昨日のブログで紹介した東条湖畔の愛宕神社の祠の前の広場の南、すぐ下に大きな石碑があります。これが「釣針碑」です。
垣に囲まれ、台座の石の上に見上げる高さの立派な石碑です。石碑の中央には「釣針碑」と刻まれています。その上部には、円形の飾り石が置かれ、左右に大きな釣針、中央に波の上にはねる魚が刻まれています。
後ろ側にまわってみると、釣針碑建立の由来を記した碑銘が刻まれていました。文には、釣針製造の始祖とされる米田村下久米村の小寺彦兵衛翁がその技術を伝えたことから郷土の産業として栄えたこと、兵庫県釣針協同組合の誕生、その後の発展の歴史を記し、組合創立二十周年を期に、職祖小寺彦兵衛翁の功績への感謝と、釣針産業のさらなる発展を期して釣針碑を建立したことが記されていました。
正面の「釣針碑」の題字は、郷土縁の書家上田桑鳩先生の揮毫、後ろ側の銘文は同じく郷土出身の書家、藤原優先生の書であることが刻まれていました。上部の円形の石の裏には、慰魚霊の文が刻まれていました。
この釣針碑は、昭和33年(1958)に建立され、除幕式が行われています。その写真が釣針協同組合の「くみあいだより」の平成21年9月1日号に掲載されていました。出席者の中に坂本勝兵庫県知事の姿がありました。釣針製造は、兵庫県を代表する地場産業の一つで、そのシェアは、全国の90%近くを占め、圧倒的な1位を誇っています。
釣針組合では、毎年この碑の周囲の草を刈り、清掃を続けておられます。今は訪れる人も少なく、碑のある小山の上まで上る人はほとんどいないのではないとのことですが、東条川疏水ネットワーク博物館の活動で、その起点となる鴨川ダムを訪れる人も増えてきました。この釣針碑がある地点は標高165メートルで、ダムに通じる道路から約20メートル高く、そこからの眺望は、昨日のブログで紹介した通り素晴らしいものです。ぜひ、一度訪れてみて下さい。
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