MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

豚インフル vs 鳥インフル

2009-05-19 18:20:06 | 健康・病気

今にして思うのだが、
あれだけの水際対策は本当に必要だったのか?
水際で引っかかったのは数人。
その後、国内二次感染例が続出。

いえいえ、水際対策で蔓延を遅らせることができ、
その間に体制を整えることができた意義は大きいって?
それって、本当?
関西では発熱外来がパンク状態になっており、
水際対策より、もっと早く、国内感染対策を
講じておくべきだったのでは?
…時すでに遅し。

昨日の厚労相(そういえば週末このお方
さっぱり見かけなかったな)の会見では、一転して
季節性インフルエンザと変わらない対応に変更とか。
関西での国内感染例の急増を見て
時々刻々の情報提供、迅速な対策変更が求められる。

豚インフルエンザと鳥インフルエンザについて
今一度復習してみることにしましょう。

5月16日付 ABC NEWS より

Swine Flu vs. Bird Flu: Which Is the Greater Pandemic Threat?
豚インフルエンザ対鳥インフルエンザ:パンデミックの脅威はどちらが大きい?
New Research Hints at Why Swine Flu Overshadows Bird Flu in Pandemic Potential.
パンデミックの可能性において豚インフルエンザが鳥インフルエンザに先んじた理由を新たな研究が示唆

Swinefluvsavianflu

 世界中の保健当局が先月発生した豚インフルエンザの監視を続ける中、過去10年にわたって発生した周期的な鳥インフルエンザとの比較が必要だ。
 特に、次のような質問をする人たちがいる:鳥インフルエンザが本格的なパンデミックを起こしていない今、我々は豚インフルエンザのことを真剣に懸念すべきなのだろうか?
 感染症の専門家たちは、両ウイルス間でパンデミックの可能性に数多くの重要な差異があることを指摘しており、金曜日に Journal PLoS Pathogensに発表された新しい研究ではこれらの違いの一つについて言及している。この研究では、英国と米国の研究者たちは、鳥インフルエンザは華氏89.6度(摂氏32度:人の鼻腔の温度)で死滅するため、ヒト‐ヒト感染が起こりにくいということを明らかにした。
 言い換えると、単にヒトの鼻は環境的に気温が低すぎて、鳥インフルエンザの蔓延を助長できないということになるかもしれない。これが全く真実かどうかはいまだわかっていないが、鳥インフルエンザがヒトにとってパンデミックの脅威となるには、このウイルスにかなりの変異が生じなければならないだろうと研究者たちは述べている。
「鳥インフルエンザは常に存在しているが、一定の変化を起こして初めてパンデミックを起こしうるのです」と、この研究論文の著者の一人、ロンドン Imperial College の Wendy Barclay 氏は言う。「我々の研究は、ウイルスが変異してヒトに感染するためにどのような種類の変化が必要とされるのかについての重要な手がかかりを与え、そのことはどのウイルスがパンデミックにつながる可能性があるかを解明する手がかりとなります。
 この研究はまた、一般的なウイルスの変異のメカニズムを科学者に提供してくれることになり、それによってどのウイルスがヒトで広がりやすいかを予見することができる。
 テネシー州ナッシュビルにある Vanderbilt University School of Medicine の予防医学の教授 William Schaffner 博士は、この研究を、「なぜ鳥インフルエンザがヒトで簡単に感染を起こさないのかについてこれまでにない説明を加えたきわめてすぐれた論文」と評価した。
―ヒト‐ヒト感染において鳥インフルエンザを出し抜いた豚インフルエンザ
 「これまで、鳥インフルエンザウイルスは上気道の細胞には付着せず、より下部に付着する可能性が示されてきていました」と、Schaffner 氏は言う。「この最新の研究によって別の可能性が説明されました」
 University of Texas School of Health Information Sciences and School of Public Health の公衆衛生情報科学の准教授 Ed Hsu 氏も同意見である。「この研究はなぜ鳥インフルエンザが実際にヒトからヒトへの感染を起こさないのかについての有力な説明を提供しています。こういった要因はパンデミック・レベルを上げるのに重要な指標となっています」
 しかし、ニューヨーク、ブルックリンにある SUNY Downstate Medical Center で Graduate Program in Public Health の部長 Pascal Imperato 博士は、これがイン・ビトロ研究、すなわちシャーレ内で起こった事実であるということから、ヒトで実際に起こることをそれらが正確に反映しているかどうかを確認するさらなる研究が必要であると警告している。
 「その知見は信用性を得るために確証が求められます」と Imperato 氏は言う。「その一方で、病原体の感染性を決定する要因はほかにもたくさんあります。今回の知見は興味深いものですが、インフルエンザウイルスの病原性についての私たちの現在の理解を実際に覆すものではありません」
―鳥インフルエンザ対豚インフルエンザ:パンデミックの可能性に差はあるのか?
 どのインフルエンザウイルスにとってもヒトの鼻は重要な感染部位であるため、鳥インフルエンザの恐怖の真っただ中にあっても、同ウイルスにヒト‐ヒト感染の証拠がほとんどない理由の説明にこの新しい研究が役立つかもしれない。
 世界保健機関(WHO)のウェブサイトによれば、2003年に鳥インフルエンザが再び姿を現わしてから、世界中での報告例はわずかに423例、年平均約60例である。
 ほとんどの鳥インフルエンザの症例は生きている家禽と濃厚な接触を持った後に発症している。ヒト‐ヒト感染によって発生したことが疑われる症例は現在のところほとんどない。また、ほとんどの例で、家禽群の組織立った破棄によって感染拡大の封じ込めに成功している。
 鳥インフルエンザはそもそも、鳥の内臓にみられる華氏104度(摂氏40度)の心地よい状況に適しているように思われる。また、とりわけヒトインフルエンザもまたそのような状況下で安定しているが、鳥インフルエンザウイルスと異なり、より低い気温が不利な影響を及ぼさない。
―依然豚インフルエンザの脅威について警告を続ける保健当局
 低い温度によって影響を受けないウイルスが問題となる可能性が高いと、研究者たちは言う。たとえば、豚インフルエンザは広い範囲の温度で増殖できる可能性があり、今回の迅速な蔓延はそのことで説明できるのかもしれない。これまでのところ米国、カナダ、マレーシア、英国をはじめとする26ヶ国で4,694例の発生がある。このインフルエンザ株の毒性は弱いが、より強毒性となる変異が大きな被害につながる可能性がある。
 例として、鳥インフルエンザの毒性を取り上げよう。Hsu 氏によれば、鳥インフルエンザのヒトの症例は比較的少数であるにもかかわらず、このウイルスによって2003年以降258人が死亡しており、致死率は60%以上であるという。
 「ひとたび、鳥インフルエンザウイルスが、低温という『障害』の大元の経路を通過してしまうと、急速に複製が始まり、しばしば宿主を圧倒することで高い致死性をもたらすことになるのです」と Hsu 氏は言う。
 そして、もしウイルスが何らかの形でこの障害を乗り越えることができるようになったとしたら、一層由々しき事態となり得る。
 「さらに多くの人たちが鳥インフルエンザの株にさらされるにつれ、より効率的な鳥‐ヒト感染につながる変異が生ずる危険性が高まります」と、Chapel Hill にある University of North Carolina の研究者で疫学者である Ella Nkhoma 氏は言う。「しかし、そのような変異ウイルスがヒト‐ヒト感染を効率的に維持する十分な適合性を維持できるかどうかは不明です。これまでのところ、ヒト‐ヒト感染はきわめてまれなのです」
 事実、鳥インフルエンザよりも目下の流行の方を懸念すべきであるという意見で、感染症の専門家たちの見方は一致している。
 「今、専門家たちの多くは、現在のH5N2 鳥インフルエンザウイルスはヒト感染性株への変異がみられていないことから、4-5年間はパンデミックは起こりそうにないと考えています」と、Schaffner 氏は言う。「今は、H1N1 豚インフルエンザウイルスの方がパンデミックを来たす可能性がはるかに高いのです」
 こういった脅威の認識がこれまで国際的な保健当局に浸透してないわけではない。金曜日、WHOは、豚インフルエンザの弱まりつつあり一見軽微に見える感染拡大の状況を見て、もう大丈夫なのではないかという誤った感覚を抱くことに対して警告を発し、この新型のウイルスについて最悪の時は終わっていない可能性があると通告した。
 加えて WHO のMargaret Chan 事務局長は、東南アジアで格段の脅威を与えつつある株について依然『重大な不確定要素』があると述べた。

鳥インフルエンザのパンデミックがいつか
我々に襲いかかってくることは間違いなさそうだが、
今回は鳥インフルエンザ級の病原性の強いウイルスを
想定した防疫対策に固執しすぎてしまったきらいがある。
国はリーダーシップを欠き、自治体は混乱。
一方、現場では抗インフルエンザ薬の使用法に
一応の方針は示されているものの
厳密な基準がなく、混乱を招きそうである。
第2段階から第3段階への移行が考えられる中、
どういったケースに抗インフルエンザ薬を用いるべきか?
発症の多い十代感染者に対するタミフルの投与は?
医療従事者の予防投与の基準は?
早急に具体的で厳密な
指針が明示されるべきだろう。
今、適切な対応がとれないようであれば、
今後、豚インフルエンザの病原性が上がったり
いよいよ鳥インフルエンザのパンデミックが
勃発したりした時には、日本中、
とんでもないパニックに陥ってしまうことだろう。

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