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千里の道も一歩から

中高年シングルが日本を動かす

2018-06-09 21:43:30 | What`s new ?
中高年シングルが日本を動かす 人口激減社会の消費と行動 (朝日新書)
クリエーター情報なし
朝日新聞出版


 本格的に少子高齢化が進んできました。背景にあるのは既婚女性の出生数の減少というよりは晩婚化・未婚化にあります。これは自由と発展の代償でもあるのですが消費活動自体も従来の家族向けを中心に考える戦略というのは通用しなくなってきているようです。この本は下流社会の筆者である三浦さんが分析した近未来の消費の主役となる中高年シングルの消費行動を分析したものです。20歳以上の未婚/死・離別/有配偶者人口=1533万/952万/6102万人@1985年に対して2030年の予想は2566万/1830万/5567万人になるとの推定でもう少数派なんてことは言ってられなくなります。特にその内訳をみると中高年が増えており、1985年>2015年でミドル層(35-59)で258万>973万、シニア層(60以降)で31万>276万まで増えるとの予想。とのことでこれからの人口減少がありながらも主に種別として増えてくるのはミドル以降のシングル世代で特に消費活動の主役の一部になってくる可能性を秘めています。この本では総務省の単身世帯の家計調査の5年の移動平均からどのようなお項目が伸びてきそうか探っています。ただいかんせん100人台サンプルとのことである程度の誤差は覚悟する必要はありそうです。そんな中でわかってきた傾向の詳しいものは本書に譲るとして大まかに言ってしまうと「守りに入ってきている」ということが出来そうです。つまりは自炊やお酒消費量減などの健康志向、リスク回避志向が見られておりそれが若年層にも広がってきているのが見て取れます。また車や旅行といった外向きの消費よりはマッサージチェアや寝具などが伸びたりと消費自体も内向き傾向になっているようです。さらには男性が従来の女性で多かった消費傾向に入ってきたりその逆があったりと結果として老若男女の傾向が少なくなっているように見えます。ここら辺は逆に均質化しているようにも感じなくもありません。ここら辺は将来に対する明るさが抱けないという世代共通の空気というものを敏感に反映しているのではないかと思います。ただ忘れてはいけないのが従来の大きな買い物は目立たなくなってきたのですが少ないカテゴリでは上に挙げたような「守り、予防」的な分野では消費は伸びているところもあるということです。つまりは簡単ではないもののマーケティングでSeedsを掘り起こしてやればまだまだ潜在的に伸びる部分はあるといっても良いでしょう。
 自分も団塊ジュニア(73年―77年生まれ)。5章ではその世代の傾向を分析しており、非正規雇用が伸びつつあることが指摘されており、未婚の増加にはここらへんもかかわっていそうです。ただ女性に関しては男性と違って結婚・出産の壁から世紀っこ用からのシフトを余儀なくされる傾向も垣間見えており、ここら辺が平均賃金を引き下げる要因ともなっていそう。つまりは子育て支援次第でまだ上げる余地のある分野があるということを示しているのだと思います。
 いずれにせよシングル世代がメインになるというのは上記のような傾向があるにせよどちらかというとロングテールの世界をメインになっていくということなのでよりきめ細かに狙ったスポットに迅速に対応できることも重要になるのかと思います。逆に以前のような均一化された消費スタイルが特殊だったのかもしれませんがモノを売る方としては難しい時代になってきていると改めて感じます。

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