ias デザイン室

(株)社会空間研究所のデザイナーが作成した作品を集めたお部屋です。ぜひ、立ち寄って行ってくださいね。

■建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの

2018年08月10日 | Watch & Think

建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの
   (六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 2018.4.25~9.17)

知り合いから見に行くべきと紹介された企画展。
展示の仕方がかっこよく、模型に興奮すると言っていた。
「建築の日本展」「遺伝子」という壮大な言葉にどうなの?と思って観に行ったのだそうですが、帰るころには「日本って凄いだろ」と心の中で呟いていたそうだ。

この企画展の監修をされている藤森照信の神長官守矢史料館や秋野不矩美術館、養老昆虫館を見てみたい。
前に秋野不矩美術館に行ったことがあるのですが、その日は展覧会の入れ替え日に当たっていて休館日でした…。秋野不矩の絵と美術館の雰囲気がとても似ていて建物自体が秋野不矩の作品のようでした。


縄文つながりでもう一つ。



火焔型土器はこの後、パリに行くそうです。
これこそ、日本の遺伝子!「日本って凄いだろ」と叫んでくれることだろう。


■ 急がない人生

2017年06月26日 | Watch & Think

朝、君の写真を見ると幸せな気分になれる、と言われた。

いい気分だった。

自分のやってきたことは無駄じゃなかった。



回顧展だから仕方ないが、今回の展示は1940~60年代の第一線で活躍していた時の作品が主だった。
銀塩写真はぞくぞくするほど美しい。そしてもちろん展示された写真は最高に美しく、格好いい。NYの空気まで展示されているような写真展だった。

再評価された時に、今こんな感じの写真を撮っていると流された写真は、四角くく切り取られただけのどこだかわからないただのNYの風景だったが、変わることのないソール・ライターの目を通したNYだった。
手にしたカメラがデジタルになり、現像しなくてもよくなったので、それこそ瞬きするように撮っていたようだ。
旅行者や居住者がスマホで撮っても、簡単に絵になってしまう街が、なぜソール・ライターが撮るとソール・ライターのNYになるのだろう。
人が歩き回って切り取った街の写真は、ただそれだけのものだけど、ソール・ライターが撮るとソールライターのNYになる。
それは撮りたい世界にdiveしているから。きっと今頃魂はNYの街にダイブして、溶け込んでしまっているんだろう。
無駄じゃないと言い切れる人生。
自分に意味のある物しか撮らない、 命令も指示も受け入れない。
そう貫いた生き方は、これが本当に自由に生きるということと、いい気分だと、写真の向こうからあの刺すような目で見つめ返しているようだ。


縁起がいい? 金魚の形の台湾茶。

2017年05月18日 | Watch & Think

「ias世界の街歩き」を書いている所員が、そのグローバルな手腕から台湾でしか手に入らないというCHARM VILLA(子村荘園)の金魚型ティーパックを持ってきてくれました。

金魚の形の台湾茶のティーバッグで、そのかわいらしさとあまりなSNS映えということで数年前から台湾のお土産として大人気だったそうです。
またドイツの「レッド・ドット・デザイン賞」も受賞し、お茶としての美味しさと共にそのデザイン性の高さも評価されました。

一つずつ手作りのため、台湾のお店でしか手に入らないというのも、希少価値満載なお土産だったのでしょう。
(…でしょう。 と、いうのは実は3月末に京都に海外初ショップがオープンして日本でも購入可能になりました。東京ではなく京都っていうのも、うまいなぁという感じです。京都土産ということでも、雅で違和感なしな感じがしますね)

ティーバッグのタブ部分がデザインされているものはいままでも色々ありましたが、ティーバック自体がデザインされているものはあまりなかったので初めて見た時は、これはかわいい、どうして今まで無かったのだろうと思いました。

そういえば他のヴァリエーション物はでてきませんね。
鳥形や虫形とか、ヒト形とか、…。(かわいくないか…)

金魚(キンギョ)は金余(きんよ)という中国語の言葉の発音から当てられ、
余るほどお金が儲かりますように…という縁起のいいもの、だそうです。
このお茶を飲んでいいことがありますように。


シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン 展

2017年04月28日 | Watch & Think

今年2月16日に逝去したグラフィックデザイナーで絵本作家のディック・ブルーナの展覧会

「シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン展」が5月8日(月)まで松屋銀座で開催されています。

 

 

絵本作家としての方が有名ですが、

シンプルな線と数色の色でもって言葉を介さずに思いを伝えるというのはデザインの基本だと思います。

東日本大震災の時には涙を流すイラストを送ってくれて、じっと見守ってくれました。

絵本の中のキャラクターはいつも正面を向いて目をそらさない。
表情はないのに、とてもやさしい。


メダルの音。

2016年09月23日 | Watch & Think

リオデジャネイロ・パラリンピックも閉会し、オリンピックイヤーが終わりました。
閉会式での2020年TOKYOへの引き継ぎのパフオーマンスのおかげで、これから4年間ふわふわわくわくした気分が続くのでしょうか。

今回のパラリンピックは今までの大会と比べてとてもTVで取り上げられました。その報道の中で記憶に残ったのは感動的な競技シーンもさることながら、メダルの話でした。
女子柔道でメダルを獲得した選手が「選手村に帰って、部屋でずっとメダルを振っていた。とてもうれしい」と言っていました。(振る?)と思った瞬間、アナウンサーが「今回のオリンピックからメダルの色を判別できるよう金属球が入っているそうです。今までもメダルに点字は刻印されていましたが、音でメダルの色を識別できるようになったのは今大会からです」
その後は、アナウンサー達が銀メダルの音がいいとか銅メダルの音の方が好みだと言い合った。

パラリンピックは1964年東京大会からだそうだが、52年間、目に障がいのある選手は点字によってのみメダルの色を感じていたのかと思うと少し味気なかったのではないかと思う。それは目の見える者が同じ色の円盤に金、銀、銅と書いてあるメダルを貰ってもテンションが上がらないのと一緒ではないだろうか。金、銀、銅で色分けされているからこその感動なのだから。
音で何色のメダルなのかがわかる。これはもの凄い高揚感だろう。隣に色の違う選手が居たらなおの事。比較することで優越感と劣等感を味わうのは次につながる。次はあの音のメダルが欲しいと、一番いい音のメダルが欲しいと願うだろう。
2020年の東京でもこの「音に色をつける」素晴らしいデザインは引き継いでもらいたいと思う。

友人とパラリンピックの話をした時、記憶に残ったことと皆が口をそろえてメダルのデザインを挙げた。
「それ思いついた時、上から降ってきたって思っただろうね~」
「一生に一度あるかないかってぐらい、幸せな気分だっただろうな」
「歴史変えたって思っただろうねぇ」
思いついた誰かにも金メダルをあげたい。デザインの話題でこんなに幸せな気分になれたのは久しぶりだ。

リオ五輪開催の前は、懸念材料満載で不安視されていたけれど、終わってみれば人間味溢れるいい大会だったような気がする。他のものにやさしいという事が、うまくいく一番の要因なのだと思うから。