琉球新報は4月19日、「徳之島反対集会 民意尊重し『腹案』見直せ」と題する社説を掲載しました。以下全文。
徳之島住民約2万5千人の半数を超える人々が集い、政府が検討する同島への米軍普天間飛行場移設案を拒否した。民意は明確であり、今度は鳩山政権が「民意尊重」を明確にする番だ。
鹿児島県徳之島で開かれた「米軍基地移設反対1万人集会」は、文字通りの“島ぐるみ闘争”だった。決議文では「奄美の祖国復帰運動にも勝る、島を守る『民族危機』の叫び」と表現した。米軍基地によって美しい自然と島ん人(しまんちゅ)の「結いの心」共同体が破壊されることへの危機感を訴えた。
この異議申し立ては、普天間撤去や国外移設を米国と交渉せず、沖縄県内、県外への移設でお茶を濁す政府への公憤にほかならない。
業者など一部住民に移設に伴う振興策や雇用機会確保を期待する向きもある。しかし、集会後、徳之島3町の首長はあらためて移設受け入れ拒否を明言した。
大久保明伊仙町長は「徳之島は貧しいから受け入れるのではないかと考えるなら、政府は甘かった。打診があっても断固拒否する」と述べた。政府は移設に好意的な一部の声に重きを置くあまり、民意を読み誤ってはならない。
政府が検討するキャンプ・シュワブ陸上部と勝連半島沖の埋め立て、徳之島への普天間移設案はどれも地元が強く反発しており、無理強いしても成算のない筋違いの提案であるのはもはや明らかだ。
普天間飛行場返還問題はそもそも県内移設条件付きの1996年のSACO(日米特別行動委員会)合意がボタンの掛け違いの始まりだ。その自覚が必要である。
鳩山政権は普天間はもちろん、事件事故の温床である在沖海兵隊にもメスを入れる時だ。予防外交や軍縮重視の重層的な日米関係、東アジア安全保障構築へ向け米側と交渉すべきだ。首相が明確な展望を示せば、国民は理解する。
徳之島の決議では「この10年間、振興策として600億円を投入されてきた名護市では逆に市債残高が増加し、失業率の増加、法人税の減収など市の経済は困難をきたしている」とし、「長寿、子宝、癒やしの島に米軍基地はいらない」と移設反対を内外に発信した。
「民主」を掲げる党が民意を否定する時、国民の失望は計り知れない。鳩山政権が説得すべきは米政府だ。普天間閉鎖・撤去を前提に、対米交渉をやり直すべきだ。
徳之島住民約2万5千人の半数を超える人々が集い、政府が検討する同島への米軍普天間飛行場移設案を拒否した。民意は明確であり、今度は鳩山政権が「民意尊重」を明確にする番だ。
鹿児島県徳之島で開かれた「米軍基地移設反対1万人集会」は、文字通りの“島ぐるみ闘争”だった。決議文では「奄美の祖国復帰運動にも勝る、島を守る『民族危機』の叫び」と表現した。米軍基地によって美しい自然と島ん人(しまんちゅ)の「結いの心」共同体が破壊されることへの危機感を訴えた。
この異議申し立ては、普天間撤去や国外移設を米国と交渉せず、沖縄県内、県外への移設でお茶を濁す政府への公憤にほかならない。
業者など一部住民に移設に伴う振興策や雇用機会確保を期待する向きもある。しかし、集会後、徳之島3町の首長はあらためて移設受け入れ拒否を明言した。
大久保明伊仙町長は「徳之島は貧しいから受け入れるのではないかと考えるなら、政府は甘かった。打診があっても断固拒否する」と述べた。政府は移設に好意的な一部の声に重きを置くあまり、民意を読み誤ってはならない。
政府が検討するキャンプ・シュワブ陸上部と勝連半島沖の埋め立て、徳之島への普天間移設案はどれも地元が強く反発しており、無理強いしても成算のない筋違いの提案であるのはもはや明らかだ。
普天間飛行場返還問題はそもそも県内移設条件付きの1996年のSACO(日米特別行動委員会)合意がボタンの掛け違いの始まりだ。その自覚が必要である。
鳩山政権は普天間はもちろん、事件事故の温床である在沖海兵隊にもメスを入れる時だ。予防外交や軍縮重視の重層的な日米関係、東アジア安全保障構築へ向け米側と交渉すべきだ。首相が明確な展望を示せば、国民は理解する。
徳之島の決議では「この10年間、振興策として600億円を投入されてきた名護市では逆に市債残高が増加し、失業率の増加、法人税の減収など市の経済は困難をきたしている」とし、「長寿、子宝、癒やしの島に米軍基地はいらない」と移設反対を内外に発信した。
「民主」を掲げる党が民意を否定する時、国民の失望は計り知れない。鳩山政権が説得すべきは米政府だ。普天間閉鎖・撤去を前提に、対米交渉をやり直すべきだ。