アバウトなつぶやき

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川端康成と横光利一展

2018年12月05日 | かんしょう
 シロウタと三重県立美術館で開催中の「川端康成と横光利一展」を観てきました。





 この展覧会は青年時代を三重県で過ごした作家・横光利一生誕120年を記念して開催されています。展覧会の表題の始めに来ている「川端康成」は文学好きでなくても知っているけれど、横光利一って誰でも知っている名前なのでしょうか…横光利一は当時「文学の神様」と呼ばれるほどの人気があったそうですが、すみません、私は名前も知りませんでした。作品ももちろん読んだことはありません。
 
 横光と川端は親友と呼べる間柄で、生涯を通して交流があったようです。二人の交流の記録である書簡や、それぞれの文学における業績が紹介されているのですが、これがなかなかしっかりとした構成なので非常に見応えがあります。
 もちろん美術品も展示されており、美術館が開催する展覧会という雰囲気は損なわれていませんが特殊と言えば特殊かも。
 とにかく文字が多いので、しっかり見ると時間がかかります。
 私は特に文学好きというわけではありませんしそれほど小説も読みませんが、まぁ、嫌いではない方なので興味を持って見ることが出来ます。
  
 冒頭で二人の師である菊池寛が川端に「横光はすごい男だから友人になると良い」と勧めたエピソードが紹介されていました。横光は若い頃から頭角を現していたんですね。これを読んで、私は一気に横光に興味を持ちました。
 一緒に行ったシロウタは文学好きというか生活の中に文学がある人間です。図書館の文学コーナーに置いてあるような本なら全部読んでるんじゃないかと思うくらいなので、もちろん横光利一は読んだことがあるとのこと。どんな感じの文章か尋ねたら、川端康成とよく似た雰囲気とのことでした。
 彼らは当時「新感覚派」と呼ばれていました。西洋感覚を帯びた知的な文章、という感じでしょうか。(この辺の正しい解釈は、文学の解説を参考にしてください)
 展示を見ていて、二人はとても「まとも」な生き方をしているなぁ、と思いました。学生時代から優秀とされ、友人との交流は欠かさず、酒や煙草もそれほどやらない。(横光は)妻が病気になれば心を痛めて看病をし、友人の医師が治療費を受け取らないと言えば申し訳無いと思う。
 新しいことを始める気力もあるし、ある時は(映画関連の仕事で)仲間に入りたいと言ってきた知人の処遇をみんなの意見の統一がなければ受け入れられないと細心の調整をみせている。
 友人のことを尊重し、家族を大事にし、作品の発表も意欲的。
 作品の装幀に前衛的な芸術家を起用したりしていて、発表された本もセンスが良いのです。本の装幀を見比べることが出来ましたが、そのメンバーも前衛に限らず名だたる芸術家揃いで、時代の先端にいたことを伺わせます。

 すごい、絵に描いたような小説家だ。

 成功者っていえばそうなんだけど、嫌みな感じが全然無くって私はとても好感を持ちました。 

 川端康成は芸術家との交流も多かったようで、今回出品されている美術品は川端康成記念館の所蔵するコレクションです。
 紹介されている作品の中には安田靫彦や小林古径に本の装幀に使うために描いてもらった絵があるのですが、それに関しても自分から依頼したわけではなく出版社の方が頼んだという説明がありました。川端は「そんな大家にお願いするなんて大それている。しかし、おかげでとても素晴らしい本になった(言い回しは違うと思いますがこういう意味)」と言ったそうです。
 展示されている美術品も味わい深い作品が多く、派手な印象のものはありませんでした。
 唯一、縄文のビーナスっぽい土偶が他のものと違う印象がありましたが、川端がヨーロッパ旅行の際に岡本太郎に案内してもらった影響なのかな。

 ということで帰り道に図書館に寄って、横光利一の本を借りてきました。
 まだ短編しか読んでいないけれど、私は好きな文章です。当時としてはこれが「新感覚」だったのか。

 おまけ。

 ただいま県民ギャラリーは装幀を紹介しています!
 展覧会と併せて見ると、これまた面白い。この週末はワークショップもあるので、そっちだけでも参加したい人がいるんじゃないかしら。
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