石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

NTTクラルティの仲間たち:障がい者雇用の現場で学んだこと

2010-01-23 22:42:21 | 活動レポート
昨日の報告でも述べましたが、今週一週間の持株本部行動では多くの分会にお邪魔させていただいて、多くの仲間たちと出会い、そして多くのことを学ばせていただきました。中でも特に、NTTクラルティを訪問して、クラルティ分会の仲間たちと交流できたこと、また彼らの働くオフィスを実際に見て障がい者雇用の現場を知ることができたことが、大変印象に残りました。

持株本部行動三日目の活動報告にも記載した通り、NTTクラルティは、障がい者の雇用に特別な配慮をし、障がい者雇用率の算定において親会社の一事業所と見なされるNTTの特例子会社です。中山ロケと綾瀬ロケでは電話料金問合せの業務を、武蔵野ロケ(本社)では(1)障がい者&高齢者向けのポータルサイト(ゆうゆうゆう)での広告事業、(2)インターネット上のウェッブサイトなどのバリアフリー化の支援・促進、(3)社内文書などの電子化、(4)名刺作成などの事業を行っています。

実は、NTT労組持株本部の役員の皆さんたちが使っている私の写真入りの名刺も、クラルティの仲間たちが作ってくれています。担当の方にお話を伺ったら、 色をキレイに出して「いい顔に見せる」のに気を遣っていただいたのだとか。嬉しいですね!

クラルティの社員は、全体で206名(うち派遣の方々が76名)。このうち88名が何らかの障がいをお持ちの方々です。武蔵野の本社にはそのうちの39名が働いていて、上記の事業に取り組んでおられます。現在の障がい者雇用率は1.93%ですが、今年の除外率の改定(例:電気通信産業では15%から5%へ縮小)によって今のままだと1.8%を切ってしまうので、次年度中に60名前後の新規採用を予定しておられるとか。併せて、知的障がい者の雇用も増やして新しい事業も展開する計画とのことで、障がい者の皆さんの雇用機会が徐々にではありますが広がりつつあることを教えていただきました。

そして現場では、異なる障がいのある社員の皆さんがより快適に仕事ができるよう、いろいろな努力が行われています。ざっと具体例を挙げると:

  • 駐車場の一台一台の間のスペースが広くとってある(車いすでの乗り降りがし易いように)
  • 車いす用スロープの途中にフラットな緩衝部を設けてある(途中で休憩できるように)
  • 通路の床のカーペットの色・材質を変えて左右への曲がり角が分かるようにしてある
  • オフィス家具(ロッカーなど)の角にはぶつかっても怪我をしないように防具が取り付けてある
  • コピー機の高さが車いすでも使えるように低くしてある(トップユニットを分割して)
  • 出入り口の自動ドアの開閉スピードが変えてある(閉まる時はちょっと間をおいてからゆっくり閉まる)
  • 机の高さが低い(車いすでも楽に作業ができるように)
  • 机にモノを高く積まないようにしてあるのでオフィスの見通しが良い
  • 机の上に置いてあるモノがよく識別できるように天板の色が工夫してある
  • オフィス内のサインボードの色が白黒反転している(その方が認識しやすい)
  • 昼食時間が早めに設定してあって、空いている時間帯にゆっくり食事できるように配慮してある(食堂の方々が補助もしてくれる)
  • トイレの便座が左右どちらからでもアクセスできるようになっている
  • 防火扉が車いすでも通れるような仕様になっている

などなど。驚きでしょう? そして、こういうさまざまな改善というのが、社員からの声によって実現しているのだとか。社員の参加による職場環境改善チームというのが設置してあって、そこでいろいろな意見を出し合っているのだそうです。労使が協調して、働く環境の向上に努力されているのが良く分かりました。

ところで、クラルティの事業の一つにウェッブサイトのバリアフリー化(アクセシビリティチェック)というのがあるのですが、この事業に視覚障がい者の方が携わっています。実際に視覚障がいの方がどのようにパソコンを使ってウェブサイトをチェックするのか、見せていただきました。

パソコンの操作はすべてキーボードで。特別な読み上げソフトが組み込まれていて、タイプした文字や、変換候補などを音声で教えてくれるのです。そして、画面に表示されたウェッブサイトのページの文字もすべて読み上げてくれます。普通の文字は男性の声で、リンクが貼られている文字は女性の声で。女性の声のリンクを辿ると、そのページに移動できるわけです。画像にリンクが貼ってあるケースで、その画像にきちんと代替テキストが指定してないと、読み上げてくれません。これでアクセシビリティに問題があることが分かるわけですね。テキストの読み上げスピードが変えられるのですが、耳が鍛えられているのでもの凄く早いスピードでもちゃんと聞き取ることができるそうです。私も聞かせていただきましたが、あまりに早くてほとんど聞き取れませんでした・・・。

ちなみに、このデモをしていただいた田中さんは、昨年暮れのブラインドサッカーアジア選手権2009日本代表チームの一員として活躍された方です。私も、テレビの特集で観て感動した一人なのですが、代表メンバーご本人に会えて光栄でした!

また、クラルティでは、障がい者向けのパソコン教室や、ケータイ電話講座に講師を派遣しています。今月初めのNTT労組・ドコモ本部行動の際、サポート分会役員との意見交換で障がい者向けのケータイ電話教室をクラルティと協力して実施していることを伺っていたのですが、その講師として活躍をされている伊藤さんにもお会いしてお話を聞くことができました。実際に使用している携帯も見せていただいたのですが、こちらも音声読み上げ機能が付いていて、メニューや、メールの文章をとても聞きやすい音声で読み上げてくれます。携帯電話によって、障がいを持つ人たちのコミュニケーションが広がって、安心・安全にも役立っているんだということが実感できました。

以上、長くなってしまいましたが、NTTクラルティへの訪問で勉強させていただいたこと、感じさせていただいたことを綴りました。障がい者の皆さんの雇用や生活の充実に向けて、情報通信が役立っていること、これからもっと役立てることをあらためて認識しました。また、政治の場では今、障がい者制度改革推進会議が今後の制度改革に向けて議論を始めていますが、やはり、障がい者の皆さんが直接議論に参加することが大切です。会議のメンバーになっている障がい者団体代表の皆さんには、障がい者の皆さんの声をしっかり代弁してがんばっていただきたいですし、政治がその声にしっかりと応えてくれることを期待します。