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勿忘草が咲く丘で 3

2021-05-14 19:08:34 | PEACEMAKER鐵 中世ファンタジー風二次創作小説「勿忘草が咲く丘で」


「PEACEMEKER鐵」の二次創作小説です。

沖田さんが両性具有という設定です。苦手な方はご注意ください。

捏造設定あり、オリジナルキャラ多めです。苦手な方はご注意ください。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「あなた、お話があります。」
「どうした?」
「あの子の事で、お話があります。」
城では総司の15歳の誕生日を祝うパーティーの準備が慌しく行われていた。
そんな中、エウリケはある事を夫に伝えようと、彼の書斎を訪ねた。
「どうした、エウリケ?そんな深刻そうな顔をして?」
「あの子を、もうすぐ安全な場所に避難させなくては・・」
「それはわかっている、だが・・」
「あの子はもう子供ではないのです。早く手を打ちませんと・・」
「わかっている。」
妻の言葉に、彼女の夫・ハンスはそう言って深い溜息を吐いた。
「では・・」
「“彼”に、あの子を託そう。」
「わかりました。」
その日の夜、総司の15歳の誕生日パーティーが開かれ、王国中から貴族が集まった。
「総司様、おめでとうございます。」
「ありがとう!」
「総司、これはわたし達からあなたへの贈り物です。」
「ありがとう、お母様!」
総司がそう言ってエウリケから受け取ったのは、精緻な細工が施された美しい短剣だった。
「この剣があなたを守り、あなたの人生を切り開く事でしょう。」
「大切にするわ!」
総司がエウリケと抱き合っていると、広間に歳三が現れた。
「歳三様!」
「誕生日おめでとう。」
「来てくださったのね、嬉しいわ!」
「あ、あぁ・・」
「エウリケ、何故彼を呼んだのだ?」
「それは、後で話す。ゲオルグ、これをあの方に。」
「わかりました。」
ワインを飲みながら歳三が窓の外に浮かぶ月を眺めていると、この城の使用人と思しき少年が、歳三に一通の手紙を手渡した。
そこには、“わたくしの書斎に来て下さい。書斎へはゲオルグが案内致します。 E”
「奥様、トシゾウ様をお連れしました。」
「ありがとう。ゲオルグ、あなたはもう下がりなさい。」
「はい。」
「奥様、わたくしに何かご用でしょうか?」
「土方様、娘の事でお願いがございます。」
「お願い、ですか?」
「娘を、ここから連れ出して貰いませんか?」
「それは、一体どういう事でしょうか?」
「実は、総司はわたくし達の実の娘ではないのです。」
「というと?」
「あの娘は、ある秘密を持っているが故に、命を狙われているのです。」
「というと?」
エウリケは、歳三に総司が両性具有である事、そして彼女がある王家の血をひいている事を話した。
「総司は、15歳になりました。彼女にとって15歳とは、魔力が覚醒する時期なのです。」
「話は大体わかりましたが、奥様、何故総司様をここから連れ出せと?」
「娘を、守って下さい・・彼女の命を狙う者達から。」
「それは・・」
「奥様、包み隠さずに話して下さい。」
「総司は、アンルーシュ王国の王女なのです。娘の命を狙っているのは、彼女の叔父なのです。」
「何故・・」
「奥様、いらっしゃいますか?」
「どうしたの?」
「姫様が・・」
「すぐに行くわ!」
エウリケと歳三が話している頃、総司は友人達と楽しく話をしていた。
「ねぇ、先程あなたと挨拶していたのは、どなた?」
「あの方は、最近ここに来たばかりなのよ。」
「まぁ、そうなの。とても素敵な方だわぁ。」
友人達の言葉を聞きながら、総司は少しチリッと胸が焦げるような気がした。
(何なの、今のは?)
「どうしたの、顔色が少し悪いわよ?」
「いえ・・」
少し外の風に当たってくるわと友人達に言い、総司はバルコニーへと向かった。
夏の少し冷たい夜風に当たりながら、総司は森の方が炎に包まれている事に気づいた。
(あれは、一体・・)
「姫様、どうかされたのですか?」
「ねぇ、森の方に炎が見えない?」
「いいえ・・わたくし達には何も見えませんが?」
「そうなの。」
「姫様、顔色が悪いですよ?」
「少しワインを飲み過ぎてしまっただけよ。あなた達はもうさがっていいわ。」
「は、はい・・」
(疲れているんだわ・・今日は早く部屋で休まないと・・)
総司がそんな事を思いながら暫くバルコニーで佇んでいると、急に外から悲鳴が聞こえた。
「姫様、お逃げください、賊が・・」
「何ですって!?」
「早く、裏口からお逃げ下さい!」
そう叫んだ女官は、総司の前で口から血を吐きながら息絶えた。
「あ・・」
「居たぞ、あの娘だ!」
「生け捕りにしろ!」
「絶対に逃がすな!」
突然銃や剣で武装した男達が広間に入って来た。
賑やかで楽しかったパーティー会場は、たちまち怒号と悲鳴が飛び交う殺戮の場と化した。
「姫様!」
「ゲオルグ、一体何が起きているの!?」
「わかりません、それよりも、今は早くここから逃げないと・・」
混乱の最中、総司はゲオルグと共にその場から逃げた。
「総司、無事だったのですね!」
「お母様!」
「土方様、どうか娘の事を宜しくお願い致します!」
「わかりました。」
「お母様!?」
「総司、ここであなたとはお別れです。あなたはこれから土方様と共に南へ向かいなさい。」
「そんな・・お母様達は・・」
「わたくし達は、あなたが逃げる時間を稼ぎます。」
「嫌よ、お母様達と別れるなんて、嫌!」
「総司、どうか幸運を。」
エウリケは涙を流しながら、総司と別れの抱擁を交わした。
「さぁ、行きなさい!」
「お母様、さようなら。」
「奥様、早く逃げて下さい!」
「えぇ、わかったわ。」
エウリケはそう言うと、総司を見送った。
その直後、敵兵が部屋に雪崩れ込んで来た。
「ここに娘は居ません。」
「嘘を吐くな。」
「嘘は吐いておりません。」
エウリケの毅然とした態度に、敵兵達は少したじろいだ。
「どうした?」
「リアン様・・」
敵兵達の中から、20代前半と思しき青年がエウリケの前に現れた。
「それが・・この女が・・」
「娘はここに居ないと言っているでしょう!」
「引き上げるぞ。」
「良いのですか?」
「あぁ・・この城を焼き払ってからな。」
エウリケの胸を剣で振り向きざまに刺し貫いたリアンは、そのまま城から去っていった。
同じ頃、歳三は総司を連れて闇に包まれた森の中を駆けていった。
(凄い、この人灯りも何もないのに・・)
「何をしていやがる、早く来い!」
「は、はい・・」
総司は言われるがまま、歳三の後をついていった。
「見ろ、城が燃えているぞ!」
「お母様・・」
「後ろを振り向くな。」
「でも・・」
「お前を自分の命と引き換えにお前を逃がした母親の想いを無駄にするな!」
「う・・」
「泣く暇があったら、動け。」
「わかったわ。」
森を抜けた二人は、賑やかな宿場町に入った。
「ここで色々と買うぞ。」
「わかったわ。」
歳三は食糧や着替えの服などを何着か町で購入し、総司を連れて宿屋に入った。
「いらっしゃい。」
「別々の部屋を頼む。」
「すいません、今夜は部屋がひとつしか空いていないんです。」
「そうか・・」
歳三は暫く考えた後、宿屋の主人に金貨が詰まった袋を手渡した。
「宿代は弾むから、食事を豪華にしてくれ。」
「承知しました!」
歳三が総司と共に部屋に入ると、総司は歳三が差し出した服を見て顔をしかめた。
「こんな物をわたしに着ろと?」
「文句を言うなら、裸でいろ。言っておくが、今まで豊かで何不自由ない生活をこれから送れると思うな。」
「わかったわ。」
「まずはその汚れたドレスを脱げ。それが済んだら、飯だ。」
「わかったわ!」

(ったく、これからどうなる事やら・・)

歳三と総司が宿屋で食事を取っていると、トーマの喪が明けた事を祝う舞踏会が王宮で開かれた。

―何だか、変な気分ね。
―えぇ、本当に。

貴婦人達がそんな事を扇子の陰で囁き合っていると、そこへトーマの妻でありアンルーシュ王国王妃であるフレイヤがやって来た。
黒絹のドレスを身に纏い、宝石類や装身具類を一切身につけていなかったが、彼女の内側からの美しさは失われていなかった。

「一体何の話をしているのかしら?」
「い、いいえ・・」
「わたくし達はこれで・・」
「未亡人というものは、辛いものだわ。同情されてばかりで、周りはわたくしを腫れ物のように扱う・・」
「王妃様・・」
「気分が優れないので、部屋に戻るわ。」
「王妃様、お待ちくださいませ!」
「王妃様!」
「女官達も大変ね、姉様の気まぐれに振り回されて・・」
「まぁ、イライザ様・・」
「相変わらずお美しいですわ。」
「ありがとう。」
フレイヤの妹・イライザは、美しくカールしたブロンドの髪を揺らした。
「姉様の事は放っておいて、わたくし達は楽しみましょう!」
「は、はい・・」
「そういえば、あの方はどちらへ?」
「リアン様は、北へ行かれました。」
「まぁ、北へ!?あそこは、魔女の国だという噂が・・そんな危険な所へ、何故?」
「それは、陛下が命じられたので・・」
「あぁ、心配だわ!」
「大丈夫ですよ。リアン様は、すぐに帰って来られますよ。」
「そうよね。リアン様はお強いもの。」
「さぁイライザ様、リアン様が戻られるまで、舞踏会を楽しみましょう!」
「えぇ!」
遠く大広間から聞こえて来る賑やかな笑い声や音楽に耳を澄ましながら、フレイヤはそっと窓のカーテンを閉めた。
(あなた、どうしてわたくしの前から居なくなってしまったの?)
フレイヤは、寝台の上に横たわると、涙を流した。
舞踏会は、夜更けまで続いた。
「それにしても、叔父様がお亡くなりになったから、これからこの国はどうなるのかしら?姉様との間には子供は居ないし・・」
「そうですわねぇ。」
「後継者は、リアン様に決まりね!」
「そうですわね。」
「暫く部屋で休むから、誰も通さないで頂戴。」
「かしこまりました。」
この王国を治めているのは、アリューシャ王家であり、代々王位を継げるのは直系の男子のみ。
トーマ亡き後、現在王家の直系男子はリアンのみ。
このまま彼が王位を継ぎ、国王となる―筈であったが、彼には王家を継ぐ為に必要な“ある物”がなかった。
それは、代々王家に伝わる魔力であった。
その魔力は、総司が持っている。
リアンが総司から魔力を奪う方法は、ただひとつ。
それは彼女を殺す事だ。
「娘はまだ見つからないのか?」
「はい。」
「草の根を分けてでも探し出せ!」
「リアン様・・」
「どうした?」
「何だ?」
「領民達は如何いたしましょう?」
「殺すな。女子供に対する暴力は絶対に許さん。」
「はい・・」
部下達を下がらせたリアンは、自分の前に現れた見知らぬ娼婦達を睨んだ。
「あら、そんなに怖い顔をなさらないで。」
「わたくし達は、あなた方の“お世話”をする為に来たのですよ。」
「失せろ、娼婦に用はない。」
「まぁ、つれないお方。」
マリアはそう言うと、リアンの前から去った。
「あの女の事を調べろ。」
「はい。」

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