病院

４年前肺炎で入院し
一時ＩＣＵで危篤状態になった
嫁が面会に来て
孫の写真を見せたそうだが
孫の写真が小さくなり
遠くに消えていったのを覚えている
ＩＣＵでの三日間で
少し錯乱状態になった
医療機器に囲まれていると
頭がおかしくなる
点滴の管を１０本ほどつけて
個室に移った
窓から見えた
松の木は新鮮だった

仕事

最近連絡した人から
仕事の話があった
去年の１１月頃から
以前の身体にかえった気分だが
丸４年仕事はしていない
しかし
４０年間続けた仕事
４年のブランクは
取り戻せるだろう
年齢だけで
仕事が無いのは
むなしい
決まれば良いが・・・

六ヶ月

妻が亡くなって
六ヶ月あまり過ぎた
未だに
ベットも洋服も
部屋の状態は
すべてそのままだ
台所も変えていない
この部屋を
見ていたと思うと
変えることはできない
しかし
ここには居ない

絶望

絶望したことが
三度あった
１９才で大病をした
４４才でサラリーマンを辞め
起業し一旗あげようとしたが
一年経っても見通しがつかなかった
５９才で受注した仕事の見積りを誤まった
それぞれ
何とか乗り越えたが
その時の惨めな気持ちは
想い出したくない
何れも甘い見通しの報いだ

経験

何も知らずに生まれ
何も知らずに学び
何も知らずに働き
何も知らずに結婚し
何も知らずに子供を産み
何も知らずに年を取る
いまさら
何も知らずに死ねない

愛

悪かった
愛している
君が正しい
これを
言うことが
できなかった

紙芝居

人生は
紙芝居
その時
その時
白い画用紙に
思うままに
画いた
紙芝居
今は
それを
懐かしむ
ばかりだ

箱

心には
たくさんの
箱がある
ひときわ
目立つのは
言葉に
傷ついた箱
忘れようとしても
いつまでも
箱に詰まっている
切なく
うずく心

ささげる

命は
ささげても
心は
ささげられない
所詮
結婚とは
そういう
ものかも
知れない

相場

相場は難しい
高値で買い
安値で売る
相場の諺
「まだはもうなり
　もうはまだなり」
素人が
儲けることは
至難の技
手出ししないのが
勝ち