原発被害コストを、新電力会社に求める政府の政策について。それは無いでしょう

2016-09-08 10:32:27 | 日記

 原発被害コストを、新電力会社に求める政府の政策について。それは無いでしょう

 

    「原発コスト『新電力も負担』、政府調整、料金に上乗せ」という見出しによる次の記事を取り上げたい。

    「現行制度で原発の廃炉は、原発を保有する大手電力が自社の電気料金から費用を回収することになっている。福島第1原発事故の賠償は、東電が国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」から必要な資金の交付を受け、大手電力が負担金を同機構に納付している。しかし、ここにきて政府が導入を検討している新制度は、原発を保有する大手9社だけでなく、新電力会社にも廃炉や福島原発の賠償費用を負担させる仕組みである。その結果、新電力各社は電気料金に上乗せして回収するため契約者の負担を増すことになる。政府は事故を起こした福島第1原発のほか、全国の原発が廃炉になった場合の費用と同機構を設立する前にかかった福島原発事故の賠償費用の合計を約8兆円と試算。それは家族3人の標準家庭モデルで月額数10円から200円程度の負担になることを想定している。しかし、新電力の契約者に原発の廃炉や東電の賠償費用を負担させることは、大手電力と新電力との競争を促すことで料金引き下げにつなげる電力自由化の趣旨に反し、原発を抱える大手電力の事実上の救済策と言える」と解説をしている。(毎日新聞9月8日)

     解説の後段にも述べているように、電力自由化にともないガス、風力、太陽光エネルギーなどによる新しい「電力供給会社」が誕生した。国民は利用者の立場から自由にその供給会社を選択することができるようになった。しかし、その新会社に「電力業界の一員」だからとして、原発の事故賠償や廃炉に必要な費用を共有させることは、新電力を選択した国民に負担を強いることであり「理に合わない」ものであることは当然である。

     以前「未踏の分野、国の支援求めたい」とした東京電力の会長発言を取り上げ「何という言い草か」と怒りのブログ(8月6日)に書いているが、今回も同じ言葉をさらに強く発したいと思う。

    では再度問いたい。「原子力発電の原価はいくらか」と。今までは一番安価なコスト、そしてきれいなエネルギーとして原子力発電を取り上げてきたのは電力会社ではなかったか。さらに国はそれを国策として原発建設を推し進めてきた。今やそれだけでは済ませず首相自らが営業マンとして原発輸出の拡大に努めている。しかし、実は一番高価なエネルギーであり「詐欺まがい汚い商品」であることが今回実証されたと言っても過言ではない。

    そして、次にやってくるのが膨大かつ高価な核燃料(棒)の扱いである。使用積みもそうでないものも含め、すべてを「企業損出」として計上することになるだろう。その膨大な費用は企業を倒産させるに等しいものとなる。また廃炉にかかわって発生するだろう高レベル廃棄物の処理がある。最終処分場もその方針も決まらないとなれば、例えば「高レベル放射性廃棄物のガラス固化体、あるいは使用済燃料を封入するためのキャニスタの製造及び管理費用」が発生する。その金額はどれほどか。それはまさに「未踏の分野」である。「汚染水タンク」どころではない。そこで再び国に、そして国民にその負担を求めてくるのだろうか。

    まさに「儲けた時は自分の懐に、事故が起きたら国「国民」の負担」ということが企業の論理に適うものなのか。また政府はそのことを「理にかなうとして認めるのか」「電力業界だけが特別な恩恵を受ける」のか。そのようなことを認めるわけにはいかない。

   今、「大変なものを燃やしてしまった。そして燃やし続けようとしている」。このことを、あらためて「福島原発爆発5年半」を経過した地元から発信したいと思う。