「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの受験アドバイス:中学受験の算数・・・その1・学校の学習定着

2011年05月30日 | 受験



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中学受験を考えたとき、その合否に最も影響を与える科目は、算数です。

各学校から公開された中学受験結果のデータを分析すると、そのことがよく分かります。

各受験科目の合格者平均点と不合格者平均点を比較し、その得点の乖離を調べると、明らかに算数が最も大きくなっています。

すなわち、受験生の算数得点の散らばりが、他の科目に比べて大きく、算数の出来不出来が入試の合否に最も影響を与えていると考えることができます。


そこで、中学入試を念頭に置き、受験準備のために算数をどのように学習していったらよいのか、保護者の視点に立って理解しておくべきことを、今回のブログで取り上げます。

初回は、まず中学受験を目指すにしても、「小学校で学習する算数の内容を完璧に定着させる」ことが前提になっていることから話を進めます。


今年度私は、江東区の大島南央小学校・第二大島小学校・第三砂町中学校、そして新たに有明小学校で学習指導します。

今年で、6年目になる公立小中学校指導ですが、主に午前中に小学4年生から6年生の算国中学3年応用クラスの数学を指導します。

無論、教育委員会との提携事業の成果を出すために、公立学校における生徒の学力向上と、知的な刺激を与え学習のモチベーションを高めることに、公立学校での授業では努めてきました。

その成果は、一定の評価を得ているものと思いますが、担当学校の校長の紹介で指導要望があったり、依頼を断ろうと思った学校の校長が、かつてお世話になった学校の副校長だったりして、いつしか4校の学習指導を受け持つことになりました。

塾教師が早朝から授業を行うことの体力的・精神的な負担はありましたが、実際に公立小中学校の授業を担当し、かつ進学塾で受験指導をしている貴重な体験から、他の塾教師や公立教師には見えないさまざまなことを知ることができた6年でした。


 
(アカバナユウゲショウの小さな紅色の花)


進学塾では、学習する目的がはっきりしていて、生徒もその保護者も、学習に対する意識が高いことは当然です。

しかし公立学校現場では、進学塾と異なり、通学することを義務とする、さまざまな子供たちが通っています。

その生徒の学習意欲も学習態度もその差が大きく、その結果として生徒間の学力差もあります。

また、学校教育に対する保護者の意識も、当然ながら大きく異なっていることでしょう。


こうした学習環境の中でも、中学受験を目指す生徒は、学校で学習する基礎学力的内容を、まじめに身に付ける努力を、怠るべきではありません。

公立中高一貫校を受検する生徒も増えてきましたが、特にこうした生徒は、日頃の学校授業を真剣に取り組む必要があります。

ただ、中学受験生といっても、その学力の幅は広く、公立小学校で学習する計算・単位・公式さえもしっかりと習熟しているとは言い難い生徒から、中学校数学のかなりの範囲だけではなく、高校数学の範囲にも入り込んだ内容を理解している生徒(中堅上位校を目指す生徒は、この程度の学力は必要)もいます。

中学受験をする場合は、どのような生徒でも、まず小学校で学習する内容を、完全に理解しミス無く正解することが学習の基本です。


小学校で学習する内容で、中学受験をする上でも、最も重要な分野と言えば、以下の項目が挙げられます。

(1)整数・小数・分数の加減乗除計算

(2)重さ・長さ・時間・面積・体積(容積)・速さの単位とその単位変換

(3)さまざまな図形の面積・体積の求積公式

(4)速さ(速さ・道のり・時間)と割合(もとにする量・くらべる量・割合)の関係式(公式)

 進学塾では、上記の基礎学力の上に、中学校・高校で学習する内容でも、明らかに小学生でも理解することのできる範囲を包含し、特殊算と呼ばれるより高度な思考力を必要とする学習を積み上げていきます。

算数・数学は、そうした基本的な事柄の理解の上に、知識を体系的に積み上げていく学問です。



(ミヤコグサの黄色の小さな花)


ところで多くの進学塾では、算数を考える学問と答えるでしょう。

そして、小学校の算数の教科書も、それを教える公立学校の教師も、建前では算数を考える学問と、やはり答えるでしょう。

しかし、小学校や中学校の指導の現場に入り込むと、もっと基本的なこと、すなわち上に掲げた算数の基本事項を生徒に習熟させることに、教師の努力とエネルギーを限りなくかけていることを、知ることができます。

現実には、考える学問以前に、練習によって習熟させるべき基本事項を、算数の学習の中で体得させ、同時に子どもたちに、算数の魅力を植え付ける努力を行っているというのが、公立学校の算数指導ではないでしょうか。

この努力をより効果的に成果に結びつけていくためには、クラスの指導人数・習熟度別のクラス編成・使用教材・指導法などについて、単に教師個人の努力だけではなく、総合的・体系的に各方面の協力が必要ではないかと、常々考えています。


ちょっと本題から外れましたが、中学受験生の学力中下位層は、学校で学習することを習熟することに努めることは当然です。

それだけではなく、中学受験生上位層に対しても、その子どもたちは学校で学習している内容を遥かに越えた知識を有しているわけですが、それでも私は公立学校の学習を重視せよと言っているのです。

義務教育として公立学校に進学しているわけですから、そこを認識して『賢く振舞う』ことが大切です。

公立学校は、教科書を超えて、そうした学力上位層に対する指導を、授業で行うことは難しいことです。

学習の習熟度が低い、または学習意欲が低くて教師の手間をかける生徒だけではなく、学力があるが故にクラスの学習指導上マイナスになる生徒を、私は公立学校の授業を担当して知ることができました。

中学受験生上位層は、学力だけではなく、精神的にも高いステージを目指し、クラスのリーダーとして『賢く振舞う』生徒に成長してほしいと考えます。


今回のテーマは、当然と言えば当然の事をお話しましたが、「中学受験生は公立小学校の授業を大切に!」という事は、現実には多くのハードルを越えて努力するテーマなのです。

次回の「中学受験の算数」は、 「文章題を解くには」と題して、問題を読み取り、式を立てる力を付ける方法について伝授しましょう。

 

【補足:中学・高校で学習する範囲で中学入試に出る具体例】

・四角の式・まるいち算・・・一元一次方程式(中学1年)

・消去算・・・二元一次連立方程式(中学2年)

・平面図形・立体図形の相似(中学3年)

・集合(高校1年)

・数列(高校1年)

・順列・組み合わせ(中学・高校)

・図形の辺の長さと面積の関係(高校)


(たいへん珍しい八重咲きのドクダミの花)


踏まれても気付かれないほど小さな雑草も、

よく観察するととても綺麗で個性的な花を付けています。

人間の世界でも、同じことが言えるようにも思います。


 【道端に咲く雑草についての補足】

(アカバナユウゲショウ)
アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)という雅な名前を持ったアカバナ科の花。
マツヨイグサの仲間で、夕方から淡紅色の花を開くのでこの名がある。(私が見る限り、昼でも咲いていますが。)
明治時代に鑑賞用として、南アメリカから持ち込まれたものが野生化し、現在では道端、田の畦、野原等、いたるところに咲いている。
日本に帰化したマツヨイグサ属のうち、マツヨイグサ、オオマツヨイグサ、コマツヨイグサ、メマツヨイグサ、アカバナユウゲショウ、ヒルザキツキミソウの6種類が日本の野原に定着。


ミヤコグサ)
ミヤコグサは鮮やかな黄色の蝶形をした花を付けるマメ科の植物で、都草と書き、京都の東山に多かった事からミヤコグサの名が付いたとする説が有力。
この日本に古くから自生するミヤコグサに対し、近年ヨーロッパから帰化したセイヨウミヤコグサも勢力を伸ばしている。 
最近、この日本に自生するミヤコグサが、マメ科植物の分子遺伝学解析の有力な候補として世界的な脚光を浴びている。
マメ科はキク科、ラン科に次いで3番目に大きなグループを形成しており、食用、飼料として重要な植物であると共に、根にバクテリアが共生し空気中の窒素を固定して緑肥を作る。


(ドクダミ)
 

ドクダミは日本、中国、ヒマラヤ、ジャワなど東アジア地域に広く分布し、日本では本州、四国、九州の低地に自生する多年生草本。
サツマイモの葉に似た葉をしており、6月の入り梅雨頃に白い花弁状の総苞を持つ穂状の花をつける。
全株に特異臭があり、繁殖力が強い地下茎は長く伸びて分岐し、一度根づいたら、なかなか除草できないしぶとい草である事から『シブト草』とも呼ばれる。
ドクダミは日本に昔から知られる民間薬で、主として化膿性皮膚炎、水虫等真菌症など皮膚病に外用薬として使われてきた。
俗称の「どくだみ」は毒を抑えるという意味の「毒矯み」からきている。
どくだみの漢方生薬名は「十薬」と言って、馬に食べさせると十もの薬効があることがその由来で、どくだみが優れた薬草であることを示している。

 

 

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1 コメント

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忍耐する上位者 (tonamikousen)
2011-05-30 15:56:42
そうみたいですよ。上の子が通う中学では、実験的に(モンペが差別と区別を混同して騒ぐ為)数学だけ発展コースと基礎コースに分け(本人の申告制)ました。
結果、発展3名、基礎27名^^;
先生たちは逆だと良かったのにと言ってますが、発展コースの3名は生き生きとしてます。今まで底辺層に標準をあてた授業にどれだけ忍耐してたかがわかります。
下の子が通う小学でも、中学校から数学の先生が来る算・算タイムがあり、クイズやパズルのような授業でやらない問題に挑戦し、楽しんでいます。この手の問題は普段解ける子と解けない子が逆転する事もあり、人気の授業です。
すべての公立校に、進学塾の授業も週1回でもいいから導入されれば、もっと楽しそう

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