◎ヒマラヤ聖者の生活探究 第二巻 第十三章 仏陀の出現・納屋美邸と化す P201~208
《注》この直前の(20)「愛の玉座の心臓・・バゲッド・アイランドの話」のつづきです。
わたしたちの招待者である村長は、何だか前から落ち着きを失い、かなり昂奮している様子が見えた。バゲット・アイランドが着席すると彼の昂奮は爆発し、大声で叫び出した。
それはこんな意味であった。「この犬め!クリスチャンの犬め!よくもわれわれの仏陀様の聖名を汚したな。思い知らしてやるぞ」。そういうなり、天上から垂れ下がっている手近の紐を引っ張ると、すぐに部屋の向こう側の端にある三つのドァーがパッと開き、抜き身の刀を持った三十名の兵隊がドヤドヤとなだれ込んで来た。村長が席から起ち上がると、食事中、村長の椅子のすぐ後ろに付き添って立っていた衛兵二人が村長の側に進み出た。
村長が手を挙げて何やら命令を下すと、十名の兵士が前に出てバゲットの坐っていた後の壁沿いに並列し、その中の二人が前に出て来ると村長の坐っている椅子の両側に立った。指揮官は村長と衛兵二人から少々離れたところにやって来て直立不動の姿勢を取っている。誰一人一語を発する音もなく、コソと動く者もいない。情景の余りの急変に圧倒され、他の一同はただ坐っているのみであった。
そのうち上から深い沈黙が落ちてきたかのように、シーンと静まり返ってしまった。すると起っている村長のまん前のテ-ブルの上座に、一条の強烈な光が現れパッと輝いた。皆んなの目が手を振り挙げて次の命令を下そうとしている村長の顔に注がれた。ところが彼の顔は灰のように蒼ざめ、恐怖の色がアリアリと浮かんでいる。見よ、彼の面前のテーブルの上に人の姿がボーっと浮かんで立っているではないか。
この人物から極めて強烈な『止めよ』という声が明瞭に発せられたのが、皆んなに聞こえたのである。しかもその声が、この朧(おぼろ)な人形(ひとかた)と村長との中間に燃えるような文字となって浮き出したのである。村長にもそれが分かったらしく、あたかも釘付けになって銅像のように硬直して立ちすくんでいる。朧な人影もこの頃には明瞭な姿となった。それは前にも拝したイエスの御姿そのものである。
ところが驚いたことには、もう一人の朧な人影がイエスの傍らに坐っている。村長と兵士達がびっくりして見ていたのは、実はこの人影だったのである。彼等にはこの姿が誰と分かっているらしく、イエスに対する以上に恐れているようである。人影がはっきりと姿を現すと、イエスの時のように右手を上げた。その瞬間、兵士達の手からガラリと音を立てて刀が全部床の上に落ち、部屋中にこだました。静寂がそれ程深かったのである。
この方の光はイエスの時よりも眩かに強い様に思われる(6)。あまりの強さに目も陀む程である。指揮官の方が先ず我に還った。両手を伸ばすと、「仏陀様、世尊様、吾等の仏陀様」と叫んだ。村長は、「本当に『世尊様』だ」と叫ぶと、床の上にひれ伏してしまった。衛兵の二人が前に出て村長を抹け起こすと、まるで像のように一語も発せず、身じろぎもせず、立ち尽くしてしまった。
部屋の向こう側に並んで立っていた兵士達からも、或る叫びが起こった。われ先にテーブルの両側伝いにドッと押しかけ、「世尊様がクリスチャン輩の犬達とリーダーとをやっつけるために御来臨遊ばすったぞ」と喚きながら上座の方に集まって来た。そのため仏陀はテーブルの上に戻り、皆の顔をまっすぐに見給い、片手を上げて口を開き給うた。
「わたしが『止めよ』と言うのは、一度でもなく二度でもなく、これで三度目である」仏陀が言葉を発するごとにそれがイエスの時のように燃える文字となって空中に現れ、しかも消えずにそのままとどまっている。そこにかたまっていた兵士達は又も釘づけになったように、丁度仏陀が片手を上げられた瞬間にめいめいが取っていた姿勢のまま、或る者は両手を空中に上げ、或る者は片足を床より上げたまま、一点を凝視したままで立っている。
仏陀はイエスの立っておられるところへ再び歩み寄り、イエスの上げておられる腕の下に御自分の左手を置いて、こう言われた。「何時もそうだが、こんどの場合もわたしは愛するこの兄弟の上げている手を支持する」右手をイエスの肩の上に置き、暫くそのままの姿勢でお二人は立っておられ、やがてテーブルの上から軽々とお降りになった。
一方、村長、指揮官、衛兵と兵士達は後ろに倒れ、顔色には血の気一つなく、ただお二人を凝(じ)っと見詰めるだけであった。村長は部屋の壁に押しやられていた椅子にヘタヘタと沈むように坐り込んでしまった。皆んなからホッと安心の溜息が洩れた。この状景の展開した数分間に、息を一杯に吸うた者は殆ど一人もいなかった筈である。仏陀はイエスの腕の中に御自分の腕を組み、お二人とも村長の面前に出て来られた。
仏陀は、壁から跳ね返るかと思われる程の強い語気でこう言われた、「わたしたちの愛するこの兄弟達を、一寸の間とはいえ、よくもキリストの犬などと言えたね。あなたは僅か前に愛する弟のために助力を乞うた少女を無慈悲にも払いのけたではないか。この愛する偉大な魂が少女に振り向き、その頼みを取り上げてくれたではないか」。
ここで仏陀はイエスの腕を外し、くるりと向きを変えてエミール師の母堂に向かうと、手を伸ばして歩み寄り、更に向きを変えて、村長からエミール師の母堂まで見渡せる姿勢をお取りになった。仏陀はあきらかに心を動かされ給うた様子である。村長を見据え、言葉を投げつけんばかりにして、続けてこう言われた。
「あの愛すべき子供の頼みに、誰よりもあなたが真っ先に応えてあげるべきであったのにその義務を忌避し、逆にその頼みに応えた人をクリスチャンの犬と呼ぶ。一瞬前には痛みに身をさいなまれ、身をよじらして苦しんでいたのに、今はすっかり癒えている少年の姿を見て来るがよい。この愛すべき人達に押しつけて来た納屋――あなたもその責任の半ばは免れないのだ――も、今は住み心地よき家となっている様子を見るがよい。(エミール師の方を向きながら)この愛すべき魂の人が抱き上げた少年の肉体が、それまでに置かれていた悲惨な汚物と襤褸(ぼろ)の山を見よ。
エミール師が少年をどんなに優しく抱き上げ、清潔な奇麗な寝椅子の上に置いたかを考えて見よ。しかもあなたは、淫蕩な狂信者たるあなたは、その間何をしたというのか。真に清浄なる者のみが着けるべき紫衣を纏いながら、平気で坐っていたではないか。あなたや他の者を何ら傷つけたこともないこの人々を、よくもクリスチャンの犬どもと賤しめて言えたものだ。その癖あなたは自分自身を仏陀の花、この寺廟の僧院長などと僣称する。恥を知るがよい、恥を知るがよい、恥を知るがよい!」
一つ一つの言葉が、あたかも村長や椅子や周囲のカーテンに当たっては跳ね返るかと思われる程の語気であった。その見幕に村長は震え上がり、カーテンも強風に吹かれてでもいるかのようにはためいた。通訳の必要など問題にはならなかった。村長にも通訳の必要はなかった。
仏陀の言葉は最も純粋な英語で話されたのであるが、村長にも完全に理解できたのである。仏陀は先程、金貨状のものを二枚手にした二人の間に寄って来られ、見せてごらん、と言われた。二人が手渡すと、それを仏陀は開いた掌の中に置くと、村長のところに戻って、直接こう言われた、「両手を出してごらんなさい」その通り村長は手を出しはしたものの、ひどく震えているために、伸ばすことはできなかった。仏陀が両手に一枚ずつ金貨状のものを落とすと、その瞬間に消えて無くなってしまった。
「お解りか。純金でさえ、あなたの手からは飛んで行ってしまう」。二枚の金貨状のものは、最初にそれを受けた二人のテーブルの前に落ちた。村長の差し伸べたままの両手の上に、仏陀は御自身の両手を置き、こんどは優しい静かな声で話し出された、「兄弟よ、恐れなくてもよい。わたしはあなたを審きはしない。あなたは自分で自分自身を審いているだけである」。
村長の両手を持ったまま静かに立ち続けておられると、漸く村長の震えがとまった。そこで両手を放して、「あなたは刀を以て攻撃するのも速いが、自分の誤審を正すのも又速い。しかし他の人を審き断罪するのは、実は自分自身を審き断罪することであるということを覚えておくがよい。
真理を知っているイエスとわたしは、共通の善と全人類への兄弟愛を共に代表しているのである」と言いながらイエスの側に戻って行き、再びイエスと腕を組み、「兄弟よ、あなたの領分であるこの事件をすっかりあなたから取り上げた形になってしまったが、今お返しします」と言うと、イエスは、「お見事なお審きでした。御礼の申し上げようもありません」と答えられ、お二人が向き直って一礼し、腕を組んだまま歩き出し、閉まっているドアーをそのまま抜けると、お姿が消えた。
途端に、残っている人々の話し声で、部屋の中は喧躁を極めた。指揮官、村長、兵士等、それから衛兵一同が、わたしたちの周りにどっと集まってきて握手をし、皆んなてんでに釈明しようとした。村長がエミール師に何か話すと、エミール師は片手をあげて沈黙の合図をした。或る程度静かになると、すぐ村長がわたしたちにもう一度着席して頂きたいと希望している、と伝えた。
一同が再び着席し静かになると、テーブルの周りと村長の椅子の後ろにはもう指揮官が兵隊を整列させている。やおら村長が起ち上がると、エミール師を通訳にして話し出した。「今更申すまでもないことでありますが、先程はどうも執心の余りつい取り乱してしまいました。今は心から恥、又それ以上に残念にも思っております。わたしの変わり方はわたしのこの態度で分かって戴けると信じます。何卒、兄弟バゲットに御起立を頂いて、わたしの心からのお詫びを受けて戴きたいと思います。皆さんも又御一緒に起立して下さいませんか」
そこで一同が起立すると、「皆さん、何卒わたしの心からのお詫びをお受け下さい。同時に改めて皆さんを心から歓迎致します。もしお望みであれば、何時まででもわたしたちのところに御滞在下さい。又何時でも軍隊の護衛がお望みの場合は、尤も余りお望みのようでもありませんが、わたしも此処にいる指揮官も、皆さんのお役に立つことを大ヘン光栄に思います。今のところはこれだけしか申し上げられません。お寝みなさい。そうそう、皆さんが御引取になる前に申し上げておきたいことがあります。それは、わたしの持っているものは何でも皆さんのお役に立てて頂きたいことです。では、一同敬礼。兵士達が宿舎までお送りします。ではもう一度、お寝みを申します。『偉大なる仏陀』『天上の方』の名において、もう一度サラーム(7)の挨拶を申します」。・・・。
訳者註
(1) 旧約エゼキエル書三八-三九章、黙示録二〇章八節。
(2) アナハタ・チャクラ(愛の霊的中枢-心臓の上)(3) ム-大陸、アトランティス大陸の滅亡。
(4) 例えば、「黒い魔術」や表現をはばかる性の紊乱と悪用、等。
(5) 当時淫蕩を極めていたソドムとゴモラ、或はポンペイ等が天災によって亡びたのは、単なる偶然といえるであろうか。
(6) 一書によれば、釈迦のオーラ(霊光)は端から端まで十マイルあるという。
(7) 「平安」を意味するインド語。ヘブライ語の「シャローム」はその転化。
(8) ラヂオ、テレヴィは勿論、「空飛ぶ円盤」、空中、海中を自在に航行する航空機、地球の引力の働きを中和する方法等々の超科学が既に実用されていた。
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