学ぶこと・全盲の選手がグランド内を全力疾走する

2015-01-05 11:21:38 | 日記

   学ぶこと・全盲の選手がグランド内を全力疾走する

 

  NHKラジオの番組に、朝4時からの「明日への言葉」というものがある。私の眠りの習慣は朝3時頃に一旦目覚めることが多くなった。そこで枕もとにイヤホーンを置き耳にあてがう。「深夜放送族」の一人である。

  そんなこともあって「ブラインドサッカー」なるものを知った。番組に出ておられた方は日本ブラインドサッカー協会の理事長の釜本美佐子さんである。この方の弟は1968年メキシコ・オリンピックで7得点を挙げ、得点王に輝くと共に日本代表の銅メダル獲得に大きく貢献した釜本選手である。

  釜本美佐子さんがブラインドサッカーと結びついたのは、弟の試合を「追っかけ」していたこともあったが、難病である網膜色素変性症を背負ったことにあると述べていた。この病気は治療の方法がない、いずれは全盲となる。「かなり見えなくなってきた時に『本当に失明したらどうしよう』と思い、まだ白杖を持つ必要がない時に目をつむって歩きました。歩けるはずがないのです。夜は見えないし、暗いところに入ると全然見えなくなります」と。そして2年前から完全に視力を失った。今は「白杖」を頼りの生活である。

  ブラインドサッカーを最初に目にしたときの驚きを彼女は次のように語っている。「普段ならば誰かに手を引いてもらっている視覚障害者が、全身全霊でスピードをつけて走っています。そのスピードとテクニックに驚きました」と。

  ところで、ブラインドサッカーなるものについて述べてみたい。解説によると球技場は通常より狭く5人制である。チームにはプレーヤーの他に、フィールドの外にコーラー(ガイド)がいて、プレーヤーに方向や距離などを伝える。サイドラインにはボードが立っていてボールがタッチを割ることは殆どない。また、ボールはプレーヤーに位置が分かるように音が鳴るように鈴が入っている。

  選手には光を感じる人もいるので公平を保つために全員がアイマスクをする。フィールドの外からのガイドとボールの中にある鈴の音が頼りである。このような状況の中で選手は全力疾走をする。釜本さんが驚いたのはこのことである。健常者ではとても考えられないものであろう。

  とぎすまされた聴覚神経が、ボールを追い、蹴り、そしてシュートをする。アイマスクで覆われている目であっても、芝生の色、その上を飛び交うボール、そして狙うゴールの位置を確実にとらえているのだろう。健常者にはとてもわからないことである。

  「耳を澄ましてごらん」。これはいろいろな場面で使われる言葉である。

  私たちは、、いろいろな場面で「目を見張り・耳を澄まし・言葉を発する」ことの必要性があるはずである。にもかかわらず「見ること、聞くこと、そして話す事さえも」省略していることが多い。

  今年は戦後70年の年である。それであれば尚のこと、上記の「テーマ」が一人ひとりに強く求められる事ではなかろうか。

  あらゆる神経を「とぎ澄ましてごらん」。