語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【ミステリーの雑学】カードの個人情報漏洩 ~防止法は~

2016年12月11日 | ミステリー・SF
 <「クレジットカード会社のデータにどのようなプロテクトをかけることができるかだな」
「EMV仕様のカードと、磁気ストライプ式のカードはどう違うのでしょうか」
「栗原、もっと勉強しないとな」
 EMV仕様とは、一般的な外部端子付ICカードの物理的・機能的条件等を規定した国際規格金融分野向けに必要なICカードと端末の仕様を規定したものである。
「磁気ストライプ式カードは、いわゆる普通のIDカードのようなキャッシュカードですよね」
 磁気ストライプは読み取り機の磁気ヘッドに接触させ、スライドさせることで読み取ることができる。磁気ストライプカードはクレジットカードやIDカード、交通機関の切符などによく使われている。
「そうそう」
「SuicaとかPASMOはどちらになりますか」
「あれは非接触式のICカードだ」
 非接触式カードとは、カード内部にアンテナを持ち、外部の端末が発信する弱い電波を利用してデータを送受信するICカードのことである。
 接触式ICカードと違って読み取り端末に接触させなくても処理が可能なため、振動やほこりが多い環境での運用に適している。また、カードを抜き差しする手間がないため、高速な処理が必要な鉄道やバスの決済処理には非接触式カードが使われている。
「非接触? 自動改札などを通過するとき1秒以上タッチするように案内していますよね」
「あれは非接触式カードであることを、あえて利用者に知らせないためのアナウンスなんだ」
「知りませんでした」
「以前、バッグの底に非接触式カードを入れたまま、自動改札を通過できるから便利だなんて言われた時期があった・しかし、そのICカードデータが電車内でスキミングされる被害が増えて、結果的にバッグメーカーがその生産を中止した」
「犯罪者は狙ってきますね」
 スキミングとは、カード犯罪で多く使われる手口の一つで、主に磁気ストライプカードに書き込まれている情報を抜き出し、全く同じ情報を持つクローンカードを複製する犯罪である。そして、ICカードでも非接触の場合には、そのカードの磁気に記録されている各種データを、カード情報を読み取る機能を持ったスキマーと呼ばれるスキミングマシンによって盗み取ることができた。
「非接触式ICカードの怖さがそこにあるんだ。だから入金金額の上限は2万円に制限されている」
「私のPASMOはクレジットカード機能も付いているんですが」
 ポケットからカードを取り出した栗原は心配顔だ。
「非接触式カードと併用されているクレジットカードは、クレジットカード部分には通常のEMV仕様が付けられているんだよ」>

□濱嘉之『ゴーストマネー』(講談社文庫、2016)
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 【参考】
【ミステリーの雑学】EU崩壊の序章 ~フランスにおける次回のテロ~
【ミステリーの雑学】フランスの原発 ~テロのターゲット~
【ミステリーの雑学】紙幣が流通する期間は何年間か?

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