ひょうたん酒場のひとりごと

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全国高校野球、遅ればせながら

2009年08月05日 07時42分38秒 | 日記
 異常なまでの長梅雨のせいで京都大会は順延し、決勝は7月27日(月)だった。
猛打で知られる福知山成美VS龍谷大平安の決勝は、双方が全力を尽くしたが、幕切れは劇的な逆転サヨナラで龍谷大平安に野球の神様が微笑んだ。ぼくは残念ながら観戦できなかったが、翌日の朝刊にはそのように書いてあった。
                               
 決勝の前日、つまり準決勝の福知山成美VS京都外大西の熱戦は、日曜日だったので勇んで出掛けた。この対戦は昨年、京都外大西が12対2でコールド負けした雪辱戦でもあった。さすがに準決勝は観客も多く、観戦に適した場所を確保するのに手間取ったが、なんとか1塁側の京都外大西のダッグアウトに近い中段に2人分の席を確保した。ぼくは座席の汚れを払いのけてR子さんに着席を促した。彼女の今日の手持ちは、ピザとジャイアントコーンとキットカット。ぼくは球場内を小走りして手に入れた缶ビールとフランクフルトソーセージ。周囲のいぶかしげな視線をやや気にしながら胃袋を満たした。
                               
 試合は、京都外大西が3回に1点先制したが4回に逆転され、さらに6回に1点追加されて3対1で展開。しかし、8回裏の京都外大西の攻撃の時点でエース長岡投手に異変があった。長岡投手がなかなかグラウンドに出てこない。1分、2分、3分経ってもマウンドに向かう姿がない。異様に長く感じられたが5分くらいかもしれない。すると、京都外大西の応援席から怒号のブーイングが三度起こった。
 隣のR子さんはぼくの耳元で「ああいうのは良くないわね」と囁く。ぼくは「うん」と頷いたが、実は心のなかでは「早く出てこいや!」と少しいらだっていた。ああいう場合は、監督が控え選手に指示を出して審判に事情を告げさせ、1塁側に向かって脱帽、一礼させるのが礼儀だと、僕は自分の考えに増幅されてよけいにいらだった。
                               
 結局、長岡投手から島本投手に交代。しかし、この交代劇が京都外大西に幸いし、辛くも1点をもぎとった。昨年の轍は踏まないという意気込みか、雪辱の気運が盛り上がってきた。ぼくもR子さんもどちらの高校が勝ってもいいわけだが、たまたま1塁側に近いスタンドに座った関係で、周囲の歓声に合わせて京都外大西を応援していた。
 3対2で迎えた9回の表、福知山成美の攻撃。1アウト、1塁3塁でこれまで好投した2年生の左腕・中村投手から、昨年エースの座にいた右腕・熊谷に交代。直後に決定的な3ランを浴び、これが勝敗を決めた。
                               
 すでに、第91回全国高校野球は49校の代表が出揃い、甲子園球場での練習に励んでいる。初出場校が最近10年間では最多の13校である。地方大会を戦い抜き、輝かしい栄冠を手に入れてあこがれの甲子園の土を踏む高校球児たち。感動に足が震えるだろう。
 何を隠そう、実はぼくも甲子園の土を踏んだことがあるのだ。もちろん高校野球ではなく、小学校時代の連合体育大会のときだ。グラウンドの黒い土の上でのマスゲームを思い出す。グラウンドに這って競技を終えると、真っ白なトレパンとシャツに貼り付いた黒い土は手ではらってもなかなか落ちなかった。まさに、パウダーのようで指先はうっすらと茶色く染まっていた。それほどきめ細かいのが甲子園の土だ。
 現在、甲子園の土は、国内の黒土と中国福建省の白砂をブレンドしているらしい。また、季節の雨量と陽射しも考慮し、春には砂を多く夏には黒土を多くしているようだ。色が黒いのは白球を際立たせるためでもある。
                               
 どこの球場においてもグラウンド整備は、これほど大変な苦労が背後にある。
 さて、西京極球場で唯一の阪神タイガース戦がなくなったのもグラウンド整備が大きく関係している(らしい)。
 数年前、西京極球場での阪神タイガース戦で、赤星選手がグランドコンディションに難を示した(らしい)。盗塁王の赤星にとって、3S(スタート・スピード・スライディング)は絶対のもので、直接両足に響くグラウンドの土は掌で触れるほど敏感なものだ。その土の整備に難癖をつけた(らしい)。そこで当時、グラウンド整備を担当していた少し怖い目の方々が、プロとしての仕事のプライドを汚されたと阪神球団と赤星に異議を申し立てた(らしい)。そういういきさつがあって、「それじゃ、西京極球場での阪神戦はやめよう」ということになったらしい。西京極球場にまつわる話はいろいろと流れて風聞を賑わすが、一応は「らしい」話なのだ。
 それはさておき、8月8日から開幕する第91回全国高校野球を心から楽しみたい。あの黒いグラウンドの土に、どれだけ高校球児の汗と涙が染み込むか。その一滴一滴も甲子園の土の歴史となる。

from イットウカ




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