、すれ違ってしまおうとも、家族には決して消えないかけがえのない想いがきっと残っている。
だから家族を蔑ろにしたり憎むことは辛い。
家族の大切さを実感できる生き方こそが私たちを心穏やで幸せな気持ちにさせてくれるのだと思います。

この映画はぜひとも一度は観てもらいたい素晴らしい映画です。

映画データ 
題名 鉄道員 
製作年/製作国 1956年/イタリア 
ジャンル ドラマ 
監督 ピエトロ・ジェルミ 
出演者 ピエトロ・ジェルミ
エドアルド・ネヴォラ
ルイザ・デラ・ノーチェ
シルヴァ・コシナ
サロ・ウルツィ
カルロ・ジュフレ
レナート・スペツィアリ、他 
メモ・特記 午前十時の映画祭上映作品
カンヌ国際映画祭:国際カトリック映画事務局賞受賞 
おすすめ度★★★★★
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)※午前十時の映画祭特設ページです。
+鉄道員(1956) - goo 映画

+⇒午前十時の映画祭レビュー索引



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