「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの算数指導法:コメントの回答『面積の概念を指導するには』

2010年05月30日 | 学習指導法
私のブログに、こんなコメントをいただきました。

『小学生に面積という概念をわかりやすく教えるにはどうしたらいいでしょう?意見を聞かせてください。』

そこで、今回のブログでは、面積の教え方について考えてみたいと思います。


日常の生活で経験する事柄や、使っている言葉と関連しながら、小学生に算数に関する重要事項を教えることは、大切なことです。

しかし日常使っている言葉というものは、その言葉を使う個々人によって、その意味するところが、かなり違っているというのが実情です。

言葉を使うときに、その都度その言葉の定義を確認しながら、私たちはその言葉を使っているわけではないので、時によって言葉の認識の相違によってトラブルにさえなります。

例えば、「彼は、ネコの額ほどの農地を耕している。」と言った場合、誰しもが本当にネコの額ほどの耕地を連想することはありません。

極めて狭い耕地を耕しているという意味でしょう。

しかし、どれほどの狭さかは、聞き手によって、聞き手の経験によって、その判断は分かれます。

広い・狭いと言う物の広さを表す言葉は、おおよそのイメージを形成することはできても、正確な物の広さを伝えることはできません。

そこで、いつ・どこでも・だれでもが、同じように理解できるように、長さ・重さ・面積・体積などの単位を世界標準(グローバルスタンダード)で表現することが求められました。

面積も、単に広いとか狭いという抽象的な表現よりも、具体的な面積の単位を使って説明することが大切であることを、まず子どもに教えることが大切です。





コメントをいただいた質問の『面積の概念』または『面積の定義』を、小学生に対して正確に説明することは、極めて難しいことであると思います。

確かに、公立学校の指導内容について、様々な文献に『概念』という言葉が頻繁に使われているようです。

たとえば、『図形の概念を理解させるには~』・『豊かな図形概念を育てるには~』といった使われ方です。

文脈から判断すると、小学生に指導する『~の概念』とは、本来の「概念」という言葉の意味である『物事の概括的な意味内容』を明らかにすることではなく、『~のおおよその意味を知る』というふうに使われているように思います。

『概念』をそうした意味で使う場合、『面積の概念』を小学生に教えることは、大きな障害があるとは思われません。

なぜなら、速さや割合の概念に比べて、面積の概念は体感的に知覚的に子どもにすでに体験的経験があり、または指導の過程で経験させることができるからです。

ただ、すでに子どもに体験的に備わった面積の概念が、ともすると間違ったイメージを誘発する可能性もあります。



小学生で図形を取り扱う場合、図形の性質や図形の求積問題(面積・体積)の基本を学習することになります。

今回の質問である面積の概念は、図形に関わる包括的な内容と言うよりも、たぶん面積を求める…特別な形の面積を求める…などの公式の教え方に至る道筋について、どのような指導法があるのかという質問だろうと、私は思います。

特に面積とは何か?ということを、小学生に体験的に教え、感覚的に知覚させる指導法についてが、この質問の回答となると考えます。



面積の定義は、「ある場所の広さ、線で囲まれる平面や曲面の広さ」と言うことになります。

また面積とは、「面の広さ。単位長さを1辺とする正方形の面積を単位として表す。簡単な平面図形の面積は公式によって求められ,直線図形は三角形に分け,それらの面積の和をとる。曲線で囲まれた平面図形や曲面の面積は一般に積分により計算する」となります。


しかし、小学生に面積を指導する場合、身の回りにおいて面積の意味するところや使われ方を、具体的な事象から抽出して語ってもらうことが重要です。



木イチゴの花


面積をどうやって求めるのかの指導法は、家庭と学校と塾では本質的に異なります。

学校では、方眼用紙にアメーバ風の図形を手書きして、さてこの図形の広さ(面積)をどう求めたらよいのかを考えましょう…からスタートしたらよいでしょう。

塾では、即座に特殊な図形の面積を求める公式の成り立ちの説明からスタートします。

いずれにしろ、まずは一辺が1cmの正方形の面積(広さ)を1平方センチメートルの面積(広さ)と呼ぶことを教えます。

現在使われている単位は、メートル法を元に作られていますので、1平方センチメートルの正方形の大きさを、実際に目で見て、その図を書いてみて、子どもに体感的に認識させることが重要です。

スケール感覚といったものを、体得させることが大切です。

学校では、アメーバ風の図形の面積が、1平方センチメートルの正方形幾つ分の大きさかを求めることから始めます。

その求め方は、方眼(1cmの正方形)を使って、図形の内部に完全に包含されている正方形の数をまず数えます。

次に、図形の線上にある、線で一部分が切られている正方形の半端な図形を合計して、正方形幾つ分か、おおよそ数え上げます。

こうして、内部の正方形と、線上の半端な部分を合計して正方形の個数に換算した部分の合計がこの図形の面積となることを、子どもに調べさせることにより理解させます。

このように1平方センチメートルの面積を持つ正方形が幾つその図形に入るかを調べることにより、面積が計算できることを教えます。


次に、長方形と正方形につて、それぞれ各辺の長さがcm単位で整数値の図形の面積を、アメーバの図形の面積よりもはるかに簡単に求めることができる事を上の問題と同様の解き方で教えます。

その練習の後、特殊な図形である、平行四辺形・ひし形・台形・三角形などの面積の出し方を、その公式を提示する前に、子どもに工夫させて自ら導き出させる学習をするとよいと思います。

塾では、公式をまず示し、その公式がどの様に導き出されたのか、図形を書いて教えます。

面積を求める公式を想い出すときに、公式を導き出すときに使った図形が、ビジュアルに頭に浮かんでくるように指導します。



木イチゴの花


塾にとって、求積問題の公式などは、初歩の初歩で、ある意味で計算問題と同じ程度と考えています。

ほとんどの求積問題は、公式に基づいて式を素早くたて、計算を工夫して正確に素早く問題を解く力…すなわち計算力を試す問題として設定されています。

したがって、面積とは何か?・面積を求める公式は?・面積の単位変換は?などは、中学受験では最低限の基礎事項と言えます。

実際の中学受験では、角度・長さ・面積・体積という数値を求めるだけでなく、平面と立体の合同・相似・図形の性質や図形の移動・切断など、広範囲に思考する問題が出題されます。

今回のブログでは、特に図形の面積の導入時点で、公立学校や家庭で指導する場合の基本的留意ポイントをお話ししました。

面積の公式からスタートする本格的な図形問題の取り扱い方について、これからこのブログの紙面で順次取り上げていきたいと思います。




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