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I beg you ◆1◆

2020-10-09 22:11:55 | 薄桜鬼 薔薇王パラレル二次創作小説「I beg you 」


「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

土方さんが両性具有です、苦手な方はご注意ください。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

-壬生狼や・・
-近寄ったらあかん、頭から食われるで

市中巡察の際、時折町民達がそんな事を囁き合いながら、冷ややかな視線を自分達に送ることに、歳三はもう慣れっこになってしまっていた。

(狼か・・悪魔と呼ばれるよりはましだな。)

浅葱色の羽織を翻し、京都市中を巡察しながら、歳三は昔の事を思い出していた。

歳三―新選組副長・土方歳三は、多摩の豪農・土方家の末息子として生を享けた。
母親は長く続いた産みの苦しみの果てに産声を上げた我が子の身体を見て絶句し、長い間精神を病むこととなった。
何故ならば、歳三の身体にはそれぞれ男女の証があったからだ。
土方家は、歳三を男児として育てる事にした。
歳三の身体の秘密を知る母親は、彼が五つの時に肺病で亡くなり、上の兄姉達は歳三の身体の秘密を決して口外しないことを誓い合った。
早くに両親を亡くした歳三は、末っ子ということもあり、上の兄姉達-特に長男・為次郎と、養い親である次男・喜六とその妻・なか夫婦によって溺愛されながら育った。
雪のように白い肌と、美しい紫の瞳、そして艶やかな黒髪―類まれなる美貌とは裏腹に、歳三は“触れたら傷つく茨のような餓鬼”-バラ餓鬼と呼ばれ、周囲の人間から恐れられていた。
「トシ、あんたまた奉公先を追い出されたんだってね?これで何度目なの?」
「俺ぁ奉公なんざ性に合わねぇ。俺ぁ武士になるんだ。」
のぶは、溜息を吐きながら弟との会話を切り上げ、夫・彦五郎の部屋に向かった。
「またかい。」
「ええ。全く、あの子はいつになったら落ち着くのやら・・このままただ飯を喰らっているだけなら、追い出してやろうかしら。」
「まぁ、それは本人が決める事だ。」
「トシを女として育てていたら、こんなに苦労することはなかったのに。」
「のぶ、それを言っちゃしめぇだ。あいつには、女子として生きることは苦痛だろうよ。」
「そうねぇ・・」

のぶが夫とそんな事を話している頃、当の歳三は試衛館道場で剣術の稽古をしていた。

「勝っちゃん、居るか?」
「おぉトシ、今日も来たのか!」
「急に暇になっちまったから、何もすることがなくてな。」
「その様子だと、また奉公先から追い出されたのか?これで何度目だ?」
「のぶ姉と同じことを言うんじゃねぇよ。」
「すまん。稽古が終わったら、団子でも一緒に食おう。だから機嫌を直してくれ、トシ。」
「わ、わかったよ。」

歳三はこの頃から、近藤勇に密かに想いを寄せていた。

だが、彼には自分の身体の秘密を明かせなかった。
明かすことで、今の関係が壊れてしまうのではと思ったからだ。

そんなある日の事、歳三がいつものように薬の行商で人気のない道を歩いていると、そこへ昔喧嘩で自分が倒した悪ガキで今は隣村のならず者の源太が向こうから歩いてきたことに気づいた。
「誰かと思ったら、石田村のバラ餓鬼じゃねぇか。暫く会わねぇうちにすっかり化けちまったな。」
源太はそう言うと口元に下卑た笑みを浮かべ、歳三を廃屋の中へと引き摺り込んだ。
「やっぱりな・・男のなりして、お前ぇが女だってことは気づいていたぜ。」
歳三の着物を剥いだ源太は欲に滾った目で歳三の白い乳房を見ながら、彼女の下腹をまさぐった。
「何だ、これ?」

源太が己の下腹をまさぐった後、歳三は隙を見せた彼の顔を拳骨で殴り、自宅へと駆け戻った。

「悪魔、あいつは悪魔だ!」

廃屋でのあの忌まわしい出来事から暫く経った後、歳三は久しぶりに試衛館道場へと向かった。

「トシ、久しぶりだな。」
「勝っちゃん。」
「お前が暫く姿を見せないから、心配していたんだぞ。」
「すまねぇ、ちょっと体調を崩してな・・」
「そうか。余り無理をするなよ。」

そう言った勇は、歳三の華奢な肩を大きな手で叩いた。

「なぁトシ、何処か怪我をしたのか?」
「何で急にそんな事を聞くんだ?」
「いや、何でもない・・忘れてくれ。」

勇は少し気まずそうな様子でそう言った後、慌てた様子で道場から去っていった。

その時、歳三は自分の袴が生温い血で汚れている事に気づいた。

(畜生!)

初めて初潮を迎えた時の事を、歳三は今でも憶えている。

“歳三、あんたはね・・あんたの身体は、普通じゃないのよ。”

姉から聞かされた、驚愕の事実。

男でも、女でもない己の身体-剣術で鍛えても一向に逞しくならない筋肉、それと比例するがごとく、丸みを帯びてゆく不安定な身体。

(俺は一体何者なんだ?男でも女でもない、半端者じゃねぇか!)

己の身体に歳三が懊悩する日々を送っていた頃、彼はいつものように薬の行商で江戸市中を歩いていると、供を連れて歩いている一人の少年の姿に気づいた。
少年が纏っている光沢のある着物で、歳三はすぐに彼が高貴な身分に属する人間であることに気づいた。
その事を証明するかのように、少年は供である青年に対して傲慢な態度を取っていた。
「申し訳ありません風間様・・」
「詫びなど不要だ。興が削がれた、行くぞ。」
「はい・・」
日本人にしては珍しい金色の長い髪をなびかせ、少年は供を従えて歳三の元へと歩いてくるところだった。
歳三が少年とすれ違った時、彼は少年に突然袖を掴まれた。
「お前、名は?」
「ガキの相手なんざしてる暇はねぇんだ。」
「ガキではない、俺は風間千景だ。お前、気に入ったぞ。」
深紅の瞳で少年はそう言って歳三を見つめると、口端を歪めて笑った。
「俺は高貴な女が好きだ。お前とはまた会う事になるだろう。」」
「風間様、もう行きませんと・・」
「うるさい、わかっている。」

(なんだ、あの変なガキは?)

これが、歳三と風間千景の運命の出逢いだった。

だが二人はこの時、自分達が動乱の波に巻き込まれてしまうことを、まだ知らない。

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