郷土食研究会 うまかっぺ!茨城 

茨城の郷土食に関するあれこれ。また、そこから、「食」だけではない、た~~~くさんの、よもやま話などなど・・・

夏の、霞ヶ浦のシラウオ・ワカサギ

2022-07-29 22:21:00 | グルメ
先週7/21、霞ケ浦の今年のシラウオ漁、ワカサギ漁が解禁になりました
特に霞ヶ浦のワカサギ漁は、全国に先駆けて早く始まるのだそうです。

昔は帆びき網漁でしたが、今はいずれもトロール漁とのこと。
帆引き船は、今は観光帆引き船として、期間限定ですが霞ヶ浦で見ることが出来ますね

シラウオとワカサギについては、
茨城県の公式HPの
① ホーム > 茨城を創る > 農林水産業 > 水産業 > 霞ケ浦北浦水産事務所 > 霞ヶ浦北浦の水産物 > シラウオ
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/kasui/shinko/kasumigaura-shirauo.html
② ホーム > 茨城を創る > 農林水産業 > 水産業 > 霞ケ浦北浦水産事務所 > 霞ヶ浦北浦の水産物 > ワカサギ
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/kasui/shinko/wakasagi.html
に詳しいので、こちらを参考にさせて頂きますと、

シラウオは、主に汽水域に生息するサケ目シラウオ科の魚
そして、海水域に生息するイシカワシラウオとも別種の魚だそうです。

7月21日のトロール解禁時の体長は4センチほどで、それが、12月頃には10センチほどに成長するとのこと
12月の漁を「寒曳き」というそうですが、寒曳きのしらうおは、結構大きいのですね。

そしてキュウリウオ目キュウリウオ科のワカサギは、
7月21日の解禁時の体長は6センチほどで、12月頃には10センチ以上に成長するとのこと。

大きく成長したその寒曳きのワカサギを焼いたものを、江戸時代、霞ケ浦沿岸の麻生藩の藩主が徳川家に献上したところ
大変喜ばれて、それ以来「御公儀の魚」として献上されてきたそうです
ワカサギを「公魚」と書くのもこの「御公儀の魚」からとのこと。

この寒曳きのワカザギを串に刺して焼いたものについては、当ブログの以前の記事
 茨城のお正月料理
でもちょっと紹介していますので、良かったらお読み下さい

そして夏に獲れるワカサギは、「ナツワカ(夏ワカ)」と呼ばれますが、夏のワカサギは実は一番脂がのっているそうで、上記のサイトによると
「食用油の入手が難しかった頃は、漁師さんがナツワカを茹でて煮干しを作る際に、浮いた油を集めて農家さんの育てた野菜と物々交換し、揚げ物などに使っていたそうです」
とのこと! 夏にそんなに脂がのっているとは!


7/21の漁解禁直後の初物のシラウオを頂く機会がありました。


しらうおのお造り。

つやつやで透明で、ピンとした姿が美しい
口に入れると、全く匂いはありませんし、特徴的なのは、なんといっても野菜のようなサクサクした歯ざわりと滑らかな舌触り。
そしてさっぱりながらも、旨味もしっかりあって、美味しかった


こちらは、霞ケ浦の幸の天ぷら盛り合わせ。
緑の美しいピーマンの天ぷらに、赤いのは川エビのかき揚げと天ぷら(小さい川エビはかき揚げ、
大きいものは一匹ずつ天ぷら)、そして白い魚がたくさんあるのが、シラウオのかき揚げ。

お造りで頂くシラウオとはまた違う味わい。
熱々サクサクの衣と一緒に、衣に負けないシラウオの味わいが口に広がります。

※霞ヶ浦の川エビ(テナガエビ)についても、またいずれ触れたいと思います。
 川エビの天ぷらも、甘くて、サクサクして、美味しかったです。
 なお、川エビ(テナガエビ)の卵は「えびまこ」と呼ばれる稀少な食材。
 当ブログでも、以前、「えびまこ」について書いておりますので、良かったお読み下さい
 霞ケ浦の「えびまこ」のお雑煮



お土産に購入した、初物のしらうおの煮干し、同じく初物のワカサギの煮干し。
そして寒曳きのしらうおの煮干しも購入。

写真奥は、新物のワカサギ(夏ワカ)の煮干し。
写真手前の右は、新物のシラウオの煮干し。
そして手前左は、(多分冷凍保存されていた)寒曳きのシラウオの煮干し。
大きさの違いに注目!

一般に「煮干し」と言うと、からからに乾いた固い干し魚をイメージされるかと思います。
ところが、霞ヶ浦沿岸の、ワカザギ、シラウオなどに「煮干し」は、柔らかい半乾燥状態。
「しらす干し」を想像するとイメージしやすいと思います。
塩味がついているので、そのままでご飯のお供にも、お酒のお供にも、とても美味しい

でも、もっといろんな食べ方を知りたいですよね。
そこで
霞ヶ浦沿岸、行方市では毎年、地元食材を使ったレシピコンテストがあり、入賞したレシピは公開されています。
その第4回レシピコンテストが「川魚」で、美味しい食べ方がいろいろ紹介されています。

 詳細 行方市地域ポータル「なめがた日和」 > 第4回 行方レシピコンテスト【川魚】結果発表!!
 https://namegata.mypl.net/mp/recipe_namegata/?sid=66647

実は、以前も書きましたが(私事で恐縮ですが)、そのレシピコンテスト第4回「川魚」レシピコンテストの
「鯉・ワカサギ・シラウオ・川エビの加工品を使った部門(主食・おかず)」で入賞させて頂いたことがあります。
料理名:「おこげの「霞ヶ浦の恵み」あんかけ」

こちらのサイト
なめがたブランド戦略会議 https://namegatafoodvalley.org/
に、レシピが公開されていますので、ご覧になって、是非おうちで作ってみて下さいませ♪
「おこげの「霞ヶ浦の恵み」あんかけ 」

私のレシピ以外も、もちろん、とても美味しそうなレシピばかりです!
レシピコンテスト開催を続けておられるのってすごいと思います。継続は力なり!ですよね


海も、山も、湖も、平野(田畑)もある茨城、食の宝庫だとつくづく思います

写真は、行方市麻生地区から見た霞ヶ浦(2022年7月撮影)


【その他の参考サイト】

茨城をたべよう いばらき食と農のポータルサイト

茨城をたべようTOP > いばらきの農林水産物 > シラウオ
https://www.ibaraki-shokusai.net/brand/shirauo/

(市川)







すかんぽ(いたどり)の春芽

2022-04-13 18:47:44 | グルメ
先日、ヤマザクラも美しい筑波山麓を歩いていると、山菜らしい植物を抱えて歩いているおじちゃんがいました。

すかんぼ」とのこと。そして、
これの皮を剥いて、生のまま、味噌をつけて食べると旨い!」とのこと


その時の足下には、同じ植物が群生していました。
おじちゃんは、道から離れた山の中で採ってこられたそうです。

一つ頂きました


写真は頂いてから2時間ほど経ってしまっているので、少々葉が萎れていますが、茎はみずみずしい

私の実家の方では、「すかんぼ」は「スイバ」の別名ですが、これは違う植物です。
調べると、これは「イタドリ」でした。

「イタドリ」を「すかんぽ」と呼ぶ地域と、「スイバ」を「すかんぽ」と呼ぶ地域があるようですね


ちなみに「スイバ」はこちらの植物です。
写真がピンボケでごめんなさい

実は私は、今回「イタドリ」を初めて見ました

皮をむいて生のままで、味噌をつけて食べるとのこと
「お酒のおつまみに最高」とのことなので、早速試してみることに。


フキのように、皮は手で筋に沿って縦に簡単に剥けます

皮を剥くと、美しい緑色
そして、水分を多く含んだ、瑞々しい茎。

そのまま茎を囓ってみると、サクッとした噛みこごちで、豊かな水分と共に、爽やかな酸っぱさが口に広がります。
特にえぐみもしぶみなどもありません

山を歩いていて、喉が渇いた時に、これを見つけてかじるという話も聞きました
確かに、酸味が、疲れにも喉の渇きにも効きそう


味噌をつけて食べると・・・。

これは美味しい! 

酸味が味噌と調和して、とても食べやすい。
酢味噌は、酢の香りが強いですが、これは特に強い香りもないですし、サラダのようで爽やかで、あとを引く美味しさ。

たくさん、すかんぽを採っていたおじちゃんの気持ち、分かりました

春の山草、地元の方は、いろいろ堪能されているようです

(市川)


赤餅・もろこし餅

2022-02-01 20:58:01 | グルメ
昨年末に坂東市に行く機会があり、「坂東市の名産品」(坂東市名産品会 発行)というパンフレットを見つけました

その中で「郷土食」の「赤もち」を最中に入れた創作和菓子がありました。
古くから郷土食として親しまれてきたモロコシ原料の赤もち」の一文に、私はくぎづけ

写真をみる限りでは、最中の餡の中にある四角いお餅は柔らかそうで、滑らかな感じです

残念ながら、その日は時間が無くて、紹介されていた和菓子は購入出来なかったので、
坂東市の「赤もち」がどういうものかまだ知らないのですが
「赤もち」という初めて知るお餅の名に惹かれて、調べてみました


★もろこしとは?★

まず、「もろこし」とは、別名、「たかきび」「コーリャン」「ソルガム」とも呼ばれるとのこと。
・・・「コーリャン」という名は、中学・高校の頃の地理で、中国の農産物として習った記憶があります。
そして、中国のお酒「白酒(パイチュウ)」の原料・・・酒好きなので、ついそんな連想が(笑)。

余談は置いといて、大事なポイント
「もろこし」という名前から、「とうころこし」や「きび」とも混同されやすく、
 ・もろこし/たかきび/コーリャン:イネ科モロコシ属
 ・とうもろこし:イネ科トウモロコシ属
 ・きび:イネ科キビ属
で、それぞれ違う植物です(Wikipedia「モロコシ」より)。

・・・勉強になります。


★「あか餅」について文献で調査★

さて、「もろこし」=「たかきび」を使ったお餅「赤もち」「もろこし餅」について手元の文献等で調べました。
すると以下のようにいろいろあるようです。

(1)農林水産省ホームページ 食文化 > うちの郷土料理 > 茨城県 赤餅(あかもち)
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/akamochi_ibaraki.html
こちらのサイトに、「赤餅」の写真とその云われや、原料の「もろこし」の写真があります。

こちらのサイトによると、
鎌倉時代ごろ、阿弥陀寺中興開基安養上人が、「赤餅」の原料であるもろこしの種を生国である現在の群馬県より坂東市長須の地に持ち帰り伝えられたといわれている
とのこと。

やはり、板東市の郷土食ですね!

また「もろこし」についても説明があり、
もろこしは、イネ科の1年草で、夏になると穂がなり、秋の収穫の時期になると、赤紫色に変化する栄養価の高い穀物」で、

稲や小麦が育ちにくい地域でも育てられることから、利根川、那珂川(なかがわ)、久慈川流域の農村地帯など、よく水害が起こる地域で栽培されていた

とのこと。
昔の人々の生活の知恵が伝わってきます。

なお、こちらに紹介されている「赤餅」のレシピは、後述する(2)の文献(「いばらきの味-郷土料理献立集 食・彩・百・景」)から引用されたものです。


(2)「いばらきの味-郷土料理献立集 食・彩・百・景」(茨城県衛生部成人病対策課 編集・発行 1995年1月発行)

こちらは上記(1)の農林水産省の「赤餅」の記事の参考文献となっています。
旧 岩井市(現在の坂東市)の「赤餅」として紹介されています。
作った赤餅や、たかきびの実がたわわになった穂も写真になっているので分かりやすいです。
この写真から、やはり、ここでいう「もろこし」は「たかきび」なのが分かります。

 材料: もろこし粉、湯、きな粉、砂糖
 おおかまな作り方: もろこし粉に湯を入れ、耳たぶくらいの柔らかさになったら丸める。
           それを茹でて、熱いうちに、きな粉をかける。

砂糖ときな粉を使うので、甘くして頂くお餅ですね


(3)「聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集⑧」(発行:社団法人農山漁村文化協会)

こちらの文献では、同じ「もろこしもち」の名で、県央畑作地帯、北部山間地帯、鹿島灘沿岸 それぞれの食として紹介しています。
ただし、いずれも写真がなく文章だけなので、「もろこし」が「たかきび」なのか実ははっきりしません。

 ① 県央畑作地帯の「もろこしもち」 
   概要:
   もろこしは「もちもろこし」を使う。精米所で搗いてもらい、もち米と一緒にひやし、せいろでふかす。
   3割くだいもち米を入れた方がいい。
   搗きたてのうちにあんをまぶして食べる
   残ったら円筒形にして輪切りにしておく。焼きながら、醤油、きな粉、あんをつけて食べる。
   「冷めるとまずい」とのこと。

   筆者註:ここでいう「もろこし」は「もちもろこし」という記述から、
       もしかすると「きび」かもしれません。
       きび(黍)には、お米と同じように、「うるしきび」と「もちきび」がある
       とのことなので、「たかきび」でなくて「きび」を使った餅の可能性があります。
       この書籍には写真がないので詳細は不明ですが。

② 北部山間地帯の「もろこしもち」
   概要:
   精白したもろこし二升と、もち米1升の割で搗く。
   焼き餅にすると香ばしく、腹にもたれない。
   また薄く切って干しもちにし、春先の間食やお茶菓子にする。
 
 ③ 鹿島灘沿岸の「もろこしもち」
   概要:
   寒中、もろこしを搗いて水にさらす。毎日水を取り替え1ヶ月くらいおく。
   それを二、三日からからになるまで干して、それを石臼で粉にしたものを団子にする。
   茹でてお汁粉に入れる。つるつるしておいしい。
   もろこし粉を「もろこしの寒ざらし」というとのこと。

「赤餅」「もろこし餅」も、作り方も食べ方もいろいろあるようです


★「おらげの赤餅」にトライ!★

で、とにかく、実際に作ってみました

「もろこし」という名では売られていることは少ないようですが、
「たかきび」という名ですと、市販品もあり比較的手に入りやすいです。
私はつくば市内の自然食材のお店で購入しました。

昔はもち米の代わりに使われたとのことですが、現代ではたかきびの方が高級食材です・・・

上の参考HPや文献にあるような粉は手に入りませんので、たかきびは粒のままもち米と一緒に炊いたものをすりこ木で搗いて餅状にして、作ってみました。

レシピも上の文献からも特に決まってはいないようなので、まずはトライ
「おらげの赤餅」ということで、今回のように作ってみました

★材料★
たかきび 120cc
もち米  80cc

(合計1合程度)

お好みの調味料:今回は醤油
 砂糖、きな粉、小豆あんなど、お好みで。

★道具★
すり鉢
すりこぎ
クッキングシート
オーブントースター

★作り方★
1.たかきびは1日ほど水につけておく。

2.もち米は洗った後、30分程ざるにあげておく。

3.炊飯器に、1と2を入れ、1号の米を炊く時と同じ分量の水(炊飯器内釜の1合の目盛り)を入れて、普通に炊く。

(写真は炊き上がったものをすりこぎに移したところ)


4.すりばちに炊きあがった たかきび+もち米を移し、すりこぎで粒々をつぶすようにして搗く。

 機械で搗くとなめらかなお餅になると思いますが、根性のない私が数分程度すりこぎで搗いたもので、たかきびのつぶつぶが残って、素朴といいますか、ちょっとワイルドです(笑)。もっと長い時間丁寧にすりこぎで搗いたら、もっと滑らかになるかと思います。

 また上の文献にある赤餅は、もろこし粉から作ったり、専門の所で搗いてもらったりするようなので、実際はこの写真のものよりずっと滑らかで、たかきびの粒々は残っていないかと思います。その点、ご理解下さいませ

★食べ方★

①まずは、つきたてに、お醤油をちょっと垂らして。

 私が作った「おらがの赤餅」は一見ワイルドでつぶつぶは残っていますが、柔らかいです。
 (数分程度のすりこぎでの搗きでも十分柔らかく美味しい
 クセが全然なくて、食べやすいです。もち米だけのものより少し歯ごたえがある感じです。
 ぱくぱく食べられちゃいます


② 次に、残りをクッキングシートの上で薄く広げ、そのまま1日ほど乾かしました。

(写真は1日乾かしたもの)
表面は乾き、中はまだしっとりしているセミドライの状態ですが、これを食べやすい大きさにカットして、オーブントースター(1000W)で7~8分ほど焼いてみました。

 
それにちょっとお醤油を垂らして頂きましたが、香ばしくてとてもおいしい
家族から「また作って」とリクエストがあったくらいです
 
今度作る時は、もっとお餅をからからに乾かしてみたものを、焼いて食べてみたいです

すり鉢とすりこぎで、手で搗くと量は沢山作れませんが、ちょっとしたおやつにはちょうど良い量かもしれません。
たかきびが手には入ったら、是非お試し下さい。
素朴な味わいで、実においしいです 


また、実際に「赤餅」・「もろこし餅」を召し上がったことのある方、是非、教示頂けると幸いです。



(市川)

「祝い食」にも地域の魅力が♬

2021-08-23 20:26:14 | グルメ
チョー、久しぶりとなる投稿です。いつもコンビの市川さんにおんぶにだっこでこのブログ・・続いております・・
感謝です

今回のテーマ「祝い食」ですが、実は、このテーマ、江田がパーソナリティをしている番組で、メッセージテーマとした時に、地域食に触れる興味深いメッセージを頂きました。コンビの市川さんから、そういうメッセージもったいないから、ここに載せたいよね♪とのアドバイスがあり、そうだそうだ!という事で、こちらにUPすることになりました

番組のメッセージで興味深い祝い食が2つ

1つが県西の(下妻など)「うどん」です。お祝いの席で、皆でうどんを食べるというメッセージを複数頂きました。
お酒の席だからの、一般にいうところの締め?で出るのかと聞いたところ、
しめではなく、普通に「祝い食」の一品として、卓上に出るとのことです。
その日のゲストに、茨城、茨城の自然に非常に詳しい方が出演してくださっていて、
そのお話をしたところ、県西地区は、小麦が良く獲れるという事を教えてくれました

なるほど、やはり地産は関係するというところでしょうか?

その地産からというのが明らかなのが、
2つめの行方地域(旧麻生や玉造)や鉾田などでの「鯉のうま煮」です。


まさしく、この地域で名産の鯉を使った料理が「祝い食」とのことです。

リスナーの”いもむすこさん”(御本人了解)からの多大なご協力でのお話をもとにで、
上の写真のように、鯉を輪切りにしてのいわゆる甘露煮にしたものだそうです。

家庭や業者によって、味付けが多少違ったり、ちょっと泥臭い場合もあったり(笑)とのことです。
業者、といいましたが、さすがに名産品なので製品化されていて、
市町村によっては、ふるさと納税の返礼品にもなっているようです。

「鯉のうま煮」、と検索すると、長野、上越方面でも、地域食としてあがってきますが、
この地域の養鯉屋さんがそちらの鯉処地域にも鯉を卸しているとのことですから、本場ですね。

この「鯉のうま煮」ありとあらゆるお祝い事の席で頂くそうで、
他の一般的なお祝い食と卓上に並び、
その場で食べなかった場合はお持ち帰りなどにするそうです。
しっかり、煮てあるし、味付けもしっかりなので、持ちもよさそうですね

いもむすこさんは、幼少期から食べていて、いつからかなど明確ではないとの事です。
それくらいなじんだ一品という事になるかもしれません。
地域ならではの食が、「祝い食」というお題の時に、ぱっと浮かぶ

そういう食があるって、とても魅力的だと思いませんか?

(江田)








柿もち

2021-01-28 21:09:07 | グルメ

「かきもち」というと、鏡餅など、乾燥した餅を割って揚げた、いわゆる「揚げ餅」を想像しますが、こちらは、同じ「かき」でも「柿」です。


「聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集⑧」(発行:社団法人農山漁村文化協会)によると、

「『みょうたん種』の柿でつくるとよい」
とのこと。

みょうたん種の柿とは渋柿の一種のようです。

一般に渋を抜いた柿の方が、甘みは濃厚と聞きます

つづいて同書では

「霜がおりて木からもぎ、囲っておく。正月近くになるとべとべとしてくるので、片口などにいれてつぶす」

とあります。

秋の果物の代表の柿を使いますが、熟して柔らかくなった柿を使うので、正月明けの食べ物の位置づけのようです


つぶした柿に「麦こがし」を「固まるくらい」たくさん入れて食べるとのこと。

そして

「つくってすぐ食べるより、一晩くらいねかせておいた方が、味が麦粉にしみておいしい」

とのこと♪

「麦こがし」は大麦を炒って粉にしたもので、「はったい粉」「こうせん(香煎)」「麦こうせん」とも呼ばれているものです。

 

つまり「柿もち」の作り方はとても簡単

① 柔らかくなった柿の実をかき出して、さらにペースト状にする。

② そこに、お団子が出来るくらい硬めになるまで、麦こがしを加えて練る。

③ そして、そのまま食べても良し。1日ほど寝かして食べても良し。

簡単なのが嬉しい!

早速作ってみました


今回は、正月前に柔らかく熟した柿の実をペースト状にして冷凍保存したものを使いました。

また私の好みなんですが、ペースト状にした柿の実に、生姜(秋だったので新生姜)を刻んだものと、ふくれみかんの皮を刻んだものを少し加え、一度火を通して香りと風味をしみ込ませたものを使いました。

甘味は柿の持つ自然の甘さだけ。
それに、麦こがしの香ばしさが加わって、高級和菓子に匹敵する美味しさ
しかも、とても簡単に作れる

秋に柿を食べるのが更に楽しみになってきました
柿は少し置いておいて、あえて柔らかくさせて、この「柿もち」を作るのも良いですね。

秋に収穫した柿がまだギリギリ食べられる1月。
手に入らなかったら、今度の秋のお楽しみで。

簡単に作れて美味しいこの茨城の郷土食、是非ご家庭で楽しまれて下さい

 

(市川)