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勿忘草が咲く丘で 2

2021-02-19 21:37:22 | PEACEMAKER鐵 中世ファンタジー風二次創作小説「勿忘草が咲く丘で」


「PEACEMEKER鐵」の二次創作小説です。

沖田さんが両性具有という設定です。苦手な方はご注意ください。

捏造設定あり、オリジナルキャラ多めです。苦手な方はご注意ください。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

「まずは、息の合った虎達のダンス!」

座長の紹介で舞台上に現れたのは、まだ10を迎えてもいない少女と、白と茶色の二頭の虎だった。

「みなさん、こんにちは!この子は、ララとハニーです!」

少女はそう客達に挨拶すると、二頭の虎達と共に息が合ったダンスを踊り始めた。

「まぁ、可愛らしい事!」
「いいわねぇ。」

一座の芸は、観客達を魅了した。

「楽しかったわね!」
「えぇ、姫様。」

総司が侍女達とそう言いながら市の中を歩いていると、そこへ舞台で芸を見せた少女と擦れ違った。

「あら、あの子は・・」
「姫様、どうかされましたか?」
「いいえ、何でもありません。」

そう言いながらも、総司は少女から目を離す事が出来なかった。

暫くすると、少女の悲鳴が通りの向こうから聞こえて来た。

「あなた達は先にお母様達の所へ戻って!」
「姫様、お待ちを!」

総司が少女の悲鳴を聞きつけて彼女の元へと向かった。

「やめて、返して!それは亡くなったお母さんの形見なの!」
「うるせぇ、捨て子の癖に!」
「そうだ、そうだ!」

少女の前には、数人の悪童達がそう言いながら彼女が持っていたネックレスを奪い取り、それを投げ合って遊んでいた。

「あなた達、やめなさい!」

総司はそう叫ぶと、いつも護身用に持ち歩いているレイピアの切っ先を悪童達に向けた。

「その子のネックレスを返しなさい!」
「逃げろ~!」

悪童達は少女のネックレスを地面へと放り投げると、そのまま何処かへと走り去っていった。

「大丈夫?」
「ありがとう。」
「あなた、お名前は?」
「キキと言います、あなたは?」
「わたしは総司というのよ。また会いましょうね!」

総司はそう言うと、キキにネックレスを手渡して去っていった。

「キキ、遅かったわね。」
「ごめんなさい、エミリー。市で買い物をしていたら、変な人達に絡まれて・・」
「そうだったの・・大丈夫だったの?」
「お母さんの形見のネックレスをあの子に取られたけれど、とても綺麗な人に助けて貰ったの!」
「良かったわね。その方は、どんな方だったの?」
「黒髪で、美しい蒼いドレスを着ていたわ。名前は総司っていうの!」
「まぁ、そうなの・・素敵な人に会えて良かったわねぇ。」

そう言ってキキの髪をブラシで梳いていたエミリーの手は、微かに震えていた。

「お休みなさいませ、姫様。」
「お休みなさいませ。」

城へと戻った総司は、その夜自室で夢も見ずに眠った。

同じ頃、歳三は森の中で野宿をしていた。

水浴びの為服を脱いだ歳三の右脇腹には、大きな刀傷があった。

その刀傷は、歳三が負傷した敵兵を安全な場所へと避難させようとした際、背後から不意打ちにされてつけられたものだった。

敵に情けなどかけるものではなかった。

戦で歳三は武功を立てたが、そこでは沢山の仲間が死んでいった。

(いつまで、俺は人殺しをし続けなければならねぇんだ!)

 いつから、己の両手を血で汚して来たのか、もう思い出せない。

「あら、先客がいたわ。」
「良い男じゃないの。」

微かな水音と人の気配がした後、市で見かけた女達―娼婦達が湖に入って来た。

「その瞳、上質な琥珀みたい。」
「鋼のような筋肉ね。」
「ねぇ、この後わたし達と遊ばない?」

娼婦達がそう言いながら自分にしなだれかかるのを、歳三は満足気に笑いながら見ていた。

「あなた、もう休みましょう。」
「そうだな・・」

同じ頃、勇は家の前で歳三が来るのを待っていたが、妻・つねと共に家の中へと戻っていった。

「ねぇあなた、土方様は昔からあんなに無愛想な方でしたの?」
「いや、トシは昔から良く笑う奴だった・・あいつが変わったのは、戦の所為だな・・」
「この前の戦は、酷かったわねぇ。」
「あぁ、北の大地が、敵味方関係なく兵士の血で赤く染まったとか・・」
「土方様は、ご実家には戻られていないのでしょう?」
「色々と複雑な事情があるみたいだ。」
「まぁ、そうなのね。」
「それよりも、今日市でお姫様にお会いしたよ。暫く会わない内に美しくなっていて、驚いたよ。」
「女の子は、成長するにつれて美しくなるそうですわ。」

つねはそう言うと、大きく迫り上がった下腹を優しく擦った。

「身体は辛くないか?何か手伝う事があったら遠慮せずに言えばいい。」
「そのお気持ちだけで充分ですわ。」
「元気な子を産んでくれ。今俺が願っているのは、それだけだ。」

市の数日後、エウリケと総司は街の中心部にある教会で炊き出しをしていた。

この日、総司はいつも下ろしている長い髪を三つ編みにして結い上げていた。

「姫様、あの方が・・」

侍女の言葉を聞いた総司が通りの向こう側を見ると、そこには数人の娼婦達に囲まれている歳三の姿があった。

「ねぇお母様、あの方達は・・」
「あの者達は、魂が汚れた者達です。近づいてはなりません。」
「まぁ・・」
「奥様、酷い言い様ですこと。」
信心深いエウリケがそう吐き捨てるような口調で言うと、彼女の前に、豊かなブルネットの髪を揺らしながら、一人の娼婦が現れた。
「わたくし達は全ての糧を得る為に働いているだけですわ。」
「汚らわしい女達ね、目障りだわ!」
「行きましょう、マリア。この人には話が通じないわ。」
「そうね・・」
ブルネットの娼婦はそう言って鼻を鳴らすと、ちらりと総司を横目で見た後、歳三と共に去った。
「お姉さ~ん!」
「あらあなた、キキちゃん?」
「はい!今日この街を離れるので、ご挨拶に参りました。」
「そう。また、何処かで会いましょうね。」
「はい!」
「エウリケ様、こちらにいらっしゃったのですか!」
「近藤さん、どうしたのです?」
「妻が・・つねが産気づきました!」
「まぁ、それは大変ね!産婆をあなたの家へすぐ寄越すからあなたはつねさんの傍についておあげなさい!」
「は、はい!」
「さぁみんな、これからつねさんの出産の手伝いに行くわよ!」
「はい、奥様!」
教会での炊き出しを早めに切り上げ、エウリケ達は近藤宅へと向かった。
そこには、産みの苦しみに喘いでいるつねの姿と、彼女の姿を前にして右往左往する勇の姿があった。
「勇さん、ここはわたし達に任せて、あなたは外へ!」
「は、はい・・」
「退いておくれ!」
「ナディアさん、こっちです!」
家の中から時折妻の呻き声が聞こえ、勇は妻と赤子の無事を只管祈った。
やがて、赤子の元気な産声が聞こえて来た。
「産まれたよ、元気な女の子だ。」
「つね!」
「あなた・・」
勇が産室の中に入ると、つねが産まれたばかりの赤子を胸の上に抱いていた。
「ありがとう!」
「えぇ・・」
「奥さんを少し休ませてあげな。」
「はい・・」
勇はそう言うと、家から出て街へと向かった。
「済まないが、産婦に栄養をつけさせるハーブはあるかな?」
「まぁ、それでしたらローズマリーやカモミールが良いですわよ。」
そう言ってハーブの専門店から出て来たのは、教会の前でエウリケとやり合ったマリアだった。
「これを。」
「ラベンダーの精油?」
「ラベンダーは、疲れを取るにもいいですし、ストレスを和らげる効果がありますわ。」
「ありがとう。」
「お子様の健やかなご成長を、お祈りしておりますわ。」
マリアはそう言うと、勇に優しく微笑んだ。
「あぁ、何て可愛いの。」
総司はそう言うと、生まれたばかりの赤子を眺めた。
「これからが大変ですよ。」
「・・わたしも、いつか赤子を胸に抱ける日が来るのかしら?」
「えぇ、来ますよ。」
「まずは、その前に運命の相手を見つけなければね。」
「ふふ、そうですわね。」
総司がそんな話をつねとしている頃、遥か遠く、東の大国・アンルーシュでは国王が死の淵を彷徨っていた。
「父上、父上!」
アンルーシュ王国第一王子・リアンは、そう言うと父王の手を握り締めた。
「リアン・・あの子を、探せ・・」
「あの子・・とは?」
「お前の・・妹・・」
そう言ったアンルーシュ国王・トーマは静かに息を引き取った。
「父上~!」
多民族国家であるこの国を治めて来た国王の死は、やがて総司達の平穏な生活を脅かす事など、まだ総司は知る由もなかった。
「兄上、父上は・・」
「先程、身罷られました。」
「何という事だ、父上・・」
国王の葬儀は、しめやかに行われた。
「あぁ、何という事・・」
「これから、どうすれば・・」
「リアン、後でわたしの部屋に来い。」
「はい・・」
葬儀の後、リアンは叔父・ファーリに呼び出され、彼の書庫へと向かった。
「叔父上、お話とは何ですか?」
「兄上は、最期に何か言い残していなかったか?」
「・・いいえ。」
「そうか。兄上亡き後、そなたに早く身を固めて貰わねばな。この王家の血をひく男子は二人のみ・・」
「わかっております、叔父上。」
「例の娘の消息は、まだ掴めておらぬのか?」
「はい。」
「姉上はどうされている?」
「母上は相変わらず、病に臥せっております。叔父上、やはりあの娘はわたしの・・」
「血が繋がったお前の妹だ。いや、弟でもあるな。」
「どういう意味ですか?」
「お前の妹は、両性具有なのだ。それ故、あの子が生まれた時姉上はあの子を殺そうとした。」
「何と・・」
「わたしは妹の乳母にあの子を託し、この城から逃げるよう命じた。しかし、彼女は刺客に襲われて命を落とし、お前の妹は未だ行方知れず・・もしかしたら、あの子はまだ生きているかもしれぬ。」
「その娘の名は?」
「総司・・“総てを司る”という意味を持つ。」
「叔父上、仮にその娘・・総司を見つけたあかつきには、どうされるおつもりなのですか?」
「殺す。」
「何故です?」
「兄上亡き後、“あの力”を持つ者は王家には、あの娘しか居ない。“あの力”は、この国を治める者には不可欠なもの。だからこそ、“悪しき種子”は見つけ次第摘み取らねばならぬ。わたしが言っている意味は、わかるな?」
「はい。叔父上、その娘を見つけたあかつきには、殺せば良いのですね?」
「・・賢い甥を持って、助かった。」
ファーリはそう言うと、根元が腐ってしまった薔薇の花を、花鋏でその茎ごと切り落とした。
「あの娘が生きていれば、今年で幾つになるのですか?」
「そうだな・・」
「姫様、15歳の誕生日、おめでとうございます!」
「ありがとう!」

この日、総司は15歳の誕生日を迎えた。

「15歳・・魔力を持つ者が、覚醒する時期だ。あの娘が持つ“力”が覚醒した時、世界は大きな厄災に見舞われる事だろう。」
「その前に、必ずやわたしが探し出し、この手で殺します。」

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