花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

「日日是好日」その2

2018年11月09日 | わたくしごと、つまり個人的なこと

お茶の席で、初釜は、お正月最初に開かれる席の事。森下紀子著「日日是好日」新潮文庫より。初釜は、先生自らがお茶をたて、皆さんでお正月を楽しむ会である。床軸、花、器、料理と、お正月の華やいだ雰囲気が漂う設定になっている。

 

生徒7人が、静かに、先生の登場を待っていた。

障子が開いた。

先生は、両手を膝の前にそろえて置き、私たち生徒をちゃんと見て、自然にすーっと頭を下げ、一瞬止まったと思うと、おもむろに頭を下げた(訂正 上げた)。

それだけだった。なのに胸を突かれた。

息がほんの一瞬、きゅっと小さく身をすぼませたと思うと、ふわりと元に戻るしぐさをする。それに似ていた。

先生は今、私たちに「敬意」を表した。謹み深く、謙虚に、それでいた卑屈さがなかった。

おじぎは、ただ「頭を下げる」ことではなかった。頭を下げるというシンプルな動きに、あらゆるものが含まれていた。「形」そのものが「心」だった。いや、「心」が「形」になっていた。