産経新聞の論説委員が、映画「アバター」を観に行ったようです。
「アバター」はまた、「反中」ともいえる。中国での反応はちょっと複雑だった。
「アバター」は中国でも1月4日から公開され、人気を集めていた。なのに当局は同月22日から上映館の7割を占める通常版の公開打ち切りを指示したという。
地球人がナヴィを排除する光景が開発のために土地・家屋が強制収用される中国の敏感な問題と二重写しで受け止められかねない。それを中国当局が懸念した、と香港紙などが指摘していた。
こうした論評を中国当局は否定した。それでも、「アバター」が中国の資源獲得戦略を痛烈に批判している印象は残る。「表現の自由」の牙城を自任するハリウッドきっての売れっ子監督は、一党独裁国家の痛い所を突いた。
(産経新聞2/13)
中国では、「北京五輪」に向けた建設ラッシュの陰で、住民に対する違法な立ち退き強制や土地収用が社会問題化しています。強制立ち退きによる死者(抗議の自殺)は、なんと年間200人にものぼります。相手が「政府」であるため、自殺するほかに抗議の手段がないそうです。(同じことを、ウイグルの方からも聞いたことがあります)
もともと国家権力が強い中国では、政府の下部機関か、政府幹部の親類の経営による業者が立ち退きを実施しています。
立ち退きの被害者
「庶民が政府と戦う度胸はない。訴えられれば怖くなって泣き寝入りするしかない」
「われわれの生活すら保障されないのに、何が『調和社会』だ。全人代の代表に訴えようとしても警備に追い出され脅される。(全人代会場の)天安門までは何と遠いことか」
(以上、東京新聞2007年3月10日より引用)
今日の中国系新聞「大紀元」には、強制立ち退きに対する抗議の焼身自殺が中国で相次いでいるというニュースが掲載されていました。
強制立退きに焼身自殺で抗議 北京・広州同日発生
(大紀元より)
【大紀元日本2月6日】2月3日、北京市朝陽区で、住民が焼身自殺で強制立ち退きに抗議する事件が発生した。自殺者は病院に搬送され、危篤状態。同日、南部の広州市でも、政府の強制立ち退きに抗議する焼身自殺事件が二件発生した。先週、政府が土地収用の手続きや補償の基準などについて強制や暴力手段を禁止するために定めた新たな条例案の草案を公表したばかり。新条例の正式発表を控え、各地政府は却って土地収用を加速、各地での暴力手段の強制立ち退きを悪化させる一方である。
中国メディアの報道によると、2月3日、北京市朝陽区化工路の民家に強制立ち退きが実施された際、住民の張海墨さんが体に火をつけ、自殺を図った。救急車で付近の病院に搬送されたが、危篤状態にあるという。
取材を試みたRFA放送局の報道によると、病院及び朝陽区公安局は取材を拒否した。海外マスコミの取材を防ぐために、現在自殺者の家周辺に警察が大量配置されたという。
一方、同日、広州市でも焼身自殺が二件発生したと地元の「南方都市報」が報じている。一件は60歳代の広州農民・陳共妹さんで、強制立ち退きに抗議するために、体にガソリンをかぶり、強制立ち退きを強硬しようとした人と警察機動隊の前で火をつけた。もう一件は給料が不払いになった建築業労働者が市役所で陳情している時に焼身自殺しようとしたが、現場の人に止められた。
先月26日、中国江蘇省の塩城市でも家屋の強制取り壊しに抗議する60歳代の男性がガソリンをかぶって焼身自殺する事件が発生した。
大規模な開発が続く中国では近年、暴力による強制立ち退きに抗議する住民が負傷したり、政府と衝突したりする事件が頻発している。強制立ち退きの被害者・北京市民呉田麗さんの話によると、「庶民は何もできない、政府に反抗すれば、拘留、強制労働教養、或いは刑務所に入れられる。家にガソリンや棒などを用意した場合も拘留される。政府に服従しなければ、自殺も犯罪扱いだ」
中国民生観察ネット責任者の劉飛躍さんがRFA放送の取材に、最近各地では自殺で強制立ち退きに抗議する事件が頻発していると話す。「新しい立ち退き条例は現在意見聴取する段階で間もなく実施の発表となる。地方政府がそれを発表する前に、強制立ち退きを急がせている。政府主導の強制立ち退きのため、被害を受けた住民は絶望した上で、焼身自殺を抗議手段に選んだ」と、増加する抗議事件の原因について指摘している。
現行の立ち退き条例では立ち退きを強要される側の補償が全く考慮されていないとの批判があったため、中央政府が条例の改正に踏み切った。新華社電によると、先月29日、土地収用の手続きなどを定めた新条例案が公表され、意見聴取をしているという。新条例案には暴力を振るったり電気や水道などを止めたりするような強制的な手段を禁止する内容も取り入れられている。しかし、かりに中央政府が立ち退き条例の改正に踏み切っても、地方政府がその法律を実行するかどうか、多くの専門家や住民は懸念する。
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「アバター」はまた、「反中」ともいえる。中国での反応はちょっと複雑だった。
「アバター」は中国でも1月4日から公開され、人気を集めていた。なのに当局は同月22日から上映館の7割を占める通常版の公開打ち切りを指示したという。
地球人がナヴィを排除する光景が開発のために土地・家屋が強制収用される中国の敏感な問題と二重写しで受け止められかねない。それを中国当局が懸念した、と香港紙などが指摘していた。
こうした論評を中国当局は否定した。それでも、「アバター」が中国の資源獲得戦略を痛烈に批判している印象は残る。「表現の自由」の牙城を自任するハリウッドきっての売れっ子監督は、一党独裁国家の痛い所を突いた。
(産経新聞2/13)
中国では、「北京五輪」に向けた建設ラッシュの陰で、住民に対する違法な立ち退き強制や土地収用が社会問題化しています。強制立ち退きによる死者(抗議の自殺)は、なんと年間200人にものぼります。相手が「政府」であるため、自殺するほかに抗議の手段がないそうです。(同じことを、ウイグルの方からも聞いたことがあります)
もともと国家権力が強い中国では、政府の下部機関か、政府幹部の親類の経営による業者が立ち退きを実施しています。
立ち退きの被害者
「庶民が政府と戦う度胸はない。訴えられれば怖くなって泣き寝入りするしかない」
「われわれの生活すら保障されないのに、何が『調和社会』だ。全人代の代表に訴えようとしても警備に追い出され脅される。(全人代会場の)天安門までは何と遠いことか」
(以上、東京新聞2007年3月10日より引用)
今日の中国系新聞「大紀元」には、強制立ち退きに対する抗議の焼身自殺が中国で相次いでいるというニュースが掲載されていました。
強制立退きに焼身自殺で抗議 北京・広州同日発生
(大紀元より)
【大紀元日本2月6日】2月3日、北京市朝陽区で、住民が焼身自殺で強制立ち退きに抗議する事件が発生した。自殺者は病院に搬送され、危篤状態。同日、南部の広州市でも、政府の強制立ち退きに抗議する焼身自殺事件が二件発生した。先週、政府が土地収用の手続きや補償の基準などについて強制や暴力手段を禁止するために定めた新たな条例案の草案を公表したばかり。新条例の正式発表を控え、各地政府は却って土地収用を加速、各地での暴力手段の強制立ち退きを悪化させる一方である。
中国メディアの報道によると、2月3日、北京市朝陽区化工路の民家に強制立ち退きが実施された際、住民の張海墨さんが体に火をつけ、自殺を図った。救急車で付近の病院に搬送されたが、危篤状態にあるという。
取材を試みたRFA放送局の報道によると、病院及び朝陽区公安局は取材を拒否した。海外マスコミの取材を防ぐために、現在自殺者の家周辺に警察が大量配置されたという。
一方、同日、広州市でも焼身自殺が二件発生したと地元の「南方都市報」が報じている。一件は60歳代の広州農民・陳共妹さんで、強制立ち退きに抗議するために、体にガソリンをかぶり、強制立ち退きを強硬しようとした人と警察機動隊の前で火をつけた。もう一件は給料が不払いになった建築業労働者が市役所で陳情している時に焼身自殺しようとしたが、現場の人に止められた。
先月26日、中国江蘇省の塩城市でも家屋の強制取り壊しに抗議する60歳代の男性がガソリンをかぶって焼身自殺する事件が発生した。
大規模な開発が続く中国では近年、暴力による強制立ち退きに抗議する住民が負傷したり、政府と衝突したりする事件が頻発している。強制立ち退きの被害者・北京市民呉田麗さんの話によると、「庶民は何もできない、政府に反抗すれば、拘留、強制労働教養、或いは刑務所に入れられる。家にガソリンや棒などを用意した場合も拘留される。政府に服従しなければ、自殺も犯罪扱いだ」
中国民生観察ネット責任者の劉飛躍さんがRFA放送の取材に、最近各地では自殺で強制立ち退きに抗議する事件が頻発していると話す。「新しい立ち退き条例は現在意見聴取する段階で間もなく実施の発表となる。地方政府がそれを発表する前に、強制立ち退きを急がせている。政府主導の強制立ち退きのため、被害を受けた住民は絶望した上で、焼身自殺を抗議手段に選んだ」と、増加する抗議事件の原因について指摘している。
現行の立ち退き条例では立ち退きを強要される側の補償が全く考慮されていないとの批判があったため、中央政府が条例の改正に踏み切った。新華社電によると、先月29日、土地収用の手続きなどを定めた新条例案が公表され、意見聴取をしているという。新条例案には暴力を振るったり電気や水道などを止めたりするような強制的な手段を禁止する内容も取り入れられている。しかし、かりに中央政府が立ち退き条例の改正に踏み切っても、地方政府がその法律を実行するかどうか、多くの専門家や住民は懸念する。
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