ゆめ未来     

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室町無頼/垣根涼介

2016-12-31 12:36:52 | もう一冊読んでみた
 ■ 室町無頼

 確かに儚く、犬死にしただけの一生だったのかもしれない。が、世の仕組みを疑わず、自分に分かる観念しか奉(ほう)じず、因(とら)われている者には、その先にある世界を思い描くことなど出来はしない。

時代の先を見すえ、やがて来る世界を信じて世を大きく動かそうとしたふたりの梟雄を中心に物語は、展開する。

 蓮田兵衛 「蓮田終(つい)ニ遁(のが)ルル処(ところ)ナクシテ淀(よど)ニテ誅(ちゆうせ)ラレケリ」(新撰長禄寛正記)

 骨皮道賢 昨日まで稲荷廻(いなりまわり)し道賢を今日骨皮(ほねかわ)と成すぞかはゆき(落首)


 「苦界の雨も、まだまだ世間には降り続いておるようですな

兵衛、道賢だけでなく才蔵のお師匠である唐崎の老人、馬切衛門太郎など面白く魅力的な人物が満載。
なかでも、ぼくは法妙坊暁信(ほうみようぼうぎようしん)が好きだ。
恐ろしい比叡の僧兵頭で土倉(銭貸し)の主だが、真剣なんだが、やることなすことどことなく挙動がユーモラスなのだ。

 理屈を捏(こ)ねる者に根っからの悪人はいないと、昔から言う。
 「鵺に、正体などない。わしも兵衛も同じだ。そもそも善悪など、見る側の都合によって決まる。それだけのものじゃ」
 いや……そもそも自分が考えていることすら、本当のところは本人にさえもはっきりとは分かっていないのだ。人とは、そういうものだ。常に無知の知を抱え、生きている。わしもむろん、そうだ。
 こういう立場の男女は痴情が縺れ、堕ちるところまで堕ちて行きかねない。行き着く先は、嫉妬という名の地獄の釜の底だ。
 銭と違って、口はいくら動かしても減りはせぬ。人々の記憶に残っている限りは、噂も消えぬ。動き続ける。つまりはそれが評判になり、やがては世間での信用になり、人を動かすことになる。
 「縁あれば、またいつか会うこともあろう」
 「今さら何も言うことはないが、堅固でおれ」
 「が、才蔵よ、おぬしはまだこれからじゃ。出来れば生き延びよ」


 『 室町無頼/垣根涼介/新潮社 』

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