語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】キリスト教共同体とローマ法 ~『牙を研げ』~

2018年03月09日 | ●佐藤優
 (1)カトリシズムは、ローマ法という法律が宗教だ。合意は拘束する、というのが近代社会の原理になっている。
 カトリックが支配した西ローマの法、ローマ法では、「合意は拘束する」としたが、同じキリスト教でも、西ローマ以外では異なっている。
 〈例〉ギリシャ古典劇では、たしかに口では誓ったが、心は誓いにはとらわれていない、といった話が出てくる。
 ロシアは、東ローマ帝国の末裔だが、ユダヤ、キリスト教の一神教の伝統を持っている。ギリシャ古典哲学の伝統を持っている。しかし、ローマ法が非常に希薄だ。ロシア人は、法律の論理が嫌いだ。人間は神秘的な力によって、特に聖霊の力によって救済される、とロシア正教は考える。

 (2)ローマ法はじつは宗教で、結局はその宗教が近代法になっているのだ。
 それと、ユダヤ、ヘブライ的な一神教と、さらにギリシャ古典哲学、本来異質なものがアマルガム状になている。サラダボウルみたいに具材が寄せ集められているのであれば分類できるけれども、合金になってしまっている。一つの文化総合、換言すればヨーロッパ社会の精神になっているのがカトリシズムだ。キリスト教研究の用語では、キリスト教共同体、キリストの体(コルプス・クリスティアヌス)という。

□佐藤優『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』(講談社現代新書、2017)の第2章の「⑫キリスト教共同体」
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 【参考】
【佐藤優】復活という現象の科学的説明 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】プレモダンとしてのカトリックと正教 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】ユダヤ教、キリスト教、イスラムの「罪」 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】論理が発達する理由 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】天照大神vs.須佐之男命 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】仏教や神道とは違う、一神教の思考法 ~『牙を研げ』
【佐藤優】国教は習慣というかたちをとる ~『牙を研げ』~
【佐藤優】紅白歌合戦の、カオスからコスモスへ ~『牙を研げ』~
【佐藤優】武士政権成立前後のグローバリゼーションと反グローバリゼーション  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】プロテスタンティズムという思考の鋳型  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】日本兵は捕虜になるとよくしゃべる理由、米軍の日本研究 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】ソ連軍の懲罰部隊が強かった理由、日本軍の「生きて虜囚の辱めを受けず」  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』 ~各章の小見出し~
【佐藤優】『牙を研げ』 ~まえがき~
【佐藤優】『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』 ~目次~

 



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