ひょうたん酒場のひとりごと

ひょうたん島独立国/島民のひとりごとをブログで。

孫と歩く散歩道

2015年08月06日 16時08分27秒 | 日記
「去年の8月は1日もなかったのに、今年は今月に入って連日らしいよ」―過日、大阪の猛暑日のことを女房がこう言った。「ということは去年よりも暑い、ということか?」「大阪ではね…」。

否、大阪ばかりではない。奈良だって結構暑い。今年、こちらの方の猛暑日がどうなっているのか、女房情報がないから分からないが、日中、冷房を付けっ放しにしていてもなお、生温かさを感じる瞬間があるくらいなのだ。

そんな暑さの中の今月初めの日曜日、夕方、娘夫婦の2人の孫(K―高2男&M―中3女)と、自宅の裏に控える矢田丘陵の自然遊歩道を歩いた。

正直言うと、ここは何度かこのブログでも記した通り、かつては私の朝夕のウォーキングの定番コースだったのだが、確か3年ほど前から夏場は避け、2年ほど前からは夏を除く季節の、それも夕方のみになり、1年ほど前からは殆ど立ち入らなくなっていたのだった。

夏を避けるようになったのは、一度遭遇して、蛇の出現が不気味になっていたことと、かつ、払っても払っても押し寄せてくる蚊や、さらには行く手で待ち受ける樹木から垂れ下がる蜘蛛の巣に悩んだからであり、1年ほど前からは、膝痛と腰痛を覚え始め、散歩の主体も夕方のみ、それも住宅街を通り抜け、公園や川沿いを歩くことに移っていたからである。

この日は、娘夫婦の家族(総勢5人)と久し振りに我が家で夕食を共にすることになり、夕方、両親たちより先に来ていたKとMが「今でも、散歩してるの?」と訊いてきたことがそのきっかけになった。

2人がまだ小学生の頃、ということは5~6年前になるが、彼らを連れて丘陵を歩いたことがあり、彼らはその後もずっと私がそれを習慣としていることを知っていたのだ。

「してるよ。一緒に行くか?」「うん、行く行く」。Kと、そしてMまでが、積極的に応じてきた。高校の部活でKはテニスをやり(それも主将らしい)、中学生のMはバスケット。そうした体育会系ののりが2人を活発にさせているのかとも思い、どちらかと言うとこうした誘いには消極的だった2人の子どもたち(娘と息子)を瞬間的に思い浮かべ、その反動で、嬉しくもあり、胸が高鳴った。

「どこ行くの?」「今は山じゃなくて公園や川べりを歩いてるんだけど、どちらにする?」「前行った丘陵の方がいい」「じゃ、そうしよう」。短い2人とのやり取りがあった後で、行き先はすんなりと決まった。「今日は君たちと一緒だから蛇が出て来ても怖くない」。咄嗟に、冗談めかした本音も出た。

以前山に入った時は確か晩秋だった。その時の、僅かなアップダウンを繰り返す稜線の、その下りになっている小さな山道で、歓声を上げながら、そこを埋め尽くす落ち葉を踏みしだき、滑り降りるように走り下った2人の姿や、途中の岩に駆け上って得意げに棒切れを振り回していた幼いKのわんぱく振りなどが思い出されてもいる。

それが今、テニスで真っ黒に日焼けし、身長も私より高く、かつ逞しいKと、ふっくらとした、だが一人前の女性と言うにはまだあどけさの残るMが私の前を歩く。

時々振り返っては「大丈夫?」とこちらを気遣ってくれるK。Mは「何故私だけ…?」と、男2人以上に寄って来る蚊と格闘し続けている。が、2人の表情は、本当に久し振りになる私との時空間を心から歓迎しているかのようだったのだ。

コナラやソヨゴ、高山ツツジといった当地特有の樹木の緑が回廊を作る中、かつてよりは遥かに成長したそんな2人の姿を追いながら、時折り夕陽が樹間に射し込むこの散歩を私もまた楽しんだ。

別に、最早目新しい場所でもなかったが、女房から言われて持参したデジカメを使い、2人の写真を思い描いていた要所要所で何枚もせっせと撮った。都度同じ場所で、替わる替わる私とのツーショットを、Kが、Mが交互にシャッターを切ってくれた。

最後は3人とも汗みずくになった1時間30分。当時、泊まりに来た時はよく2人と一緒に風呂に入ったりもしたのだったが、今はもうそんなわけにもいかず、さて、シャワーの順番はどうするか?

女房とだけの日常、家までの道すがら、ふとそんなことを考えるのもまた妙に新鮮な一瞬の散歩ではあった。

(シャープ)ブンゴウ