カミノアナログ

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勝ち切る意思

2009-04-15 | pog-strategy
ある馬が、極限の戦いにおいて最後にひと伸びできるかどうか、あえて単純な言い方をすれば、どのくらいの「スタミナ」あるいは「勝負根性」を持っているか。
それを、もっとも手軽な手段で予測するにはどうすればよいだろう。

過去数万頭の血統表を見てきた俺に言わせれば、それにはその馬の血統中に含まれる、ハイペリオン(Hyperion)とその母シリーン(Selene)の血量をそれぞれ算出してみることである。
一般に、これらは平均してHyp:4.9%、Sel:3.5%という値を示す。
しかし、過去10年のダービー勝馬の平均値は、Hyp:6.2%、Sel:4.5%となっている。

とくにハイペリオンの血量が多い馬の走りは、ハイペースになればなるほど強く、追えば追うほど応えて伸びる、というものになる。近年でもっともハイペリオンらしかったのは、ナリタブライアン、エアグルーヴ、スペシャルウィーク、ダイワスカーレットらだろう。
これらのように、ハイペリオン血量の豊富な馬は、しばしば東京コースでひときわ強さを発揮する。また荒れ馬場や中距離以上のダートに対する適応力も、ハイペリオン血量と密接な関係にある。
米血が濃い配合では、ハイペリオンの代わりに異父兄シックル(Sickle)やファラモンド(Pharamond)がおなじ役割を果たす。すなわち、ハイペリオンの父母では、母方シリーンの役割が大きいんである。
シリーンの父の半弟であるスウィンフォード(Swynford)を付近にともなうと、ハイペリオンの遺伝効果はさらに増幅される。→(例)
それからもうひとつ、ハイペリオンを補佐する血で重要なものがある。ハイペリオンと同父系のサンインロー(Son-in-Law)だ。これが強くなると、東京より中山に適性がかたむき、先行やまくり脚質になりやすい。

注意しなければいけないのは、ハイペリオンが濃くても、素軽いスピードでテンから飛ばすようなレースや、スローの直線切れ味勝負になるようなレースでは、ほとんど役に立たないことだ。じっさいシーキングザパールなどは、ハイペリオンをまったく持たず、シリーンも1.6%しか含んでいなかった。
テンから飛ばすにはブルドッグ(Bull Dog)やブルーラークスパー(Blue Larkspur)、直線するどく差すにはナスルーラ(Nasrullah)マームード(Mahmoud)ロイヤルチャージャー(Royal Charger)プリンスキロ(Princequillo)など、それぞれ別の血脈が必要とされるんである。
思えば、ハイペリオンとブルドッグとマームードのバランスがとれ、これらの血脈を産駒の配合で効果的に強調し、再現できたのが種牡馬サンデーサイレンスの最大の強みであった。

クラシック、とくにダービーを獲るつもりで指名する馬に迷ったら、いちどハイペリオン血量を調べてみてはどうだろう。

追加参考:サンデーサイレンスの天下を作ったのは誰か 後編/REVERY_L_ELEKTRA: Anotherside