語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【ウィトゲンシュタイン】『論理哲学論考』

2017年03月30日 | 批評・思想
---(引用開始)---
1 世界は成立していることがらの総体である。
1・1 世界は事実の総体であり、ものの総体ではない。
1・11 世界は諸事実によって、そしてそれが事実の〈すべて〉であることによって、規定されている。
1・12 なぜなら、事実の総体は、何が成立しているかを規定すると同時に、何が成立していないかをも規定するからである。
1・13 論理空間の中にある諸事実、それが世界である。
---(引用終了--

 といった独特な構成で議論が展開される『論理哲学論考』。読み通すのは骨で、事実途中で挫折したりするが、何が書いてあるのかぐらいは知っておきたい本があって、本書もその1冊だ。
 幸い、訳者解説が丁寧懇切なので、少し引用しよう。

---(引用開始)---
1 目標と方法--序
 「私にはどれだけのことが考えられるのか」、これが『論考』の基本問題である。思考の限界を見通すことによって思考しえぬものを浮き彫りにする。ウィトゲンシュタインはそこに二つのことを賭ける。ひとつは、哲学問題が思考不可能な問題であることを示し、いっさいの哲学的お喋りに終止符を打とうとする。もうひとつは、倫理、価値、生に関わることを、思考によってではなく、ただ沈黙のうちに生きることによって受け入れようとする。
 しかし、「どれだけのことが考えられるのか」という問題に対して再び〈思考によって〉答えようとすることには、困難がある。そこでウィトゲンシュタインは、言語の限界を明らかにすることによって思考の限界を示そうとする。かくして、思考の限界の問いに代えて、「私にはどれだけのことが語りうるのか」という問いが問われることになる。まさにこれこそが、『論考』の核心をなす問いにほかならない。
---(引用終了)---

 以下、タイトルのみ。

2 世界/世界の可能性--1~2・063
3 像--2・1~2・225
4 思考--3~3・05
5 像としての命題--3・1~4・128
6 真理操作--4・2~5・5423
7 基底/独我論--5・55~5・641
8 操作と形式/数・論理学・自然科学--6~6・3751
9 倫理--6・4~6・45
10 謎の解消--6・5~7

□ウィトゲンシュタイン(野矢茂樹・訳)『論理哲学論考』(岩波文庫、2003)の「訳者解説」
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