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トウキョウソナタ(映画)

2008-10-06 00:04:23 | 映画
(C)2008 Fortissimo Films/「TOKYO SONATA」製作委員会

今回の記事は『トウキョウソナタ』(2008年、監督:黒沢清)です。
2008年カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門で審査員賞を受賞。
僕は、黒沢清監督は日本人映画監督の中では屈指の監督だと思っています。
なのでこの映画はすごく楽しみにしていました。

■内容紹介 ※goo映画より
健康機器メーカーの総務課長として働く佐々木竜平は、人事部に呼び出され、リストラを宣告される。
突然の出来事に、呆然としたまま帰宅するが、家族にリストラされたことを言い出せない。
翌日から、会社に行くフリをして、毎日ハローワークへ通う日々を続けることに。

小学校6年生で次男の健二は、帰り道でピアノ教室を見かけて心を惹かれる。
健二は家族に内緒でその教室に通い始めてしまう。
――父さんに話しても無駄だから。

竜平は子供が自分で決めたことに絶対に反対する。
この家庭では竜平の判断が絶対なのだ。
妻の恵はそんな竜平に対して、どこかで不満を募らせていく。
必死に自分の威厳を守ろうとしているけれど、私は……。

家には帰ってきたり来なかったり。目標もなく自由気ままに暮らす大学生の長男の貴。
そんな貴が、ある日突然に「世界平和のためにアメリカの軍隊に入りたい」と言い始める。
恵は戸惑い、竜平は当然のごとく反対するのだが……。

家族の心はバラバラ。

ボクんち、不協和音。

トウキョウソナタ

トウキョウソナタ


■感想
冒頭にも書きましたが、僕は黒沢清監督は日本屈指の映画監督だと思っています。
理由は2つ。
1つは映像センスがとても素晴らしいから。
何気ない風景をここまで印象的でかつ魅力的に撮る人はそうはいないと思う。
もう1つは脚本のセンスが好きだから。(こちらは人それぞれかもしれませんが)
黒沢監督の映画のストーリーはどこか冷たく渇いた印象を受けることが多い。
けれど心に確かに響く何かを感じることができます。
黒沢監督の映画は見るたびにその感じる何かは少しずつ変わっていくんです。

と、いきなり個人的な監督絶賛をずらずら書いてしまいましたが、メインの感想に入ります。

この『トウキョウソナタ』は第61回(2008年)カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した作品です。
とは言っても、それほど奇抜な視点で映画が進行していくわけではないです。
黒沢監督の映画としては分かりやすい部類の映画だったと思います。

描かれているのは、とある家族。
この家族の風景にはどこかに違和感を感じます。
実は家族の誰もが心に秘密を抱えていて、家族の間には溝があるのです。
けれど、現代社会においてはこれが普通の家族の姿なのかもしれませんね。
不満があっても言わないし、親も子供も全てを話すことはない。
現代社会では、家庭の中であっても誰もが孤独を抱えているのかもしれない。
じゃあ、そんな家庭は大切では無いのか?
そんなことはありません。
例え溝があったとしても、家庭は自分の帰るべき場所。
最終的に帰りつく場所は家庭。
決して無くなって欲しくない、かけがえの無いものなのです。
この映画のテーマも最終的にはそこに落ち着いていたと思います。
(黒沢監督の映画でこんな明るい感想を書けるとは思ってもいなかった)
作中後半の、香川照之の「どうしたらやり直せる……」の言葉がズシリと心に刺ささります。

隠し事をしたとしても、意外と相手にはバレてしまっていることが多い。
特に親の秘密は、その全ての意味は分からずとも、感覚として、子供達は敏感に感じとっているのかもしれない。
だから、ほんの少しだけ、自分の本当の姿を見せ、相手も受け入れてあげれば、案外良い方向へ進んでいくのかもしれませんね。

群衆を無気力・無表情・無感情に描くのは黒沢監督らしい。
それがまたリアルに感じてしまうのが現代の悲しさ。
子供の健二が体験する理不尽な大人の世界が実に淡々と描かれているのも印象的でした。
こういう撮り方もまた黒沢監督らしい。

黒沢映画ではもうすっかりお馴染みの役所さんは、今回はコミカルな役を演じてます。
愛すべきダメ男。今までにない役だ。
彼のダークな最期はこの映画においても最後の暗い展開となっています。
夜明けと共にもとに戻る。今度は良い方向で。

誰も席を立たなそうなエンドロールですが、実は何もありません。
けどこのエンドロールで映画の静かな余韻を感じるのもまた乙です。

映画データ
題名トウキョウソナタ
製作年/製作国2008年/日本=オランダ=香港
ジャンルドラマ
監督黒沢清
出演者香川照之
小泉今日子
小柳友
井之脇海
井川遥
津田寛治
児嶋一哉(アンジャッシュ)
役所広司、他
メモ・特記↓受賞
2008年 カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 審査員賞
おすすめ度★★★★
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒トウキョウソナタ - goo 映画

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2 コメント

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家族の秘密 (萩 ますび)
2008-10-06 00:53:17
キョンキョンと香川さんの
映画に対してのインタビューを観ました
二人ともいい俳優さんになりましたよね
家族がそれぞれ抱えてる秘密・・・
私は寂しく感じてしまいました
何でも話せる最後の砦は
家族なんじゃないか、っていう考えは
もう旧式なのかな
予告でしたが、映像綺麗でしたね
ますびさんへ (ichi-ka)
2008-10-08 02:44:53
コメントありがとうございます。
何でも話せる家族の関係って素敵だなと思います。けど実際はそういう家族ってあまりいないと思ってしまう自分が少し寂しいです。
キョンキョンも香川照之さんも自然な演技がとても良かったです。

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