語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】【沖縄】山之口獏「浮沈母艦沖縄」

2015年09月02日 | 詩歌
 守札の門のない沖縄
 崇元寺のない沖縄
 がじまるの木のない沖縄
 梯梧の花の咲かない沖縄
 那覇の港に山原船のない沖縄
 在京三十年のぼくのなかの沖縄とは
 まるで違った沖縄だという
 それでも沖縄からの人だときけば
 守札の門はどうなったかとたずね
 崇元寺はどうなのかとたずね
 がじまるや梯梧についてたずねたのだ
 まもなく戦禍の惨劇から立ち上がり
 傷だらけの肉体を引きずって
 どうやら沖縄が生きのびたところは
 浮沈母艦沖縄だ
 いま八十万のみじめな生命達が
 甲板の片隅に追いつめられていて
 鉄やコンクリートの上では
 米を作るてだてもなく
 死を与えろと叫んでいるのだ

□山之口獏「浮沈母艦沖縄」(『鮪に鰯』、原書房、1964)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】【沖縄】山之口獏「沖縄風景」
【詩歌】【沖縄】山之口獏「島」
【詩歌】【沖縄】山之口獏「弾を浴びた島」


コメント   この記事についてブログを書く
« 【NHK】は政権のPR機関... | トップ | 【詩歌】【沖縄】山之口獏「... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

詩歌」カテゴリの最新記事