ふうるふうる・たらのあんなことこんなこと

いろんなできごとを面白がってしまおうと思っています。
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題名にひかれて

2010-01-13 11:57:45 | 本や言葉の紹介
 武蔵浦和“ふうるふうる”のたらです。
        (↑これをクリックするとホームページに行きます)


 「あ、面白い題名」と手に取ったのが「昆虫にとってコンビニとは何か?」(高橋敬一 朝日新聞社)。
 読んでみたら、うん、面白い。項目全部が「昆虫にとって○○とは何か?」となっていて、○○には例えば、ビール、ペットの糞、イナゴの佃煮、スギ林、ファーブルなんてのがはいってます。

「昆虫にとってスギ林とは何か?」でカメムシのことが書いてありました。
 スギの種子に口吻を差し込んで吸うカメムシは、秋になると近くの果樹に移動して果物に口吻を差し込みます。
 でもカメムシたちは果物の汁を吸いたいわけではなく、果物の種子を目指している。ところが果物は品種改良の結果として果肉が厚くなっているため、カメムシがいくら口吻を差し込んでも種子には届かない。
 それなのに本能として果物に殺到する。穴をあけられた果物は商品価値をなくしてしまいます。
 灯火を使ってカメムシを一箇所に集めて殺そうとしても、その灯火の近くに果樹園があると生き残ったものがその果樹園に定着し、かえって害を大きくしてしまうこともあるんだそうです。
 知らなかったなあ。

 「何ということだろう。建築材を得るためなどの目的でスギを大量に植え、それが花粉症を引き起こし、できた種子が大量のカメムシを養い、そしてそのカメムシたちは人間が改良したすばらしい果物に殺到する。けれども欲しい種子には口が届かないのだ。」と語る著者は、作物の単一栽培、作物の見栄え、無農薬野菜などに言及し、
 「あくまでも見栄えを重視し、農薬も使わず、なおかつこうした悪循環を完全に断ちたいのなら、果物もイネも野菜もすべて、害虫の入らない栽培工場のなかで育てるしかないだろう。」と結んでいます。

 いろんな切り口から思わぬ展開があるのが面白い。
 ご自分の考えをちょっとシニカルかなと思うほど率直に語っているのが面白い。
うまい題名をつけたなあ、面白い項目立てをしたなあと感心した本でした。

 この文章を読み返したら、あら、「面白い」ばかりで語彙が少ないわ。ごめん。


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