多くの方が、小学生に対する単位の教え方について関心があり、私のブログでも、それに関する閲覧が多いようです。
そこで、私の指導経験をふまえ、小学生に対して、これから5回にわたって、どのように単位を教えたらよいのか、伝授したいと思います。
確かに、小学生にとって、特に受験生にとっては、「計算」と「単位の変換」は、基本中の基本であり、このフィルターを通して、答えが出てきます。
従って、この2つの力が不足していると、いくら特殊算の解法や求積公式を覚えても、得点力は付きません。
単位を指導する方法について、様々な議論がされていて、幾つかのブログでも取り上げられています。
私の単位学習に関する結論は、「単位は覚えるものであるが、丸暗記するものではない。」と言うことです。
では、もう少し具体的に説明します。
単位の学習では、それぞれの単位の基本的構造を覚え、単位を変換する方法(計算方法)をマスターすることが重要です。
まず念頭に置くことは、現在使用されている単位の基本はメートル法であると言うことです。
この単位は、西洋で作られたので、3桁で単位が変換します。
数字では、日本を含む東洋において4桁で大きな位が変わり、万の位・億の位・兆の位となります。
しかし、西洋では3桁でカンマを打ち、thousand, million, billionと千倍ずつで数える習慣がありました。
そうした西洋の考えから、現在のメートル法などの単位についても3桁で大きな単位が変わります。
次の文は、ある公立小学校で単位を教えるために、私が作成したプリントです。まずこの文章を参考にして、★《単位を教える第一ステップ》として、★《単位の構造》を理解させる方法を説明します。
「何だ、これは!!」
ヤン太は、テーブルの上に置かれている,ウイスキーのボトルのラベルに書かれている文字を見ながら,つぶやきました。
それは、お酒が好きな父が、山に持って行くために買った小さなウイスキーのビンです。そのラベルに、「20cℓ」と表示されていたのでした。
「mℓの間違いじゃないのかな。こんな単位見たことないぞ。」
翌日ヤン太は、そのことをドン太に話しました。
「おまえ、cmの見まちがいじゃないのか。」
「変なことを言うなよ。cmは長さの単位じゃないか。cℓは、かさの単位のはずだよ。でもお母さんは、こんな単位見たことがないって言ってたよ。アメリカだけが使っている特別な単位じゃないかと思うんだ。」
さて、みなさんはこの単位を知っていますか?
長さの単位に、cmがありますが、この単位がヒントになりそうな気がします。
ドン太とヤン太とそれにビージェーを加えた3人で、今まで習った長さの単位、かさの単位、重さの単位を復習する事にしました。
3人は、まず長さの単位についてまとめました。
「長さの基本は、1m(メートル)だよね。そして、その1000倍が、1km(キロメートル)だな。確か先生は、k(キロ)が単位の前に付くと、1000倍の意味があるって言ってたよ。」
ドン太が言いました。
「それから、1mの1000分の1は、1mm(ミリメートル)となるな。やはり、メートルの前のm(ミリ)は、ミリに続く単位を1000分の1にするんだって。」
「すると、長さの単位は、
1mm(ミリメートル)→1000倍→1m(メートル)→1000倍→1km(キロメートル)となるわけだね。」
ビージェーは、長さの単位の関係を、ノートに書いてみました。
「もう一つ、補助的な単位で、cm(センチメートル)があるよね。100cmが1mだから、このメートルの前のc(センチ)は、もしかしたら、センチが付いている次の単位を、100分の1にするんじゃないかな。」
ビージェーは、ノートを見ながら言いました。
次に、3人は、重さの単位についても、同じようにまとめました。
「重さの単位の基本は、するとg(グラム)だね。その1000倍がkg(キログラム)だ。そして、グラムの1000分の1が、mg(ミリグラム)となるわけだ。」
「1mg→1000倍→1g→1000倍→1kg」と、ビージェーはノートに書きました。
「もう一つ重さの単位で、t(トン)があるよね。1トンは、ブタ1匹の重さだ。~なんちゃって。」
ヤン太は、笑いながら言いました。
「バカなこと言ってないで。1t(トン)は、1kgの1000倍だよ。」
1mg→1000倍→1g→1000倍→1kg→1000倍→1tと、ビージェーはノートに付け加えました。
「こうして見てみると、単位はかなり規則的にできているなあ。ところで、かさの単位は、小学校の3年生で、早々に習ったよね。今度は、かさの単位についてまとめようよ。」
「1mℓ→1000倍→1ℓ→1000倍→1kℓ」となるね。
「補助の単位1dℓは、1ℓの10分の1だから、このデシという記号は、次の単位を10分の1にする記号というわけだね。」
そのノートにまとめた表を見ながら、ヤン太はにやりと笑いながら
「おれ、《20cℓ》の意味がわかったぞ。」
とつぶやきました。
さて、この表を見ながら君たちも、気がついたことを書いてみよう。そしてなぞの単位「20cℓ」が、どんな量を表していたのかを考えてみよう。
(マッキーが作成した、学校指導教材より)
この《単位を教える第一ステップ》の《単位の構造》を理解することは重要です。
しかし、これだけでは子供達は単位変換をすることはなかなかできません。
では、次にどのような指導をしたら、単位の変換を上手にすることができるのでしょうか。
いつものように、私のブログが長くなってきたようですので、《単位を教える第二ステップ》は、次回伝授します。
小学生の単位についての指導法は、以下のブログも参考にしてください。
第一ステップ 単位の構造を理解させる(2)
第一ステップ 単位の構造を理解させる(3)
第二ステップ 単位変換で注意するポイント・最終回
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昨日埼玉は全県で5年生の学習状況調査・検証テストが行われました。
土日は野球、平日は外遊び、一昨日はピアノの発表会という(諦めのつく?)具合でした。
(やる気になれば出来るのに… という親の期待のもと)
昨日は心穏かに送り出しましたが、今朝は算数の宿題を見ていたら、
(k)(m)(c)(d)殆ど分かっているのに、慌ててやって
間違えた所を指摘して説明すると、もう大抵抗!
こちらも百歩譲って丁寧に教えたつもりですが
あえなく時間切れ、そんな朝、こちらにヒットしました。
気分を入れ替えて、愛情たっぷり(?)の比較表を
作ってみますね。
これから、ちょくちょくお邪魔させてください。
子どもにとって単位は、身近ではあるけれども、苦手な分野です。
単位の関係を理解して、日頃生活の中で単位変換を行うと、興味もわき、知識の定着率も高まると思います。
すべての学習に言えることですが、いかに実生活と関連づけて、知識を習得していくか、ここに教師も保護者も、一工夫が必要です。
子どもを育てる大変さ、そうしたことを国も社会も理解して、協力して子供たちを健やかに育てたいですね!