語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】新潟県知事を攻撃する官僚の手口 ~問題点を隠蔽して再稼働~

2013年07月19日 | 震災・原発事故
 (1)7月5日、廣瀬直己・東京電力社長と泉田裕彦・新潟県知事との会談が行われた。これは柏崎刈羽原発再稼働申請に関する会談なのだが、決裂して終わった。
 東電と地元自治体との安全協定では、東電が原発関連施設を新増設しようとするときは、事前に地元の了解を取ることになっている。
 今回、東電は、事前了解がないまま、フィルターベント【注】の設置計画を含む柏崎刈羽原発再稼働申請を行う、と発表した。明らかに協定違反だ。

 (2)マスコミは、泉田知事が、(1)の手続き違反を利用して東電を批判し、再稼働を止めようとしている、と報道した。
 しかし、これは上っつらだけを捉えた報道だ。
 本当はもっと根深い問題がある。しかるに、それが報道されない。
 肝心のことが報道されない裏に、原発推進官僚による世論誘導があった。物事の本質から目をそらさせ、あくまで単なる手続きの問題にすぎない、と国民に思わせたいのだ。

 (3)さらに、(2)の世論誘導の一環として、「変人泉田」作戦が展開されている。
 経産省や規制庁の役人が、「泉田知事は昔から変人で有名だった」という悪口を流布しているのだ。
 とんでもないデマだ。
 田中俊一・原子力規制委員会委員長も、経産省から出向している規制庁の職員に洗脳されたのか、7月3日の記者会見で、「他の自治体の首長が納得しているなか、泉田氏はかなり個性的な発言をしている」という趣旨の侮辱的発言をしている。
 今回も、洗脳された記者たちは、泉田という変人が、手続き論で揚げ足をとって、原発再稼働を止めようとしている、という理解で記事を書いている。

 (4)どうでもよいことを報道している反面、泉田知事が指摘している安全基準の重大な欠陥については、ほとんど報道していない。
 安全基準の重大な欠陥とは何か。
 <例>中越沖地震の際、柏崎刈羽原発で変圧器の火災事故が起きた。その原因が、原子炉建屋と変圧器がある建物が離れた地盤上にあって、地震でその間をつなぐケーブルが大きく揺れたことにより、変圧器が引っ張られて傾き、それによって内部の金属同士が接触して発火した。・・・・この事実を新潟県が突き止めた。
 そこから得られた教訓は、フィルターベントを作るなら、原子炉建屋と同一の地盤上に置かなければならない、ということだ。
 そうしないと、大震災で炉心損傷が起きた時に、原子炉建屋からフィルターベントに通じる長い配管が地震の揺れで破断し、高濃度の放射能が生のまま排出されるリスクが高くなる。
 にもかかわらず、東電は、離れたところにフィルターベントを建設する予定だ。
 今の安全基準では、こういうことは禁じられていない。
 なぜか。
 これを禁じたら、多くの原発が再稼働できなくなる恐れがあるからだ。

 (5)(4)の一事をもってしても、泉田知事が東電や規制委員会を批判するのは当然のことだ。
 実際には、(4)以外にも新潟県は数十項目の重要な指摘を行っている。
 と・こ・ろ・が、田中委員長は、3月13日の会見で、これに対する回答義務はない、と驚くべき発言をしている。

 (6)規制委員会は、回答できないような重大な指摘をされてしまったので、内容の議論を避け、泉田知事への個人攻撃で、「変な人」が「変なこと」を言っている、という形で処理しようとしているのではないか。
 マスコミは、泉田知事が指摘している問題点を具体的、かつ、詳細に報道すべきだ。
 そうすれば、どちらが正しいか、たちまち明らかになるだろう。

 【注】事故で生じた蒸気やガスから放射性物質を除去して排気する装置。

□古賀茂明「新潟県知事を攻撃する官僚の手口 ~官々愕々第72回~」(「週刊現代」2013年7月27日・8月3日号)
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