伊勢すずめのすずろある記

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推理小説他、読書についての雑感 …。

2012年03月21日 | 随筆・雑感・回想など

ハヤカワ・ライブラリーの絶版書~伊勢すずめの蔵書より 

 最近、めっきり読書をしなくなった。それでも昔の漫画を見つけると、ついページを繰ってしまう。今はコミックと言っているが、一時「漫画」を「劇画」と呼んだ時期もあった。この呼び名は言葉として定着せずに、いつの間にか「コミック」になった感がある。 昔の漫画と言えば、まず手塚治虫の「鉄腕アトム」「0マン」「火の鳥」などが思い浮かぶが、少年時代にむさぼるように呼んだ手塚マンガは、しっかりとしたストーリーの面白さと共に、作画の美しさや遊び心の楽しさがあった。当時、手塚マンガは完成度の高さとともに、作品の全てにおいてずば抜けていて、どの作品も他の漫画家の追随を許さぬ「知的独創性」があった。マンガの天才、正に神様の手によって世に出された作品群は、戦後世代の少年達をとりこにしていた。 他にも竹内つなよしの「赤胴鈴之助」や、長谷川町子の「仲よし手帖」「サザエさん」など、懐かしい漫画はいっぱいあるのだが・・・。


 最初に漫画の話をしたのは、絵本や図鑑を経て、少年の頃よく読んだ書物と言えば、学校の教科書以外では、月刊誌(「小学○年生」や「中学時代」などの学生向け雑誌)か、「少年画報」などの娯楽雑誌についてくる、紙質の悪い付録のマンガ本ぐらいであったからだ。少年時代にいきなり文学小説や随筆集、学術書を読み始める人は滅多にいない。
表紙絵のきれいな、ハードカバーの春陽文庫
 我が輩が小説を読み始めたのは、中学1~2年からであるが、当時文字だらけの本はイヤだった。それでも社会思想社の「現代教養文庫」は写真が多くて楽しかったゆえ、科学よみものを中心に、よく出版社から取り寄せもした。それと共に、他社の文庫本小説とは違って、ハードカバーに美しい表紙絵の入った春陽文庫は、絵の魅力にかられてか、よく立ち読みをしたものだ。
 ふと手にしたその中の一冊が、謎解き文学の面白さに我が輩を夢中にさせ、以来推理小説の世界に踏み込んでしまい、熱中する事になってしまったのだ。それは、鮎川哲也の「りら荘事件」(昭和36年発行の初版)であった。もちろん、即買い求めて何度も何度も読み返し、長年大事に持っていたが、後年、推理小説好きの高校生にあげてしまった。


 その後、寡作の鮎川哲也やコナン・ドイル(海外探偵小説)をはじめ、長谷川公之の「警視庁物語のシリーズ」を経て、江戸川乱歩や松本清張、横溝正史、水上勉、西村京太郎などと共に、最近では二階堂黎人、島田莊司など、特に本格派の複雑な作品構成の推理小説が好みで、手当たり次第、夜半を過ぎてもなおかつ寝床で耽読したものだ。この習慣は、今もずっと続いている。春陽文庫(新装第1刷・昭和51年発行、絶版)
 ちなみに、本格推理小説のお薦めは、かなり古い作品になるが、 
 1.「りら荘事件」(鮎川哲也・春陽文  庫の加筆改訂版は絶版ゆえ、角川文  庫、講談社文庫、創元推理文庫など) 2.「迷路荘の惨劇」(横溝正史・昭和  50年発行 東京文藝社版、角川文庫、  他)  3.「高校殺人事件」(松本清張、光文  社カッパ・ノベルズ、文春文庫)


 推理小説以外では、石坂洋次郎や三島由紀夫らの、青春もの「純愛文学小説」が楽しかった。それに、科学エッセイもよく読んだ。特にハヤカワ・ライブラリーで、アイザック・アジモフの「空想天文学」(和訳本)をはじめ、このシリーズには随分お世話になった。その結果、自然科学の分野で、ものの見かたについて色々と考えさせられ、かなり脳細胞の活性化に繋がったようだ。今もって、宇宙や地球への興味は尽きない。


 現職の頃、専門の「地学関係の文庫本のリスト」を作りかけたことがある。中絶に終わったその原稿が押し入れに残っていたので、引っ張り出したついでに、最近の文庫も書き添えてセレクトし、「地学の文庫本・お薦めリスト」(但し、戦前~戦後の「研究社 学生文庫」や「三省堂理科文庫」、及び気象、天文、宇宙科学、それに地方限定の出版本を除く)として掲げておく。 
 ◆ 地球を考える  中山伸夫 著 国民文庫(大月書店 発行) 初版    1974年 ◆ 鉱物-やさしい鉱物学- 益富壽之助 著  カラー自然ガイド  初版    1974年 ◆ 風景の科学-名勝と成因- 猪郷久義 著  カラー自然ガイド  初版    1975年 ◆ 地球の科学  伊藤 正・猪郷久義 著 カラーブックス 初版 1978年 ◆ 地震の科学  地震学会 編  カラーブックス  初版 1979年 ◆ 洞穴探検学入門  山内 浩 著  講談社学術文庫  初版 1979年 ◆ 地球のなぞをさぐる  大塚道男 著 旺文社文庫 初版 1982年 ◆ 科学何でもQ&A 地球  日下英明  教養文庫 初版 1982年 ◆ アジモフ博士の地球誕生 アイザック・アジモフ 著 (酒井明伸 訳)    教養文庫  初版 1985年 ◆ 地球物語-46億年の謎を解き明かす- 浜田隆士 著 新潮文庫 初   版 1987年 ◆ 地球謎紀行 文藝春秋(編) 文春文庫・ビジュアル版 初版 1993年 ◆ 古代の朱  松田壽男 著  ちくま学芸文庫 初版 2005年 ◆ 「鉱物」と「宝石」を楽しむ本  堀 秀道 著 PHP文庫 初版 2009年





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