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勿忘草が咲く丘で 1

2021-02-19 21:35:04 | PEACEMAKER鐵 中世ファンタジー風二次創作小説「勿忘草が咲く丘で」


「PEACEMEKER鐵」の二次創作小説です。

沖田さんが両性具有という設定です。苦手な方はご注意ください。

捏造設定あり、オリジナルキャラ多めです。苦手な方はご注意ください。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

その昔、愛する人の為に川岸に咲く花を摘もうとした騎士ルドルフは、誤って足を滑らせ、川の流れに呑まれてしまう。
彼は最期の力を尽くして花を恋人が居る岸へと投げ、恋人ベルタに、“僕を忘れないで!”という言葉を遺し息絶えた。
遺されたベルタはルドルフの墓にその花を飾り、彼の最期の言葉を花の名前にした。

ゆえに、その花―勿忘草(わすれなぐさ)の花言葉は、“私を忘れないで下さい”、“真実の愛”と言い伝えられている。

イングランドとスコットランドの中間部に、その国はあった。

遥か東の島国の血をひいた者が多いこの国の民は黒髪が多く、その所為で近隣諸国から、“魔女の国”と呼ばれていた。
だが、その国には薬効がある多くの薬草があり、その中でも特に美しい明るい青色の花―勿忘草は、万病に効くとされており、この国の象徴でもあった。

その国には、二つの王家があった。

武人として数々の武功を立てた土方家と、この国の祖先の血をひく正統な王家である沖田家である。

この二つの王家は、長い間政権を巡り、憎しみ、いがみ合っていた。

この物語の始まりは、敵同士と知らずに惹かれ合った恋人達の出逢いから始まる―

「姫様、どちらへ行かれるのですか?」
「暑いから、水浴びに行こうと思って。」
「まぁ、いけませんわ、こんな季節に森へ行くなど、正気ではありませんわ!」
「そうですわ、姫様!」
沖田家の姫・総司が森へ行こうとすると、それを見た沖田家の侍女達が慌てて彼女を止めた。
「嫌よ、こんなに暑いのにお城でじっとなんかしていられないわ。」
総司はそう言って自分を森へと行かせまいとする侍女達を振り切り、愛馬に跨ると城から出て森へと向かった。
「どうするのよ、姫様が居なくなったことを奥様がお知りになったら・・」
「その前に、姫様がお戻りになられればいいのだけれど・・」
「姫様が、どうかなさったのですか?」
侍女達がそんな事を話していると、そこへ総司の従者であるリチャードがやって来た。
「リチャード、いいところに来たわ!姫様が・・」
「森へ行って、姫様をお城へ連れ戻してきて!」
「わ、わかりました・・」

リチャードが侍女達の剣幕に押されながら慌てて森へと向かっている頃、総司は森の中にある湖で水浴びをしていた。

(あぁ、やっぱりこんな暑い日は水浴びをするのに限るなぁ。)

静寂に包まれた森の中には、総司の愛馬のジェーンの、二人きりだった。
そろそろ城へと戻ろうと総司が思っていた時、森の向こうで男達の笑い声が聞こえて来た。
彼らに見つからない内に湖から上がらないと―そう思いながら総司が岸まで泳ごうとした時、運悪く男達の一人に見つかってしまった。

「おい、こっち見てみろよ!可愛い娘が居るぜ!」
「こりゃ、えらい別嬪(べっぴん)さんじゃねぇか!」

男達は口元に下卑た笑みを浮かべながら、ジリジリと総司の方へと近寄って来た。

「嫌、来ないで・・誰かぁ~!」
「どんなに叫んでも、誰も来やしねぇよ!」
「そうだ、だから大人しく俺達に抱かれ・・」

男達がそう言いながら総司を取り囲んだ時、何か黒い影が彼らの頭上を横切ったかと思うと、総司の白い頬が男達の血を浴びて赤く染まった。
一体何が起きたのか総司にはわからなかったが、辺りを見渡すと、そこには首がない男達の死体が湖に浮かんでいた。

「おい、大丈夫か?」

総司が恐怖の余り声が出せずにいると、彼女の前に一人の男が現れた。
均整の取れた鋼のような筋肉を持った男は、琥珀の双眸で総司を見つめた。

「嫌ぁ、来ないで!」

総司はそう叫ぶと、気を失った。

「クソ、困った事になっちまったな・・」

男はそう言いながら気絶した総司の身体を自分のマントで包むと、そのまま湖を後にした。

「総司、総司は何処なの!?」

城では総司の不在を気づいた総司の母親であるエウリケ女王がヒステリックに叫びながら、城内を走り回っていた。

「奥様にバレてしまったわ・・」
「リチャードは一体何をしているのかしら?」
「あぁ、どうしたらいいの?」

侍女達がそんな事を言い合っていると、そこへリチャードと城の下男であるゲオルグがやって来た。

「奥様、城に戻るのが遅くなってしまい、申し訳ありません。」
「リチャード、総司は一体何処へ行っていたの!?」
「姫様は、森へ水浴びに行き、ならず者達に犯されそうになった所を、誰かに助けられたようでして・・」
「全く、いつも森には行くなと言っているのに!」
「奥様、無事に姫様がお戻りになられたのですから、姫様をお部屋で休ませてはいかがでしょう?」
「そ、そうね・・ゲオルグ、総司を部屋へ運んで頂戴。」
「はい、奥様。」
ゲオルグはそう言ってエウリケに向かって頭を下げると、そのまま城の奥へと消えていった。
「どうしたんだ、エウリケ?そんなに大声を出して。」
「あなた、総司がならず者達に犯されそうになったんですって!」
「そうか。あの森には最近ならず者達の溜まり場になっているから、総司には後で厳しく言っておこう。」
「そうですか・・」
「エウリケ、怒らないでくれ。そんなに眉間に皺を寄せては折角の美人が台無しだ。」
「まぁ、あなたったら・・」
エウリケは夫の言葉を聞くと、頬を赤く染めて笑った。
「ん・・」
「姫様、お目覚めになられましたか。」
「リチャード、ここは何処?」
「姫様のお部屋ですよ。姫様、こんな暑い日に森へ水浴びに行きたいお気持ちはわかりますが、良く考えて行動して下さいませ。」
「えぇ、わかったわ。」
総司はそう言うと、ベッドから起き上がった。
「ねぇリチャード、あの方はどなた?」
「あの方、とは?」
「わたしを助けて下さった方よ。このマントはあの方のものだわ。」
「確かに、それは姫様のものではありませんね。」
「ねぇリチャード、わたしを助けて下さった方を調べて欲しいの。」
「はい、わかりました。」

リチャードは決して、主に対して絶対に「無理」とは言わない男だった。

数日後、待ちに待った市の日がやって来た。

「嗚呼、ずっとこの日が待ちきれなかったの!」
「姫様、落ち着いて下さいませ。御髪が乱れてしまいますわ。」
「えぇ、わかったわ。」

鏡の前で、総司は美しいドレスで着飾った自分の姿をうっとりとした顔で見つめた。

「どう、似合う?」
「えぇ、とても良くお似合いですわ。」

「相変わらず、うるせぇな。」
「トシ、そんな顔するな。折角祭りに来たんだ、楽しもう。」
「あぁ・・」
渋面を浮かべながら、土方歳三は親友の言葉に相槌を打った。
市には、チーズや野菜、ドレスなど様々な品物が売られており、大道芸人達が様々な芸をしては道行く人々を楽しませていた。
「戦はどうだった?」
「別に。相変わらず人が沢山死んだだけだ。」
「そうか・・」
「アラ、そのお兄さん、良い男ね。あたし達と遊ばない?」
歳三達が街を歩いていると、胸元を大きく開いたドレスを着たブルネットの髪の女がそう言いながら歳三にしなだれかかって来た。
「生憎だが、俺は今そういう気分じゃないんだ、うせろ。」
「まぁ、つれない方ね。」
ブルネットの女は、そう言うと歳三から離れた。
「トシ、向こうで何かあったのか?」
「別に。」
「そうか・・」
勇と歳三は暫く街を歩いていたが、突然歳三はフードを目深に被った。
「どうしたんだ、トシ?」
「いや、別に・・」
勇が親友の様子におかしい事に気づいた後、向こうから一台の馬車がやって来る事に気づいた。
その馬車に乗っているのは、プラチナブロンドの髪を高く結い上げた女と、その娘と思しき黒髪の少女だった。
「あら、誰かと思ったら、土方様ではありませんか?」
「おや、エウリケ様ではありませんか?あなたもこの祭りに?」
「えぇ。土方様、いつから戦場から戻られたのです?」
「数日前です。大変ご無沙汰しております、奥様。」
「相変わらず不愛想な方ね。」

エウリケは歳三の態度に柳眉を吊り上げたが、すぐに彼にそっぽを向いた。

「お母様、ここで降りてもいいかしら?」
「えぇ、いいわよ。余り遅くに行っては駄目よ。」
「はい、お母様。」

総司は母の手に軽く口づけると、そのままドレスの裾を摘まんで馬車から降りようとした。

だがその時、彼女はバランスを崩して転びそうになった。

「大丈夫か?」
「は、はい・・」

歳三に抱き留められ、総司は頬を赤く染めながら彼に礼を言った。

「ドレス、汚れなくて良かったな。」

歳三はぶっきらぼうな口調でそう言うと、そのまま長い黒髪をなびかせながら雑踏の中へと消えた。

「あの方はどなた?」
「彼はトシ・・土方歳三と言って、数日前戦から戻って来たばかりなのですよ。」
「そう・・何だか不思議な方ね。」

総司はそう言った後、溜息を吐いた。

「姫様、もうすぐお祭りが始まりますよ、急ぎませんと!」
「えぇ、わかったわ!」

侍女達に急かされ、総司が街の中心である広場に向かうと、そこには今まさに旅芸人達の芸が始まろうとしていた。

「さぁ寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、夢のような世界をあなた達にお見せして差し上げましょう!」

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