ふるさと加東の歴史再発見

少し気をつけて周囲を見回してみると、身近なところにふるさとの歴史を伝えるものがある。

秋津百石踊り-住吉神社で奉納

2011年05月05日 06時37分40秒 | Weblog
 5月3日(火)、加東市秋津の住吉神社境内で、この地に古くから伝わる雨乞い踊りの百石踊が奉納されました。
 境内には多くの人が見物に訪れ、宮司さんの説明を聞いたあと、百石踊りが始まりました。
 秋津百石踊は、「旱魃の時には住吉神社の神前で踊って雨乞いをせよ」という神功皇后の言葉があったと伝えられている住吉神社の神事です。パンフレットの説明によれば、実際は室町末期から桃山初期の頃に雨乞い踊りとして始まったものだろうとされ、この踊りを一度催すと、百石分の経費を必要とすることから百石踊りと云われているそうです。もとは住吉神社の氏子村が参加していたそうですが、今では西戸(さいど)地区保存会だけが伝えています。
 昭和47年に兵庫県の重要無形文化財に指定されています。最近では、平成6年の日照りの年に雨乞い祈願で奉納されています。私は、東条とどろき荘で披露された時に初めて見ましたが、太鼓の拍子と踊り手の問答など、その独特の踊りに感銘を受けたことを覚えています。その後も一度見て、今回で3度目ですが、神社境内という本来の舞台での踊りにさらに深い感銘を受けました。
 この地に伝わる古い踊りを代々伝えていく、継承していくことはたいへんなことです。伝統の祭りであっても、時代の変遷とともに消滅していくことも少なくありません。また、一端途切れてしまうと、その復活、復元は困難になってしまいます。この雨乞い踊りが西戸地区の皆さんによってこうして伝えられていることに心から感謝したいと思います。
 現在では、東条ダムが築かれ、用水路網を通して、加東市、小野市域のため池、田圃に水が送られています。台地にも水が送られ、土地が拓かれました。しかし、この地域は全国的にも降水量が少なく、昔から川に堰を築き、水路をつくって田に水を引く、あるいは池を築き、水を溜めて田に水を引く、そうした血のにじむような努力が積み重ねられてきた歴史があります。水争いの歴史も伝えられています。そうした地域の環境の中で生きてきた先人の生き方、すなわち文化を伝え、教えてくれているものの一つが百石踊りです。
 東条川がすぐ近くを流れています。ダムと用水路、ため池、田園、そうしたものを軸に営まれる地域の祭りや人々の生活をひっくるめて、疎水文化とよんでいますが、まさに伝統の百石踊りは東条川用水疎水文化を代表する歴史的な文化遺産だと思います。
コメント (4)
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