<集団的自衛権>南相馬市議会「行使容認しない」意見書可決

2014-06-20 16:14:01 | 日記

<集団的自衛権>南相馬市議会「行使容認しない」意見書可決

 福島県南相馬市議会は19日、集団的自衛権の行使を容認しないよう政府に求める意見書を全会一致で可決した。自民系会派も賛成し、自民市議の一人は「市民目線で同調した。東日本大震災でお世話になった自衛隊員が海外で殺されたり、人を殺したりしてほしくない」と述べた。
 意見書は、集団的自衛権行使を目指す政府側見解について「憲法の枠をはみ出ている」と指摘し、「戦闘地域に(自衛隊を)派遣すれば、外国からの攻撃対象になり、多数の戦争犠牲者が出る。憲法と地方自治法に基づき住民の安全を守る自治体として看過できない。海外での武力行使は到底容認できない」などとしている。東京電力福島第1原発事故後、放射線量の高い地域などで任務にあたった自衛隊員に謝意も示した。
 自民市議によると、被災地感情として、自衛隊員が戦闘行為に巻き込まれないでほしいとの思いが強いという。 (毎日新聞6月20日)

 

  前記は、20日の朝刊に掲載された記事である。県外の紙面でも扱われているか、どうかはわからないが、浜地区を中心に活躍した自衛隊員の災害救助の姿に思いをはせ、この若者たちを、戦争に向かわせてはならないとする「市民の目線で考えた」ものであることがよくわかる。

 19年前の阪神淡路大震災時の自衛隊の救援活動に対しては、村山内閣の対応の遅れと、自衛隊員の活動に対する批判が出たことを記憶している。首相は社会党であるいうこともあって、批判の矛先が村山首相に向けられたことも事実であった。しかし、その後の評価として「よく対応した」との論評も出されているのも事実である。いずれにしても未曾有の混乱のなかであったことは確かである。

 そして、その16年後の東日本大震災である。1000年に一度と言われるほどの大災害であり、不幸にして福島原発が巻き込まれたトリプル災害は、阪神淡路以上のものであり、世界で初めての災害と言えよう。

 さて、南相馬市議会が、全員の賛意によって採択された意見書にみられる自衛隊の活動である。   

 自衛隊は「自己完結型」である。それはすべて自給自足である。その装備に至っては、戦闘に備えるものではあるが、同時に高度な救助機材として転用できる。通信、運搬もしかり。そして医療体制である。浜地区の皆さんには心強い支援隊と見えて当然であった。ここにテキストがある。「東日本大震災と憲法・この国への直言」(水島朝穂著・早稲田大学出版部発行)である。 早大法学部教授である水島氏は、憲法学者の目から次のように書いている。

  【この2か月間、自衛隊はどのような成果を上げたか(5月12日現在)。人命救助14000人・遺体収容8300人・給食支援343万食・給水支援27000トン・入浴支援54万人・道路啓開300キロ・衛生支援16000人。国を守ることを主たる任務とする「軍」が、「人命救助」という形で個々の国民を守る任務を際立たせた…中略…この自衛隊は軍隊ではないという建前は今日もなお維持されている。「軍」としての実態を具備し、アフリカ東部のジブチに初の海外基地を持つに至った自衛隊。大震災によって、その存続をかけ全力出動を行った結果、国内外に評価を高めるに至った。同時に、今後、部内の自己評価にも影響を与えていく事は疑いない。その時、「軍」としてのありようを強化していくのか、それとも国民に感謝される災害派遣の能力をのばしていくのか。より本質的な議論が必要になってくるように思われる」。(文中数字の端数は切り捨て)

  集団的自衛権の行使を是とする憲法解釈の成立によって自衛隊は実質的に「軍」と化す。南相馬市民の、若き自衛隊員に対する想いを、全国的な想いに広め、高めたい。そして自衛隊を「災害派遣隊への道の強化」に進むべき論議に加わりたいと思う。あの時、そうすれば良かったという反省をしないためにも。