北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第114回 通州・頭条胡同(その四) 節水規制、計画生育委員会、沢野ひとしさんの「石」

2016-10-31 11:49:01 | 通州・胡同散歩


散歩中のワンちゃんたちを見送って。
伏せた甕が置いてありました。



このタイプは一般的に金魚缸(jinyugang)として使用されるものですが、
こちらのお宅では、腰掛け兼クルマ除けとして使っていらっしゃるようです。



布団が気持ち良さそうに干されています。
その背後には、公衆トイレ。



中国では「公共厠所(gonggong cesuo)」ですが、最近は「公共衛生間(gonggong weishengjian)」
と表記したり呼んだりするようになりました。

現在私が歩いている胡同内のトイレも「「公共衛生間」と胡同入り口の案内板
には書かれています。

入ってみます。



男子小用が3つ。
しゃがみ式大用が3つ。



洋式が1つ。



冷暖房設備有り。



中国の公衆トイレを拝見して常々「おもしろいなぁ」と感じることが2つ。
1つは、どうして扉がないの?
2つ目は、通路側に向かってしゃがむのは、どうしてなの?
いつか納得のいく答えを見つけたいなぁと、ひそかに目論んでいます。

日本や世界のトイレ事情について、ディープなものではありませんが、こんな記事が
ありました。

『最新の便器で一回に流す水の量は何Lくらいですか?』(トイレナビ・一般社団法人
日本レストルーム工業会)によると、1990年頃までは「13リットル」が主流で、最近
は大6リットル、小5リットル以下になっているそうです。

『大便器の節水・CO2削減-トイレでエコ』(同上)に載っている東京都水道局の調査
(平成24年)によると、トイレでの水使用は風呂についで2番目に多くなっているそう
です。具体的には次の通り。

風呂44%、トイレ22%、炊事17%、洗濯15%、その他。

『日本のトイレの常識は、海外の非常識? 』(トイレ・All About)には、ドイツ、アメ
リカ、インド、中国のトイレ事情が簡単に紹介されているんですが、中国にはトイレ
の洗浄水量を6リットル以下に抑えるという「節水規制」があるんだそうです。知り
ませんでしたよ。

それぞれのお国柄や国情が色濃く反映されているトイレ事情。そんなトイレに目を注い
でいると「人間はなんだか素晴らしいなぁ、世界中の人たちが友だちなんじゃないか」
と思えてきてしまいます。





この建物の様子を見て「今は使われていないんじゃないかなぁ」とつぶやいてしまったん
ですが、実際のところは不明。



ここに見られる「北京市通州区人口と計画生育委員会」「北京市通州区計画生育協会」は、
中国の人口政策の一環として設立された組織。

「北京市通州区人口と計画生育委員会」の元締めは、人口政策の監督省庁「国家人口と
計画生育委員会」。この委員会は2003年2月に設立されたのですが、前身は1981年3月に
設立された「国家計画生育委員会」。

2013年3月、「国家人口と計画生育委員会」は、「衛生部(日本の旧厚生省に相当)と合併
し、現在は「国家衛生計画生育委員会」となっています。

ですから、この看板に見られる「北京市通州区人口と計画生育委員会」という名称は
今では使われていないのでは?と思うのですが、地域によって違いがあるのかも。

上に見た三回の名称変更の背後を見ると、人口問題と格闘するこの国の姿の一端を垣間
見ることができることは、いうまでもありません。



横切っているのは、この界隈の胡同の南北を貫く「中街(胡同)」。

左角に石とセメントを棒状に固めたもの。



イラストレーター・エッセイストの沢野ひとしさんは『北京食堂の夕暮れ』(本の雑誌社・
2014年刊)の中で、こんなことを書いています。

「人はなぜ山に登るのかー単刀直入に言うと、そこに石があるからだ。」
「この宇宙の中で、石ほど不変で美しいものはない。冷静で沈黙を保ち、そのうえ
水晶や瑪瑙のように輝く。」
「思慮深い人は平素から石を信じ石にかじりついて人生を全うしていく。」

このように書く沢野ひとしさんは、胡同歩きのよく似合うお方なのです。

左側に塀の上に飾りのあるお宅を発見。







花飾りが、いっぱい!
数えてみたら15個もありました!!



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