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ジャーナリスト。1961年生まれ。大手新聞社で警視庁捜査一課、遊軍などを担当し、殺人事件や海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材する。その後、1999年10月、アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て2003年2月に退社。現在フリージャーナリストとして、週刊誌や月刊誌などで活動中。
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 六本木ヒルズにオフィスのある外資系企業幹部は、羽田空港からヒルズまでの距離を計算し、旅客機の飛行速度を計算したという。そして「羽田で飛行機がハイジャックされたら、わずか2分でヒルズに着いちゃうな」と慨嘆したというのである。

 いったい何の話かと言えば、セプテンバー・イレブン(同時多発テロ)4周年を迎える9月11日の話である。この日にイスラム系のテロ組織「アルカイーダ」が何らかの行動を起こすのではないかという予測が、世界各地で語られている。ロンドンでは7月に地下鉄を狙った同時多発テロが起きたばかりで、いまも記憶に生々しい。日本では郵政解散から続く総選挙で話題は持ちきりだが、投開票日の9月11日が同時多発テロの日であることを忘れている人は多い。しかしスペインでは昨年3月、総選挙の3日前にマドリードの駅で同時爆破テロが発生し、有権者の意識を大きく揺り動かした結果、与党が敗北。イラクから軍を撤退するという結末へとつながった。要するに、テロ組織側の大勝利だったのだ。

 日本では自民党のヤマタクこと山崎拓自民党副総裁が「投票日は9月11日がいい。なにしろ同時多発テロの記念日だ。(われわれも)参院議員の反対派の同時多発に我々は巻き込まれて、ビルから転げ落ちたような格好でございますから」などと講演でコメントし、失笑を買っている。しかしこういう低次元の話題で盛り上がっている場合ではない。危機はいつの間にか近づいている可能性もある。

 もし東京で、アメリカと同じような航空機を使った同時多発テロが起きた場合、どこを狙うのか。セプテンバー・イレブンでニューヨークの世界貿易センタービルが標的となったのは、同ビルがアメリカの富の象徴だったからに他ならない。

 では日本の富の象徴はどこか。

 ネット業界や新富裕層の動向に関心のある人なら、多くは「六本木ヒルズ森タワー」と答えるだろう。何しろこのビルにはリーマンブラザーズやゴールドマンサックスといった外資系金融機関のほか、ヤフーや楽天、ライブドアなどの花形ネットベンチャーが数多く入居している。

 おまけにこの六本木ヒルズという場所は、きわめてセキュリティが低い。観光地とオフィスビルが一体化しているためだ。オフィス階に上がるエレベーターだけはさすがに警備員によってガードされているが、センターループと呼ばれる地階部分の巨大な回廊や駐車場にはどんな車でも入れるし、森タワーを取り巻くショッピングモールも歩行者であればだれでも通行可能だ。警備員の数も少ない。

 では警備当局は六本木ヒルズの危険性に対してどう対処しようとしているのかと言えば、実のところ積極的にヒルズを守ろうとしている姿勢はあまりないようだ。何でも警備当局は、もし東京でハイジャックテロが行われた場合、標的となるのは、

「霞ヶ関ビル」

 だと考えているのだそうである。地上36階、地下3階、1968年に立った日本初の超高層ビルである。たしかに政府系機関や財閥系企業が数多く入居しているし、完成したころには東京の富のシンボルであったのは事実だが、しかしそれにしても霞ヶ関ビルとは……。

 アルカイーダが歴史的位置づけや政治経済的意味を考慮に入れて、霞ヶ関ビルを狙うというのはちょっと考えにくいようにも思うのだが、どうだろうか。
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