武蔵浦和“ふうるふうる”のたらです。
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酒話、肴話はやっぱり吉田健一さんのが好き。
「旨いものはうまい」(角川春樹事務所 グルメ文庫)の「酒、肴、酒」の項、
「昔、西園寺公は月夜の晩に、二階に上がって酔いの暑さ凌ぎに真っ裸になり、酒樽を一つ前に置いて一晩中、飲んだといふ話がのこつてゐる。さういふ時に肴は余計であり、酒の味が酒の肴にもなるわけであるが、これは旅行をしてゐるか何かして特別にさういふことができる場合であつて我々の毎日の生活ではそれ程までに酒に義理立てすることはない。」
もう、いい! すっごく好き!
「我々の毎日の生活ではそれ程までに酒に義理立てすることはない」で大笑い! 最高!
(酒にも肴にも工夫を凝らした歴史をもつ西洋人が)
「少し日本酒のことも知るやうになつて、(中略)西洋料理と同じやり方でこの料理にはこの銘柄の酒といふ具合に酒を変へて酒も料理も更に旨くする工夫をしないのかといふ種類の説を立てたりする。
併しこれは当たつてゐない。西洋の酒でどんな料理にでも合ふのはシャンパンだけであるが、日本酒といふのはその点でも非常な工夫がしてあつて日本の料理である限どんなものでも味さへよければそれで飲めるやうになつている。」
そうなんですよう。今ね、「この日本酒なら絶対にこの料理」と決めつけるオヤジたちがうるさくってさ。
「肴が合わないと思ったら酒だけ飲んでりゃいいんでぇ。なにぃ、つまみがほしいだと? 鼻でもつまんどきな」なんてこと、つい言いたくなっちゃうン。言わないけどさ。
ワタイだって「この御酒にこの肴はあわないなあ」なんて文句つけたいときもあるけどさ、そんなときゃあいい塩が一つまみほどもありゃ御の字だい。
で、吉田健一さんは次にこんなことを言う。
「といふやうなことを言ふ時、既にこれはお講釈である。そんなものを聞かされるよりも自分の気に入つた肴でなるべく旨い酒を実際に飲む方が、どんなにいいか、これはお講釈をするまでもない。」
あい、ワタイがしゃべくってんのなんか、「ゲスのお講釈」でやした。スンマセン。トホホ。
吉田健一さんのなんとも悠然とのたくった文章、イギリス流ユーモアのおかしさ、大好きです。
で、今日の御酒は「春霞 純米生原酒」(秋田県仙北郡 合名会社栗林酒造店)。
上段左から、湯豆腐、ピータン、炒り卵。
中段左から、白菜漬け、自家製腐乳(フウルウ)、おせんべ。
春霞、私にはかなり甘めで、それこそ桜の下でゆるりゆるりと飲みたいようなお酒でした。いつもよりだいぶ早くから飲み始めたけど、まあそんな日もあるってことで。
吉田健一さんの文のことでなんのかんの言いましたが、やっぱりお酒のこと、つまみのこと、いろいろ言いたくなっちゃうン。てへへ。
今日もおいしい御酒と肴をいただけました。ありがとうございます。
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