高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

11月23日、24日 パルコ劇場で

2004-12-01 | Weblog
23日
撮影がちょっと続いたあとだったけど、待ったなし!の最終日に滑り込んでパルコ劇場で、長塚圭史演出の「ピローマン」を観る。
テーマは暗くてその上ながーい芝居。
私の人生、もうじゅうぶん暗いことも経験してるんだから、と思うのは早かった。ゆるく長かったけど、嫌いじゃない。それどころか、私は圭史君、えらいぞ!と感心しました。

先だって、売れっ子の、それまでは好きだった若いひとの演出の芝居に行ったけど、忙しすぎるなかでやっと創ったんだろうか、私にとっては何処が面白いのさーっていうものだった。 それでも何が何でも笑うぞ!というお客さんたちの笑いがすごい。白けて観ていると、ナアナア関係丸出しの雰囲気に思える。とてもじゃないけどついていけなくて、途中下車してしまった。忙しく笑うばかりがいい訳じゃない。
とはいえ、こればかりはスキズキだからえらそーなこと言うのはやめよう。
今回は「ピローマン」が好きでした。

24日
二夜続けてパルコへ。今夜は国本武春の浪曲。一晩限りだから、と信頼できる友人に薦められて。
このかた、知る人ぞ知るエンタティナーらしい。

私が子供の頃、夜ラジオから流れる娯楽は浪曲と落語だった。
父は夜の仕事をラジオを聴きながら黙々とやっていた。(父は写真屋で、修正という作業があった。鉛筆の芯を細く削って現在のフイルムにあたる乾板というものに映っている、白黒が逆転した人物像の都合が悪いところを直してしまうのだ。この技術によって、シワが消えたり、べっぴんさんになったする。上手な写真屋という評判は、この出来で決まった)
そんな思い出を持つ私。
今どき、廣澤虎蔵? 懐かしいねー、なんていえるの、私ぐらいじゃないの?

ステージは2部構成。まず浪曲。
朗々とした声と独特のリズム感にひっぱられてすごく楽しい。多分私の記憶の中にある虎蔵さんとは全然違う明るい浪曲だった。
2部は三味線ひとつで織り成す語りやら、ロックやR&Bやらと、無限に広がってゆく。これだけの可能性があるんだということは、楽しみながら納得した。今度はこのなかのどれに焦点を合わせたものが観られるのかしら。それは来年のお楽しみ。