語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】の安全基準を下げさせられる ~トランプ政策で変わる日本人の暮らし~

2017年03月08日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)トランプ大統領がTPP離脱を宣言し、同時にTPPに代わる貿易協定締結を2国間で進めていくことになった。
 TPPの協議では、異本は大筋合意までかなりの譲歩を要求された。2国間協議では、その譲歩したTPPの合意内容を基本にして、さらに厳しい要求を突き付けてくるだろう。
 これまでTPP問題の論点となったひとつが関税撤廃だ。日本が輸入している農林水産物のうち、81%の品目がTPP発効と同時に即時or段階的に撤廃となることと決まっていた。この条件にさらなる譲歩が迫られることになりかねない、ということだ。
 これにより、国内農業の衰退が加速される。
 安い食品が流通する一方、「食の安全性」が危機に面する。
 
(2)日本は予防主義で、農薬など国際基準より厳しく規制している。危ないと思えば使わせないという考え方。ところが、米国は危険であることを科学的に根拠が示せなければ問題ないと使っている。相対で交渉する2国間協議では圧力をかけやすいので、食の安全基準を下げさせられる恐れは十分にある。
 〈例〉①米国では、牛肉や豚肉に女性ホルモンであるエストロゲンが投与されている。これは発癌性があるとしてEUでは禁止されている。②また、米国では運んでいる間に腐らないように農作物に防カビ剤をかけている。現在、日本では防カビ剤を食品添加物に分類した上で、日本への輸出を許可している。ところが、食品添加物は表示する義務があるので、米国は不当な差別だと言い始めた。日本は改定する方向で約束しているので、いずれ表示から消える可能性がある。

 (3)将来的に国産食品は希少価値となって価格は高騰し、富裕層しか食べられなくなる可能性もある。
 食に安さだけを求めるのは命を削ることになるのだ。
 一人一人が目の前の安さに踊らされず、安全でおいしい日本の農業を守る意識、買い支える意識が必要だ。これからの時代は消費者の出番だ。

□内山賢一(ライター)「食品 食の安全基準を下げさせられる!? ~トランプ政策で我々の暮らしはどうなるの?~」(「AERA」2017年2月27日号)
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