語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【料理】バブルが産んだのは外食だけ ~家庭料理のコツ(一例)~

2014年09月11日 | 生活
 1970年代までと比べると、それより以降の日本の外食は、とても豊かになった。
 バブル経済の1980年代末、社会の金回りがよくなったことで、都心にはそれまで見られなかったフレンチやイタリアンのレストランがたくさん出現した。エスニック料理(タイやベトナムなど)が普通に食べられるようになったのもこの頃からだ。それまで、フレンチやイタリアンは一部の富裕層のものだった。庶民は居酒屋や大衆食堂しか選択肢がなかった。

 じつはバブルが盛り上げたのは、外食「だけ」だった。
 家庭料理については、この頃から「**の素」みたいな半調理品や冷凍食品がすごい勢いで普及し、さらにコンビニ弁当やスーパーの総菜も普通に買われるようになって、家庭料理がどんどん衰退していった。
  (1)新聞で「標準家庭」と呼ばれていた「専業主婦と子ども二人」の家庭が少なくなって、たいていの夫婦は共稼ぎになった。
  (2)単身家庭が増えた。
 といったことも家庭料理があまり作られなくなった要因かもしれない。
 (1)や(2)のニーズに合わせるようにして、さらにコンビニ弁当や半調理品が進化・・・・という循環が起きてしまった。

 この頃から朝食は、「ご飯と味噌汁」や「トーストと目玉焼き」ではなく、前日に買っておいた菓子パンをただテーブルに並べておいて、起きてきた家族が順ぐりに勝手に好きなものをとって食べる・・・・といった信じられない食生活があちこちで見られ、家庭料理が崩壊する危機が叫ばれた。

 危機的状況は今もあまり変わっていないようだ。
 一方、家庭料理は次の二極に分化しつつあるみたいだ。この二極化も現代の格差社会の一側面だろう。
  (a)新たな層・・・・最近の若者の中には、男女を問わず料理好きで、週末ともなるとファーマーズマーケット【注】に立ち寄るのが楽しみというような層が都市部で目立つようになった。事実、東京の青山や代々木などで週末に開催されるファーマーズマーケットは、どこも大賑わいだ。
  (b)家庭料理は放棄してしまった(放棄せざるをえない状況に追い込まれてしまった)層。
 
 日本の伝統的な家庭料理に、「油揚げと小松菜の煮びたし」がある。
 じっくり煮た油揚げと、しゃきっとした小松菜の食感の組み合わせがこの料理の最大のポイントだ。
 小松菜・・・・水を出しっぱなしにしてボウルの中で振り洗いし、冷たい水に10分ほど活けておく。
 油揚げ・・・・昆布とかつお節でだしを引き、うすくち醤油と塩少々を加えて、大きめに刻んだ油揚げを弱火でじっくり煮る。質のよい油揚げなら、油は抜かないほうが旨い。
 小松菜をざっくり刻んで、油揚げの鍋に投入し、ほんの15秒だけ加熱する。
 深い皿にこんもりと盛って、まわりに煮汁を流し込む。

 【注】農家が都市などで直接消費者に産品を売る市場。

□佐々木俊尚「バブルが産んだのは外食だけ 日本の「食」は豊かになった? ~オヤジの家めし8~」(「週刊金曜日」2014年8月29日号)
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 【参考】
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【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
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