「覚悟した者は強い」。私はひとりの女性から教えられた

2015-08-06 05:44:24 | 日記

 「覚悟した者は強い」。私はひとりの女性から教えられた

  「覚悟した者は強い」。私はこのことをひとりの女性から教えられた。縁がありお付き合いをしていたのだがぷっつりと音信が途絶えた。そこで女性の甥子に尋ねたところ、入院をしている、そして病名はガンであり末期ということであった。

  末期のガンと宣告され亡くなる方もいるが、小康を得て退院、しかも前とは変わらない日常生活に復帰した人もいる。このような例は幾らでもある。その女性も幸いにして後者であった。退院をして自宅での生活に戻った。言い忘れたが女性は早く夫を亡くし、しかも子どもは遠地で過ごす。いわゆる核家族化での独居生活の身であったが退院後もその生活は変わらなかった。

  退院したとの報告を受け女性宅を訪問した。旧家であり大きな屋敷である。10畳間一部屋を床張りにして、その他の部屋はすべて畳を取り除き合板を敷いていた。そしてベットを入れ、台所も一人の賄には十分なスペースに改造してしまった。また驚いたことには、置物その他の調度品はほぼ整理されている。そして木箱、段ボール箱が積まれてあり、外側には、中に納めた品物の名称やその受け取り人の名前などがボールペンで記載され貼りつけられている。まさに『生前遺品の整理』である。

  彼女が述べる。「後始末はできた。これでいつ死んでも良い」と。

  近くに行ったときは寄ってみようと思いつつも実現できないでいたが、つい4日前甥子のところで逢うことができた。見違えたかと思うほど「しゃんと」とした姿。しかも肉がついて血色も良い。そこには「後始末はできた。いつ死んでも良い」と言っていたときの姿はない。しかし、年令は多分87歳は超えていると思う。3人姉妹の内二人は亡くなっている。この年齢になると1年とは言えない。「昨年、あんなに元気だったのに」ということが起きて不思議ではない年齢である。

  その姿から「覚悟をしたものは強い」という言葉の重みをあらためて頂いたような想いである。

  今日も35度を超える猛暑である。身体の弱い人が熱中症におかされている。元気な若者もやられている。とりわけ高齢者は温度感覚が鈍ると言われている。かく言う私も、クーラーを止めて眠りにつくが暑さを感じて夜中に目を覚ます。その時の室内気温は30度を超えている。若いときはもっと早く感じ取り目を覚ましていただろう。それだけ鈍くなっている証拠である。床の中で亡くなっていたというニュースなどもこのことを言うのであろう。いわゆる「孤独死」である。

  口に出してはいないが、覚悟をした女性も「孤独死」を受容しているのかも知れない。

  死は確実にやってくる。確立100パーセントである。どのような「閉じ方」になるのかは知ることができない。その一つに「孤独死」があるとしたらそれも受容をしなければならないのだろうか。そのようなことを考えながら「熱帯夜」のひと時を過ごしている。