2020/4/29放送
世の光の時間です。いかがお過ごしでしょうか、福井誠です。
継続は力なり。聖書を一日一日と読み進むなら、不思議にも自然に養われるものがあります。
今日も聖書を開いて参りましょう。雅歌3章5節から「愛がそうしたいと思う時までは」と題してメッセージをお伝えいたします。
「揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛がそうしたいと思うときまでは。」
雅歌はヘブル語ではシール・ハ・シリーム、直訳すれば「歌の中の歌」です。ヘブル語では単語を二度繰り返すと最上級になるので、「最も優れた歌」という意味になります。伝統的にユダヤ人はこの書をイスラエルに向けられた神の愛を主題としていると考えてきましたし、キリスト教会でも教会に対するキリストの愛を伝えるものとして読んできました。
著者は一般にソロモンと考えられていて、ソロモンとその相手方の女を主役とした恋愛劇の詩となっています。そこでどの節が誰の台詞(せりふ)なのかを注意しながら読んでいくことが大切です。今日読んだ箇所は相手方の女性の台詞になりますね。
少し背景を説明すると、深く強い恋愛関係を求め合う男性と女性の思いが初めに語られていきます。そのような衝動性を伴う恋愛感情に女性は慎重で、「揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛がそうしたいと思うときまでは。」と語っているわけです。つまり言いたいことは、愛というのは関係の中に自然に目覚めるもの、育ってくるもの、実を結ぶ時を要するものだということです。時と共に深みを増し、いつしか二人は結びあっていると気づかされるものなのです。ことさら意図的に関係を作り出そうとして作り出すものではないということですね。
神と人の関係も同じです。こうして毎日聖書を読みながら自然に育ってくるものがあるのです。かの宗教音楽家バッハはこの雅歌をもとにカンタータ140番『目覚めよとわれらに声が呼びかける』を作曲しました。バッハはイエスと私たちとの関係を歌う霊的な歌としてこれを作ったのですが、それはやがて天に迎えられる時までに私たちと神との愛の関係が深められて行く素晴らしさを歌っています。神との愛も自然に育つものであることを覚えて聖書を読み続けたいものですね。
では良き一週を祈ります。
(PBA制作「世の光」2020.4.29放送でのお話より )
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