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日々のことやら小説とかを書いているblogです。
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勿忘草が咲く丘で 4

2021-06-03 16:52:06 | PEACEMAKER鐵 中世ファンタジー風二次創作小説「勿忘草が咲く丘で」


「PEACEMEKER鐵」の二次創作小説です。

沖田さんが両性具有という設定です。苦手な方はご注意ください。

捏造設定あり、オリジナルキャラ多めです。苦手な方はご注意ください。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

「あなた、これからわたくし達はどうなるのかしら?」
「さぁ、それは神様にしかわからんさ。それよりもつね、少し休め。」
「はい・・」
「今の時期が一番大切なんだから、もっと俺に甘えてくれ。」
「はい、わかりました。」
つねは夫の言葉に甘えて、天幕の中で休む事にした。
リアンが領主夫妻を殺し、街を制圧してから、領民達は日々炭鉱や紡績工場で休みなく働かせられていた。
「いつまでこんな日が続くのかしら?」
「もう少し辛抱すれば、きっと元の生活に戻れるわよ。」
「そうね。」
「それにしても、つねさんは?」
「彼女なら、天幕の中で休んでいるわ。」
「産後間もないっていうのに、毎日長時間も働くのは辛いわね。」
「旦那さんが優しい人で良かったわよね。」
女達は針仕事をしながら、他愛のない話をしていた。
「あら、皆さんお揃いで。:
「マリア、良い所に来てくれたわ!」
「関節痛が酷くなってしまって、参っているのよ。」
「それなら、このハーブを使えばいいわ。」
「ありがとう、マリア!」
エウリケはマリアの事を“汚らわしい娼婦”と忌み嫌っていたが、女達はマリアの事を慕い、頼りにしていた。
「ねぇマリア、新しい領主様はどんなお方なの?」
「若い殿方だったわ。まぁ、堅物みたいで、わたしからお誘いしても邪険に断られたわ。」
「まぁ、ひどい!」
「仕方がないわ、こんな商売をしていたら、そんな目に遭うのはいつもの事よ。」
マリアはそう言うと、溜息を吐いた。
「さぁみんな、これでも食べて栄養をつけて!」
マリア達は、女達に焼き立てのパンを振る舞った。
「ありがとう!何処でこんなものを手に入れたの?」
「ちょっとね・・」
そう言ったマリアは、口元にいたずらっぽい笑みを閃かせた。
「おい、起きろ!」
「ん・・」
総司が目を覚ますと、彼女の前には何処か不機嫌な顔をした歳三の姿があった。
「何?」
「ここを出るぞ、奴らに嗅ぎ付けられる前に。」
「わかったわ。」
歳三と共に、総司は宿場町から出た。
「一体どういう事?“奴ら”って誰?」
「話は後だ!」
歳三は総司にフードを被らせ、宿場町を後にして街道へと向かった。
その数分後、リアン達が宿場町へとやって来た。
「この娘は居るか?」
「いいえ、見ておりません。」
「そうか。」
リアンは舌打ちすると、そのまま領地へと引き返した。
「ねぇ、これからどうするの?」
「あの山小屋で暫く暮らす。あそこなら、野宿よりマシだろう。」
「そうね。」
森の中で山小屋を見つけた歳三と総司は、暫くそこで暮らす事にした。
「薪があるわね。これなら当分寒さが凌げそうだわ。」
「あぁ。それに、家具も調理器具も一通り揃っているし、後は冬をどう過ごすかだな。」
歳三は、山小屋の中で武器になりそうな物を探した。
すると、薪小屋の中に、新しい斧があった。
(これなら、戦えそうだ。)
「土方さん、そこで何をしているの?」
「武器を探していた、いつでも戦えるように。」
「そう。あなたが勇敢な軍人だと、つねさんから聞いたことがあるわ。」
「軍人なんて、そんな大層なもんじゃねぇ。俺はただ、この手で沢山人を殺しただけだ。」
歳三はそう言うと、己の両手をじっと見つめた。
「俺の手は、血で汚れている。」
「土方さん・・」
「飯にするぞ。」
「はい。」
暫く二人は黙って宿場町で購入した野菜や鶏肉、ハーブなどを使って、簡単な料理を作って食べた。
「美味いな。」
「そうですね。土方さん、結構料理とかされるんですね?」
「まぁな。軍隊は自給自足が基本だからな。それに、料理は気分転換になるからな。」
「そうですか。」
「まぁ、これからどうすべきなのか、ゆっくりと考えていく事にするか。」
「はい。」
「お前ぇ、一通り家事が出来るんだな。」
「お母様から、“自分の事は自分でしなさい”と、物心着く頃から言われて来たので、侍女達に混じって料理や裁縫をしていました。」
「そうか。」
皿を洗いながら、歳三と総司はお互いの事を話した。
「なぁ総司、これから家事を二人で分担しねぇか?」
「いいですね!」
総司がそう叫んだ時、彼女の頬から数センチの所に、矢が刺さった。
「伏せろ!」
歳三はそう叫ぶと、腰に帯びていた長剣を抜き、外に出た。
「誰だ、隠れていないで出て来い!」
「あらあら、そんな顔をしていたら、折角の色男が台無しよ?」
神経を逆撫でするような声が聞こえたかと思うと、一人の女が歳三の前に現れた。
年の頃は二十前後といったことろか、豊満な胸を恥じらいもせずに晒すようなデザインのドレスを着ているその姿は、暗殺者ではなく娼婦のように見える。
「てめぇ、何者だ?」
「あたしのご主人様からの伝言よ。“連れの娘に危害を加えられたくなければ、大人しくしていろ”とね。」
「待て!」
「いつかまた、会いましょう。」
謎の女は口元に不敵な笑みを浮かべると、漆黒のドレスの裾を翻しながら闇の中へと消えていった。
「土方さん、ご無事ですか!?」
「あぁ。総司、怪我はねぇか?」
「はい。」
「まだ敵がこの近くに潜んでいるかもしれねぇから、お前ぇは小屋の中から出るな。」
「わかりました。」
翌朝、二人は山小屋を後にした。
「昨夜俺達を襲ったのは、お前の命を狙っている奴に雇われた殺し屋だった。」
「じゃぁ、山小屋を発ったのは、わたし達があそこに居ると嗅ぎ付けられない為ね?」
「そうだ、そして俺達は急いで南へ向かわなければいけない。」
「南に、一体何があるのかしら?」
「それは、行かなきゃわからねぇな。」
「そうですね。」
森を抜けた二人は、南へ向かう船が停泊している港へと向かった。
だが、南行きの船は悪天候の為明朝まで出ないという事だった。
「船が出るまで、宿で休むぞ。」
「はい。」
総司は森を抜けて休みなしに歩いた所為なのか、宿の部屋に着いた途端、そのままベッドに横になって眠ってしまった。
「ったく、しょうがねぇな。」
 歳三は溜息を吐きながら総司の身体に毛布を掛けると、そのまま彼女を起こさぬようにそっと宿の部屋から出た。
「いらっしゃい、新鮮なお魚はいかが!?」
「魚よりも牡蠣が美味いよ!寄っていってよ!」
歳三が港へと向かうと、市場で新鮮な魚介類を売っている商人達から次々と声を掛けられた。
市場を抜けると、美しいレンガに囲まれた旧市街が見えて来た。
「お兄さん、寄っていらっしゃいよ。」
「良い夢を見させてあげるわよ。」
旧市街の中を歳三が歩いていると、娼館の窓から数人の娼婦達が顔を出して、彼に声を掛けた。
歳三は市場で食料品を購入した後、宿に戻った。
「帰ったぞ。」
「お帰りなさい。」
「宿の台所を使わせて貰うよう、主人に許可を取った。」
「そうですか。でもどうして自分達で料理を?」
「毒を盛られないようにする為だ。」
歳三と総司は、宿の台所で自分達の食事を作った後、それを部屋で食べた。
「今夜はゆっくり眠れそうだな。」
「はい。」
夜明け前、馬の嘶きの声で歳三は目を覚ました。
「総司、起きているか?」
「はい・・」
「客人が来たようだ。」
歳三が部屋から出て、下へと降りると、案の定そこには武装したリアン達が居た。
「ここに、この娘は泊まっているか?」
「いいえ、知りません。」
「おや、これは久しいですな。丁度あなた様をお迎えしようと思っておりましたのに。」
「何だ、お前!?」
「わたくしは、内藤と申します。長旅でお疲れでしょう、お茶をどうぞ。」
「ありがとう、頂こうか。」
リアンはそう言うと、歳三が淹れた茶を飲んだ。
すると彼は、強烈な眠気に襲われた。
「お客さん、起きて下さいよ!」
「何だ、うるさい・・」
リアンが低く呻きながら起き上がると、自分達の前には迷惑そうな顔をした宿の主人が立っていた。
「こんな所で酔い潰れないで下さいよ。」
「済まない。」
リアンはそう言うと、痛む頭を押さえながらテーブルから起き上がった。
「昨夜、わたし達に茶を振る舞った男は・・」
「あぁ。さっき、出航した南行きの船に乗られましたよ。」
「何だと!?」
「えぇ、可愛らしい娘さんと一緒に。」

(やられた!)

「リアン様、いかが致しましょう?」
「・・引き返すぞ。」
「ですが・・」
「くどい!」
「はい、わかりました・・」

(この借りはいつか返してやるからな!)

「今、何を海の中に捨てたのですか?」
「眠り薬だ。旧市街で会った薬屋から貰った。」
「まぁ、そうだったのですか。」
「足止め出来て良かったぜ。」

歳三はそう言って溜息を吐いた。

総司は、潮風に吹かれながら水平線の彼方を眺めていた。

「ここに居たのか?」
「えぇ。海に行くのは初めてなので・・」
「今まで、あの城の周りしか出歩かなかったのか?」
「はい。母様から、“あなたの為なのよ”と。」
「そうか・・」
「広い世界を、わたしは生まれて初めて知る事が出来ました。」
「これからだ、お前ぇが広い世界を知るのは。今まで知らなかった事を、お前ぇはこの旅で知る事になるんだ。」
「楽しみですね。」
「まぁ、楽しい事ばかりじゃねぇがな・・」
歳三の呟きは、潮風に乗って消えていった。
やがて二人を乗せた船は、南の港へと着いた。
その港は、様々な肌や髪の色をした人々が行き交い、活気に満ちていた。
「これからどうします?」
「まずは飯だ。」
歳三は港の人間にこの近辺で美味い店を尋ねた後、総司と二人でその店へと向かった。
その店は、海鮮料理が美味いと評判の店だった。
「この店で一番美味い物を頼む。」
「あいよ!」
店を切り盛りしている女将は、日に焼けた陽気な女性だった。
「お待たせしました!」
彼女が二人の前に置いたのは、海老を丸ごと焼いたものに、バターを炒めた料理だった。
「美味いな。」
「えぇ。」
「それにしても、お前ぇが居た所とは違って、ここは暖かいな。服を替えないとな。」
「そうですね。」
店を出た後、二人はこの地の民族衣装を何着か港の近くにある衣料品店で購入した。
「どうですか?」
「良く似合っているぞ。」
歳三が総司の為に選んだのは、美しい紫のドレスだった。
「あなたも、似合っていますよ。」
「そうか?」
「でも、髪を切る事はなかったんじゃないですか?」
「男の長髪は人目につきやすい・・特に黒髪はな。」
「そうですね・・」
通りを歩きながら、総司は人々が皆自分達と同じような肌の者が誰一人居ない事に気づいた。
「じゃぁ、わたしも切りましょうか、髪?」
「お前はそのままでいい。」
「そうですか。」
「先を急ぐぞ。」
「はい。」

二人は、活気に満ちた港町を後にし、王都を目指した。

「旅費が足りねぇな。」
歳三はそう言うと、残り数枚になった金貨をズボンのポケットの中から取り出して溜息を吐いた。
「じゃぁ、これを売って下さい。」
総司がそう言って歳三に差し出したのは、美しい細工が施された純金のメダイだった。
「これは?」
「母様の形見です。これを売れば、当分の生活費に充てられるでしょう。」
「そんな大切な物を・・」
「どんな物も、命には代えられません。」
「そうか・・」
総司からメダイを受け取った歳三がそれを宝石店に持っていくと、高値で売れた。
「こんなに見事な物、今まで見た事がない!」
 店主はそう叫ぶと、感嘆の声を上げた。
「本当に、良かったのか?」
「えぇ。」

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